父親から恫喝されて育ったせいか、他の子供達に対して偉そうにする割にはちょっと批判されたり言い返されたりすると、たちまち情緒不安定になってメソメソする子供でしたが、基本的に小心者なのです。
メンタルが弱くなってからは、悪いことをしている人を見ても、なかなか行動を起こせません。見て見ぬふりなんてしょっちゅうです。
以前、スーパーで万引きしている人を目撃した時も、「あなた何やっているんですか!」「バッグに隠したものを出しなさい!」なんて言えるはずもなくて、あの時はサービスカウンターへ「ものを盗んでいる人がいます」と報告しに行ったのでした。
今なら写真を撮ってから行くでしょう。
おばちゃんになって少し強くなったので、最近は不当な批判をされたりすると言い返すこともありますが、例えば電車の中で迷惑行為の人がいたりしても注意なんてできません。誰かが何か言ってくれるのをひたすら祈るのみ。それに加勢するくらいはできるかもしれませんが。
さて、
うちの夫はツールショップに勤めています。夫が勤めているツールショップは、何でもオーストラリア最大のツールショップなんだそうです。とにかく広いので、防犯カメラはいくつも取り付けられていますが、スタッフの目が届かない場所はいっぱいあって、万引き窃盗は日常茶飯事だそうです。
ある時、男が商品を服の中に隠したのをスタッフが目撃して責任者であるうちの夫に報告し、その男が店を出ようとしたら誰がドアを締めてどう対応するかを申し合わせておき、店を出ようとした男をうちの夫が止めたところ男が走って逃げようとしたので体当たりするはめになり、居直った男と取っ組み合いになって、警察を呼んだなんてこともありました。
防犯カメラのビデオを後で見せてもらったんですけど、
泥棒と取っ組み合いはちょっと…
現行犯で捕まえられない場合も多いそうです。つい先日は若いカップルに商品を盗まれました。防犯カメラにははっきりと写っていましたが、まんまとやられました。
広い店内でスタッフの人数だって限りがあるわけですからね。
ところが、一昨日、この泥棒カップルがまたやって来たんだそうです。入口近くにいたうちの夫は、このカップルの顔を覚えていました。男は、長いウェイビーヘアを後ろで束ねていて、一度見たらすぐに分かる特徴がありましたから。
女の方が先に店に入って来て、その後から入ってきた男が泥棒だと分かった夫は、男の肩だか腕だかをガシっと捕まえて、
「おい、オマエを店に入れるわけにはいかないぞ!さっさと出ていけ!」
と突き飛ばして追い出しました。
商品棚の近くにいた女が慌てて後を追って店を出ていくのが防犯カメラのビデオに写っていました。防犯カメラって、店内の同じエリアを複数の角度から写しているんですね。
夫が勤めるツールショップ会社の本部には、全国の店舗の防犯カメラの映像を常時監視する専門の監視オペレーションルームと専門の監視スタッフがいるんだそうです。怪しい人がいると連絡が入るそうです。(スタッフが怠けていても連絡が入るし、あそこを片付けろとか掃除しろとか、そういう指示も来るそうです。まさに全てを監視しているわけです。)
夫は、こういう泥棒関係の出来事があると、後で防犯カメラのビデオを私達家族に見せて、武勇伝を披露してくれるんですけどね、
よくやるわ、あんなこと…
私にはできません。
私にはできません。
私の妹の一人は、若い頃に警備会社に勤めていて、デパートで万引き犯を捕まえる仕事をしていましたが、
とても私にはできません。
うちの夫は、温厚な性格で泥棒に立ち向かいそうなタイプには見えないので、初めて泥棒と取っ組み合った時には、会社の人達が驚いたそうです。
夫は身体が大きいので、それも役に立っているそうです。
背も高いですけど、体重がスタッフの中で一番重たいと自負しているくらいですから。大きなクマのような身体つきなので、泥棒を「おい!こら!」と捕まえやすいということなんですけど。
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