2025年9月1日

私だと気づかなかった

うちの夫の視力が最近悪化していることについて、「夫の視力の低下」という記事を書いたばかりですが、本当にいろいろなものが見えなくなっています。

つい先日は、晩ご飯のポテトグラタンを取り分けた時に指先にチーズが付いたと教えてもそれが見えなかったし、お昼ご飯を入れて持って行く赤い耐熱プラスチック容器にはニンジンだけじゃあなくてミートソースも残っていたし。ミートソースは赤いから、赤い容器に入っていると見えなかったのです。

目のことは聞いてもなかなか教えてくれないので詳しいことが分からなかったんですけど、昨日うちの娘が家に帰って来たので、久しぶりに4人でテーブルを囲んで晩ご飯を食べていたら、突然夫が自分の目のことを話し始めたんですよ。

先日、義弟の誕生日を祝うためにタイ料理レストランに家族が集まった時のことですが、食事を終えて外に出たのは8時過ぎでしたから真っ暗でした。

真っ暗とは言っても、レストランの照明もありますし街灯も明るいし、普通の視力の人なら足元が見えなくて困るようなことはありませんが、うちの夫はあの暗さだと見えないはずでした。

ところが、そんなことはすっかり忘れていた私は、レストランの外に出ると一人で駐車場の方に歩き始めたんです。ふと振り向くと、玄関を出たところで夫と父親と他にも何人かが止まって話をしていたので、何の話をしているんだろうと思った私は戻ったんです。

その時、夫には向こうから誰かがレストランの方に向かって歩いて来るのが見えたそうですが、それが私だとは分からなかったんですって。黒いコートを着ていたから、見えたのは顔だけかもしれません。近づいて来たその人が話す声で、それが私だと気づいたんです。

これには、夫も少しショックだったようです。

うちの息子は、自分がいつもとは違う服を着ているとお父さんは自分だと気づかないことがあると言います。夫は、ついに人の姿や顔の認識が難しくなって来たようです。


本を読むことは困難でも、文字を読むことは出来るんですよ。スマートフォンの小さな画面でも文字は読めるんです。それは専門医も驚くほどよく読めるんです。

左右の目の網膜の視細胞がまだ生き残っている部分は場所が異なりますからね、それぞれの目の見える部分で補いながら物を見ていますから、本人が言うにはちゃんと見えているつもりなんだそうです。十分な明るさがあればの話ですけど。

これは今年1月に撮ったうちの夫の眼底の写真ですが、黒く見えるのが視細胞が死んでしまって何も認識出来ない部分です。8ヶ月経っていますから、現在はもっと黒い部分が広がっていると思います。


黒い斑点の間にある視細胞が生き残っている部分を駆使して見ているわけですが、偶然両方の目の視細胞が死んだ部分に像が結ぶ場合があるわけで、その場合は見えているつもりでも見えていない物があるという状態になるわけです。

先日、YouTubeでビリヤードの動画を見ていたら、打った球が突然テーブル上から消えたり、思いもよらないところから突然現れたりして驚いたそうなんですよ。非常に奇妙な経験だったそうです。

今年の3月に、夫の父親と中国人の奥さんが引っ越して来た家で卓球をした時、夫はボールにラケットを当てることが出来なかったんですけど、あの時はボールが見えないと言いました。

動くものは特に見えにくいようですし、薄暗いとほとんど見えていませんから、薄暗い道路を歩いていてネズミが目の前を横切ったのが見えなかったのは当然です。

こうして、徐々に見えなくなって行くというのは、どんな気持ちなんでしょうね。気の毒ですけど、どうしようもありません。

今はまだ読めている文字が、そのうち読めなくなります。文字がまだ読めていても、人の顔が認識出来なくなったら仕事を続けるのは難しいでしょう。自分で判断して辞職する前に、視力のせいで大きなミスをして解雇される可能性もありますよ。

いずれにしても、仕事を続けられなくなる時が近づいて来たなと感じます。


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