2026年5月16日

頼りになる「フェア・ワーク」

先月うちの夫が手伝いに行った従兄弟がやっている牡蠣の養殖場ですが、事業を販売する話はまだ結論が出ていないようです。新しい投資の申し出があったとか、いろいろ話は聞いています。

うちの夫が電話で誰かとこの話をしていて、手伝いに行った時のことを話していました。必要ならまた手伝いに行きたいと言っていました。有給休暇だけでなく、ロング・サービス・リーブ(Long Service Leave)も使って、長期間で行ってもいいと話していましたよ。

この「ロング・サービス・リーブ」というのは、日本の皆さんには聞き慣れない言葉だろうと思います。同一雇用主のもとで必要長期間(ヴィクトリア州では10年間)継続勤務した従業員に与えられる2か月ほどの長期有給休暇のことです。

10年になる前に退職した場合でも、7年以上継続勤務していれば一定期間分を賃金として受け取ることも出来るそうです。特別ボーナスというわけです。

継続勤務年数が10年を超えて5年が経過すると、さらに1ヶ月ほどの長期有給休暇が与えられるそうですが、私がロング・サービス・リーブのことを初めて知ったのは、小学校の教師をしていた時でした。

私は日本でも小学校の教師だったんですが、同じ小学校の教師でも労働条件が雲泥の差と言いますか、オーストラリアの先生達は恵まれていると思っていたんですけど、ロング・サービス・リーブというものを使って1学期休んで旅行に行った先生がいたんですよ。その時に初めて知りました。

オーストラリアの労働者は本当に恵まれていると、私は常々思っています。最低賃金は日本とオーストラリアでは倍くらい違いますし、労働時間とか有給休暇についても大きな違いがあります。

今年の1月からツールショップで働き始めたうちの息子は、10月に3週間の日本旅行をする予定ですが、2週間も3週間も仕事を休んで旅行に行くなんて、日本じゃあまず不可能でしょ?

オーストラリアでは、基本的に一年当たり20日の有給休暇と、病気や怪我あるいは家族の介護のための有給休暇が10日、合わせて30日の有給休暇が与えられます。それとは別に、家庭内暴力の被害者には10日の有給休暇が与えられますし、家族休暇(出産育児)はもちろんあります。

基本の有給休暇は、年度内に使わなかった分は翌年度に持ち越すそうですから、ちゃんと消費しないとたまって行きますのでね、うちの夫や息子が勤めるツールショップ会社では有給休暇を消費するようにと社員に奨励しているんですよ。

有給を使って旅行に行くというのは誰もがしていることですから、うちの息子も気兼ねなく旅行が出来るわけです。


ちなみに、オーストラリアではサービス残業とかサービス出勤なんていうのはありえない話です。働かせた時間分の報酬を払っていない雇用者は罰せされますからね。でも、そういうずるいことをやっている会社や経営者はいるんですよ。よく聞くのが飲食店。

オーストラリアの法律をよく知らない外国人学生や移民などを不当に安い報酬で働かせていたとか、残業をさせて報酬を払っていなかったなんてことが当局にバレて、高額な罰金を課せられたとか起訴されたなんていうニュースを聞くことがあるんです。

その当局というのがフェア・ワーク(Fair Work)です。もしもこれをお読みの皆さんの中に、雇用者との間に報酬や有給休暇をめぐるトラブルやハラスメントなどを経験されている方がいらっしゃったら、フェア・ワークに相談すると力になってくれますよ。

ウェブサイトでは労働者の権利について、多言語で説明してあります。日本語もありますよ。フェア・ワークに相談したい方は、自分の母国語で相談できるとも書いてあります。

日本にも、労働基準監督署などの相談機関がありますけど、オーストラリアのフェア・ワークは、明らかに労働者側に立って活動していて、強い法的権限を持っていますから、かなり頼りになるんです。

ずるいことをやっている経営者は、フェア・ワークにバレたらはっきり言っておしまいです。調査員が突然やって来て、記録を調べたり従業員に聞き取り調査を行うなんてことも出来るんだそうで、悪質な経営者は起訴される可能性があります。

未払い賃金を強制的に払わされて、罰金も受けて、起訴までされたら小さい会社はおしまいですよ。

職場の安全に関することで懸念されることがあれば、ヴィクトリア州ならワーク・セーフ(WorkSafe)に相談すると良いでしょう。こちらも強い権限を持った機関です。改善命令を出されて対応を怠ると、業務停止命令が出されたりします。

