2025年9月12日

オーストラリアに住んでいて良かった

英語の表現で「come off the rails」 あるいは「go off the rails」というのがあります。「レールから外れる」つまり「脱線する」という意味ですけど、「物事が間違った方向へ進んでうまく行かなくなる」とか「人が常軌を逸した行動をとる」といった意味でよく使われます。

日本語には「歯車が狂う」という表現がありますが、よく似た意味です。車輪がレールから外れても、歯車が狂っても、元に戻すなり修正するなりして物事のあり方を良くして行くことは出来るはずなんですけど。

米国の政治は「fall apart」(ばらばらになって壊れる)寸前に見えますね。とっくに自由主義諸国のリーダーではなくなり、いまや権威主義への道を突き進んでいるように見えますが。

様々な異なる人種や民族が住む社会で、異なる信条や意見を持つ人々がいる中で、一部の人々が自分達だけの都合に合わせて社会全体を統制しようとすれば、争いが起きることは避けられません。そうした社会では、権威に逆らう者や反対意見を持つ人々を弾圧することが体制の維持には必要不可欠なわけです。

米国という国は、政治家への銃による攻撃が繰り返されて来た国ですが、とにかく銃が容易に手に入る国なんですからね、たとえ権威主義体制になったとしても弾圧される側の人々が大人しく従うわけがないのでして。権威側に立つ人達は常に命の危険にさらされるわけですよ。

昨日、右翼の政治活動家が暗殺されたというニュースの影で大きく報道されていませんが、昨日もまた米国ではコロラド州の学校で銃撃事件がありました。学校に生徒や元生徒が銃を持ち込んで無差別に発砲するなんていう事件が、もしも日本やオーストラリアで起きたら大事件なわけですけど、あまりにも頻発する米国ではもう大きく報道されませんね。

銃犯罪の問題も含めて、レールから外れた車輪も、狂った歯車も、もうどうにもならないように見えます。外れたまま、狂ったままやっていくしか無いのだろうと思います。


社会のあり方を決めるのは政治ですが、早い話が政治の仕組みを変えないことにはどうにもならないと思うんですよ、私は。

米国では「政治に最も必要なのはお金」だと言われているでしょ?米国の政治家が銃規制に反対するのは、お金がかかりすぎる政治の仕組みのせいですよ。豊富な資金力を持つ全米ライフル協会(NRA)の支援を受けるためです。

候補者が実際には熱心なキリスト教徒ではないのにそのふりをするのも、イスラエルを支持するのも、宗教票やユダヤ人票の獲得という目的はもちろんあるでしょうけど、資金の支援を受けるためというのが大きいのでしょう?

もうどうにもならないんですから、永遠にお金がかかりすぎる政治を続けていくんでしょうね。選挙そのものが必要ない独裁主義体制にでもならない限り。

政治の仕組みという点では、オーストラリアは優れていると思います。

オーストラリアでは、連邦レベルでも州レベルでも、投票権がどうのこうのという問題がありません。投票は権利ではなくて義務なんですから。

投票しなくてはいけないので政治への感心も高いですし、義務である以上、誰でも投票できるように様々な方法が準備されています。

政治家もパフォーマンスが悪ければ簡単に次の選挙で負けますから、政権政党が変わることはよくあります。

私はオーストラリアの政治資金制度については詳しく知らないんですが、政治資金の透明性には重点が置かれていて、AEC(オーストラリア選挙委員会)が監督しています。収支報告は公開され、どの団体から資金をどれだけ受け取ったとか、何に使ったとか、全部明らかにされます。

ちなみに、義務である投票を怠った場合は、このAECから通知が来て罰金を払わされるんですよ。私は、州議会議員の選挙だったと思うけど、ちゃんと投票に行ったのに投票していないという通知が来たことがあります。

どの投票所に何時頃に行ったかを明記した「怒りの返事」を書いたら、罰金の支払い命令は来ませんでしたけど。

まあとにかく、米国の政治について考えさせられる事件が起きる度に、オーストラリアに住んでいて良かったと思わずにはいられないというのが正直な気持ちなのでございます。


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