2025年9月3日

技術労働者不足について

先日、不動産屋が家の状態をチェックしに来た時に、キッチンの流しの下の温水の配管から水が漏れる件を報告しました。

食器洗い機を使っていない時は、栓を締めて温水が流れないようにしておけば水は漏れないので、高額な費用をかけてプラマー(水道管排水管工事業者)に修理をしてもらう必要は無いと不動産屋には言っておいたのに、昨日プラマーがやって来ました。

私達が住んでいる家の家主さんは大変良くしてくださる方達で、何か問題があって不動産屋に報告するとすぐに修理を手配して下さるんです。そしてまた、不動産屋がとにかく迅速かつ細やかに対応してくれるので、何かある度に感心するんですけど。

それはともかく、プラマーさんは朝一番に来る予定でしたが、来れなくなったと連絡があって、午後1時半に来ると連絡して来たから待っていたけど来ず、2時間も遅れて3時半頃に来ました。

プラマーのおじさんは非常に疲れた様子で、着ている服には草や泥が付いていて、もうヘトヘトという感じでした。「You are a busy man!」(あなたは大忙しですね!)と言ったら、「今日は働いているプラマーがオレしかいないらしい」とジョークを言いましたよ。

温水器が壊れたという緊急を要する修理の依頼が次々に入って、朝の6時から休み無しで働いているんだと言いました。壊れた温水器を動かして新しい温水器を設置するのは体力もいるし、その人が住んでいるのは随分南の方の街なのに非常に広いエリアを回って来ていました。

今日はこれだけの仕事をして来たんだと写真を見せてくれましたけど、ヘトヘトになるのも分かりました。

お茶かコーヒーを淹れてあげましょうかと私が言ったら、早く終わらせて家に帰りたいからと言って断りました。温水の配管は、繋ぎ目の金具をもっと強く締めただけで終わりましたよ。

うちの夫が言っていた通りでした。どのくらい強く締めたらいいのかが分からないから夫は自分で締めなかったんですけど。

水漏れが続くようだとまた来てもらうことになりますが、今朝見たら1滴も漏れていませんので直ったようです。


実は昨日、ABC放送のニュースサイトで「ヴィクトリア州では建設関係の仕事に従事する技術労働者不足が深刻だ」という記事を読んだばかりだったんですよ。メルボルン都市圏はまだマシで、地方の町では本当に深刻なんだそうです。

特に人手が足りていない業種の一つがガラス屋(ガラス工事業者)だそうです。

ヴィクトリア州北東部の町シェパートン(Shepparton)でガラス屋をやっている方の話が載っていましたけど、人口13万人のシェパートン地域でガラス屋は9人しかいないんですって。

その方は、依頼される仕事をこなすために週90時間くらい働いているとおっしゃるんですよ。9人しかいないガラス屋は、高齢化のために今後5年くらいの間にさらに減る見込みだそうです。

ガラス屋という職業が知られていないことや、重い物を持ち運んだりするし怪我をする危険もあるということで、見習い工になろうという若者が非常に少ないんだそうです。

地方の町では、電気工事屋も足りていません。電気工事屋になるには特別な資格が必要ですけど、電気配線技術を学べるTAFE(職業訓練専門学校)が近くに無いことが人手不足解消の妨げになっています。

増え続ける人口に住宅の供給が追いつかず、住宅価格も賃貸住宅の家賃も高騰が続くヴィクトリア州では、州政府が今後10年間で80万戸の住宅を建設するという目標を掲げたことで、見習い工の確保に苦労している業種では警鐘が鳴らされていると記事に書いてありました。

専門技術の習得が必要な溶接工とか自動車整備士といった業種でも人手不足が深刻だそうですが、若者達にこうした業種に関心を持ってもらう必要があるのはもちろんですけど、関心を持った若者が専門技術を学べる環境が不可欠ですよねえ。

オーストラリアでは、技術労働者は「トレイディー」(Tradie)と呼ばれるんですが、トレイディーは時給が高い職種ランキングで上位に入っているんですよ。

職種によっては学校で専門知識や技術を学ぶ必要があります。オーストラリアでは「アプレンティスシップ」(Apprenticeship)と呼ばれる見習い制度で、資格を持った人の下で見習いとして働きながら学校で専門技術を学ぶのが一般的です。

ハイスクール卒業後に始める人が多いですから、25歳くらいになるともう結構な経験者ということになります。プラマーとか大工さんといった高時給の職種だとその頃にはかなり稼いでいますから、大学を出たばかりの年齢の若者を比べると大卒者よりもトレイディーの方が収入が多くてハッピーである(暮らしを楽しんでいる)という調査結果があるんですよ。

若者に敬遠されがちな職種を表す言葉として「3K」(きつい・汚い・危険)というのがありますけどね、トレイディーの労働環境は決して楽ではないでしょうが、「給料が安い」仕事ではないんです。


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