「フェア・ワーク」も「ワーク・セーフ」も、経営者にとっては怖いところらしいです。


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2026年5月15日

爆弾おにぎりの思い出

「爆弾おにぎり」の定義は、私は良く知らないんですが、我が家では丸いおにぎりを真っ黒になるように海苔で包んだのをそう呼んでいました。


中に具を入れたり混ぜご飯で作ったりしても美味しいでしょうけど、私が作る爆弾おにぎりには何も入っていませんでした。作る時はいつも決まっていて、大量に作る必要があって、何も入っていない塩味だけのが好まれたのですよ。

どういう時に作ったのかと言うと、それはうちの息子が通っていた小学校で、食べ物を持ち寄る機会があった時です。

最初に作ったのは4年生の時です。短期間住んだ日本からメルボルンに帰って来た年でした。その小学校では日本語を教えていたこともあり、私は日本の食べ物を持って行かそうと思いました。

巻き寿司は作るのが大変ですから、小さめのおにぎりを作ることにしたんですが、子供達に受けるかもしれないと思って海苔で包んだ真っ黒の爆弾おにぎりにしたんですよ。

海苔のことを「シーウィード」と呼んで嫌っていたオーストラリア人達が、喜んで寿司ロールを食べるようになった頃でしたから、海苔に拒否反応はないだろうと思ったし、ご飯を塩で握っただけですからね、好き嫌いのある子も食べるだろうと思ったんですけど。

ライスボム(Rice Bombs)と名付けて持たせた爆弾おにぎりは、特に男の子達に大好評でね、あっと言う間に無くなったと息子が言いました。

その後、食べ物を持ち寄る機会があるたびに、息子の友達がライスボムをリクエストするもんですから、私はいつも爆弾おにぎりを作って持たせたんです。

食べ物アレルギーの問題とか衛生問題もありますからね、手作りの食べ物を学校に持ち寄って皆んなで食べるなんてことには問題があるように思いますけど、もう20年も前のことです。今でもこういうことをやっている学校があるかどうかは知りません。


学校全体でやっていたイベントではなくて、クラスの学習活動の一環だったと思います。

担任の先生からの手紙には、食べ物を持ち寄る趣旨と、持って来るのは任意であること、協力していただけると助かりますみたいなことが書いてあるんですが、何も持って来れない子供達は悲しい思いをしますよね。

市販のお菓子を持って来る子も多かったようです。

ちなみに、うちの娘も同じ小学校に通いましたが、娘のために学校に持ち寄る食べ物を準備した記憶がありません。娘も食べ物を持ち寄ったりしたことがあるのか聞いてみましたら、フルーツとチョコレートガナッシュを持って行ったことがあると言いましたよ。

きっと娘のリクエストで作ったんでしょうけど、そんなものを作った記憶はありません。

覚えているのは、息子に持って行かせた爆弾おにぎりのことばかり。何度も作りましたからね。そして、毎回期待されていたわけですから、いつも大好評でした。

どうして突然こんな話を書いているかと言うと、昨日炊飯器に残った少しのご飯をおにぎりにした時に、海苔で包んだら爆弾おにぎりのようになって、それで思い出したのです。

息子にとって爆弾おにぎりを学校に持って行ったことは良い思い出だと思いますけど、当時いろいろとしんどいことが続いていた私にとっても良い思い出の一つです。


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2026年5月14日

犯罪者になる前の支援

昨日の話の続きです。

うちの娘は月曜日から水曜日はメルボルンにある司法心理学事務所で働いているんですが、風邪を引いたために在宅勤務にしてもらい、訪問カウンセリングはキャンセルしたそうです。

この司法心理学事務所で行っているカウンセリングのクライアントは、犯罪を犯した人達です。そのほとんどが知的障害がある人達だそうです。メンタルヘルスの問題も深刻だそうです。

守秘義務というのがありますので詳しい話は教えてくれませんけど、先日は娘のクライアントの一人が自殺を試みて救急車で運ばれるという出来事があったそうで、ショックを受けていました。

一昨日は、別のクライアントが警察に逮捕されたと言ってガッカリしていました。最初に犯したおぞましい犯罪に比べたら軽い犯罪でしたから、すぐに釈放されて、またカウンセリングをすることになるだろうと言っていましたけど。

いろいろとストレスが溜まる仕事をしているようです。

先日、私は日本のニュースサイトで「ケーキの切れない非行少年たち」という本に関する記事を読みました。宮口幸治さんという児童精神科医が書かれた本だそうで、漫画のシリーズにもなっているそうです。

