2021年1月28日

女性の月経と貧困の問題

先日「オーストラリア・デー」の日に発表された国民栄誉賞「オーストラリアン・オブ・ザ・イヤー」のヤング部門の受賞者は、「Period Poverty(女性の月経と貧困の問題)」に取り組んでいる22歳のイゾベル・マーシャル(Isobel Marshall)さんでした。

このニュースを聞いたうちの夫は、

「Period Poverty?何だそれ?」

と言いました。

うちの夫は物知りで、社会問題に関して知識も豊富なのですが、その夫が「Period Poverty」を知らないのかと思いました。

生理用品が普及しているオーストラリアでは、「Period Poverty」が社会問題とは考えられませんが、月経にまつわるスティグマは存在します。

スティグマというのは、不名誉や差別や偏見の対象となる属性及びにそれに伴う負のイメージのことです。

世界中の多くの社会で、女性の月経は「不浄、汚れたもの」とされており、その「不浄」という観念が「禁忌」や「タブー」を生んでいます。日本も例外ではありません。世界には、現在でも月経中の女性が小屋に隔離されている社会があります。

イゾベルさんが「Period Poverty(月経と貧困の問題)」に取り組むきっかけになったのも、この月経に関するスティグマへの関心だったそうです。

ハイスクールの時に社会事業というものについて知ります。収益を社会に還元するビジネスです。友人と二人で自分達のオリジナル生理用品ブランドを作り、その収益を社会に還元するというビジネスを計画しました。

大学進学前のギャップイヤーを使い、クラウドファンディングで集めた資金で、倫理的に生産されたオーガニックの材料から生理用ナプキンやタンポンを作る会社を作ろうと活動する中で、海外の貧困国の少女や女性達が直面している「Period Poverty」を知ったそうです。

そうした貧困国では、そもそも生理用品が一般的に普及していません。生理用品を利用できるのは一部の女性達に限られます。処理できるものはボロ布くらいしかないような状況では、学校に通う事は困難です。

教育の機会が与えられている貧困国においても、月経が始まると少女達は学校へ通うことができなくなる。

月経のために教育や様々な「機会」を失い、貧困から脱出できない、あるいは困難な状況で生きるしかない。

男性に比べ、女性は様々な面で不利な立場にあるわけですが、月経というものが一つの原因になっているという現実を知り、イゾベルさんと友人は二つの問題に取り組むことを決めました。

一つはオーストラリア国内にも残る月経に関するスティグマ、そしてもう一つは貧困国における「Period Poverty」でした。

そのために作ったのが「TABOO」という団体です。

オリジナル生理用品の製造と販売、収益の社会還元、オーストラリア国内で困難な状況にある女性達への生理用品の提供、貧困国への生理用品の提供及び月経やその処理方法に関する教育に取り組んでいます。

イゾベルさんは、現在大学で医学を勉強中です。医者として「TABOO」を通した保健と医療と教育に取り組むことを目標にしているそうです。一緒に「TABOO」を設立した友人の方は、経営ビジネス面を担当しているそうですよ。

若い二人の今後の活躍を期待したいです。


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