少年院に収監される非行少年達の中には、知的能力が低くて「ケーキを等分に切る」ことすら出来ない少年が大勢いるということを紹介し、「境界知能」の人々に焦点を当てている内容だそうです。

「境界知能」というのは、「平均的な知能領域」と「知的障害とされる知能領域」との境界に位置する低い知能を表す言葉だそうです。

知的障害には該当しないため福祉の支援を受けにくく、周囲からは「普通」に見えるために、学習や対人関係で様々な困りごとを抱えているのに、それを努力不足とか性格の問題として片付けられがちです。

誤解や不適切な扱いを受けやすい彼等は、成功体験の不足により自信を失いやすく、無力感や孤独感を抱えやすくなり、善悪の判断力が乏しいために非行に走りやすいそうです。

私は娘にこの本のことを話しました。そうしたら、娘は「自分がやっているのはそういう人達の支援だ」と言いました。

彼等が集団の中で他者と関わりながら行きて行くためには、認知機能を改善する必要があるわけで、善悪の判断力や様々なスキルを学ばなくてはいけませんけど、彼等が自ら学んで変わろうとしないと上手く行きませんから、うちの娘のような人達がカウンセリングやトレーニングをしているそうなんですけど。


うちの娘は、大学院の時に司法精神医療施設で研修したことがあります。知的障害のある性犯罪者を収容している医療刑務所みたいなところでした。

そうした性犯罪者の社会復帰のための治療と支援には、大きな困難と限界があって、私は率直に言って「やる意味があるのか」と疑問を感じることが何度もありましたよ。

治療も支援も、税金の無駄遣いのように思える人達がいるんです。施設内で女性スタッフを襲った人もいました。

社会復帰しても再びおぞましい性犯罪を繰り返し、警察に逮捕されて医療施設に戻って来る。それを繰り返している人もいたんです。

知的障害や精神障害のある犯罪者の多くが、虐待などの被害者でもあると娘は言います。ほとんどの犯罪者がひどい家庭環境で育っています。知的障害のために善悪の判断が正しく出来ないし、他の犯罪者に搾取されたり被害を受けたりもしていると。

治療と支援がないと社会復帰は出来ないし、社会に戻って何とか普通に暮らしている人もいるそうですから、簡単ではないし時間も税金もかかるけど、可能性があると判断された人には支援をするしかない。それは分かるんですけどね。

批判を覚悟で言うと、私には莫大な税金を無駄使いしているようにも見えたんですよ。

その医療刑務所のような施設というのは、とても近代的な立派な建物なんです。広い敷地に建つ大きな建物です。そこに、ほんの僅かな数の性犯罪者が収容されていました。一人あたりに使われる税金は莫大なんです。

私はね、一番税金を使うべきなのは教育と福祉だろうと思うんですよ。犯罪を犯してしまった後での支援ではなくて、子供のうちに支援することです。

知的能力の問題を抱える子供達に早く気づいて必要な支援をすることに、もっと税金を使うべきじゃあないんでしょうか。

そうした子供達が家庭で虐待を受けている場合は保護して、受け入れて育てる施設を作るべきではないですか?子供を育てる施設は、娘が研修をした医療刑務所のような大きな建物である必要はないですし、運営費用が何億円もかからないと思いますよ。

そして、子供達が社会に出て生きて行くために必要な能力を教える教育や、成長して就職する際の支援とか、そういうことです。犯罪者になってしまった人達に莫大な税金を投じるよりも、遥かに大事な税金の使い道だと思うんですけど。

難しいことなんですかね。


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2026年5月13日

ホームレス暮らしのうちの娘のこと

うちの娘が、昨年末に住んでいたシェアハウスを出て以来、決まった住む場所を持たないホームレス状態になっていて、ハウスシッターをしたり友人宅に間借りしたりしながら暮らしていることは時々話題にしています。

持ち物のすべてを私達が住んでいる家に持ち帰ったので、家の中が大散らかりのままです。最近は居間のソファーで寝ていましたが、もうすぐ新しいハウスシッターが始まるそうです。

ハウスシッターというのは、簡単に言うと留守番です。旅行などで家を不在にする人が、誰かに家に住んでもらうのです。他人に自分の家に住んでもらう理由はいろいろあるでしょうが、ペットの世話をしてもらうためというのが一番多いようです。

昨夜、晩ご飯を食べ終えたうちの娘が、ヘビの世話の仕方を習いに行ってくると言って出かけました。ハウスシッターをする予定の家で飼われているペットというのが、ヘビなんだそうですよ。飼い主の方から世話の仕方を習うことになっていたのです。

ヘビの世話ねえ…

インドネシアのバリ島で開催された心理学のセミナーに参加して、土曜日にメルボルンに帰って来た娘は、帰って来るなり風邪を引き、月曜日も火曜日も在宅勤務にしてもらっていましたが、昨日の午後は休みをもらったと言ってずっと寝ていたんですよ。

もうすぐ旅行に出かけるヘビの飼い主さんに風邪を移していないといいですけどね。


うちの娘は臨床心理士で十分な収入がありますので、アパート(日本で言うところのマンション)が借りられないわけじゃあないんですよ。自らホームレス状態を選択して暮らしている理由は、アパートを購入するために貯金をしているからです。

家賃や生活費を節約しようとしているわけですけど、娘のせいで私達の家が大散らかりになっていますのでね、はっきり言って迷惑しています。片付けをしてくれと私は何度も頼んでいるんですが、娘はうちの夫の遺伝子を受け継いでいるようで、整理整頓をしません。

忙し過ぎて、片付けをする時間がないというのもあるとは思いますけど。

娘が一般の心理クリニックとは別にメルボルンにある司法心理学事務所でも働いているという話はこのブログでも時々書いていますが、司法心理事務所の仕事ではストレスを溜めているようです。

犯罪を犯した人達の責任能力の有無を判断する精神鑑定とか、知的障害や精神障害があると思われる犯罪者達のアセスメントを行っているそうなんですけど、クライアントへの心理カウンセリングも行っているのです。

そして、クライアントというのは犯罪を犯した人達で、そのほとんどが知的障害がある人達なんだそうです。

長くなって来ましたので、その話はまた明日。


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2026年5月12日

財布を忘れた話

うちの夫は忘れ物が非常に多いので、朝仕事に出る時には決まり文句の「財布・携帯・鍵・メガネ」を言い続けていた私ですが、最近は「携帯」しか言っていませんでした。

メガネはもう無くては見えなくなっていますので常に着けていますし、鍵を忘れて行ったことはもう随分長いことありませんし、最近は持って行くのを忘れるのはいつも携帯電話でしたから。

今朝も夫は6時過ぎには家を出ました。毎日言い続けるとしつこいとは思いますが、今朝も私は「携帯」と言いました。夫の機嫌が悪くなることもあるのですけど、忘れて行った携帯電話をツールショップまで届けさせられるのはまっぴらなので。

ところが、しばらくして夫が帰って来たんですよ。

「何を忘れたの?」
「財布…」

今日は財布か!

夫は目が悪いので、探し物を見つけるのは困難です。こういう時には私が手伝います。探し物を見つけるのは、私は結構得意なのでございますよ。財布なら「黒い四角」を探せばいいので簡単です。

まずは一番可能性の高い夫のデスクを探しました。物がごちゃごちゃと積み重なっていてごみ屋敷状態なんですけど、見渡せばすぐに分かります。財布は夫のデスクにはありませんでした。

ダイニングテーブルにもありませんでした。夫のベッドサイドテーブルにもありませんでした。

「昨日着ていた服はどれ?」

夫は服のポケットを探しましたが、ありませんでした。

昨日は夫は仕事を休み、親知らずを抜いてもらうために歯医者に行って、その後父親の家に行って家のメンテナンスの仕事をして、その後父親と一緒にカフェに行って食事をして…と、いろいろな場所に行っています。

財布をどこかに置き忘れて帰った可能性があります。

「家に帰った時には財布は持っていたのね?」
「イエス…」

娘が居間で寝ていたので電気をつけずに探していましたが、居間の電気も玄関の電気も全部つけました。どこにもありませんでした。その時です。

「あった…」

夫が見つけました。私に見つけられなかった探し物を夫が見つけるというのは珍しいことです。

「どこにあったの?」
「引き出し」

夫のデスクの引き出しの中にあったそうです。

何でそんなところに?

そりゃあ私には見つけられませんよ。

夫の持ち物が置いてありそうな場所というのは限られていますし、探し物の経験から学んでいる私は大抵すぐに見つけられるんですけど。引き出しの中に財布を入れることもあるのかと、また一つ学習しました。

次回は、まずはデスクの上を探し、そこになかったら引き出しを探すようにします。


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