2020年8月3日

ニュースになってるメルボルン

昨日、新型コロナ対策規制が強化されたメルボルンが世界的なニュースになっているようです。その論調は「たったの671人でここまでやるのか」みたいなところがありますね。

これまで出されていた規制は、1回目の感染拡大の時に大きな効果を見せて拡大を速やかに止めたレベル3の規制。

簡単に言うと、4つの理由(食料や生活必需品の買い出し、医療や介護、運動、在宅で行えない場合の労働と教育)以外の目的での外出は禁止、3人以上の集会が禁止ということですが。

前回は、新規感染者がピーク時でも111人、死亡者はピークが過ぎた時点で15人と少なかったこともあって、新型コロナの被害と比較して経済被害が大きすぎるということから「ヴィクトリア州はやり過ぎである」と非難されたりもしました。

しかし、州民のほとんどは州政府の対応を指示していました。イタリアやスペインの悲劇を見ていましたからね、油断したら自分達もああなると恐れていましたから。

感染者がほぼゼロとなって規制の緩和が進み、市民の暮らしも元に戻りかけた頃に始まった2回目の感染拡大。レベル3に逆戻りも仕方がない、再び6週間我慢すれば元に戻る、そう思っていたのに、2回目は非常に深刻です。

新規感染者が288人となって「にひゃくはちじゅうはち?」と衝撃を受けたのは7月10日のことですよ。それが300人を超え、400人を超え、700人を超え。

義務付けられたマスク着用の効果が現れるのを待つうちにも感染者は日々増え続ける。

そして、昨日の新規感染者数は671人だったのですけど、懸命に続けられている感染経路の追跡調査の結果、感染元も場所も不明の人が760人となったことが規制の強化を決断させたそうです。

それだけ市中に新型コロナウイルスが広がっているということですからね。

メルボルンの北西部に集中していた感染者もじわじわと東部へ広がって、私が住んでいる地域の現在発症している患者数も50人を超えました。ここよりもずっと東の方のキルサイスという町の高齢者介護施設では100人を超える集団感染が発生しています。

ここで抑え込まないと手の施しようがなくなるということでですね、

人の動きと接触機会を減らすためのルールが追加されました。

夜間(20:00〜5:00)の外出禁止(医療や介護、労働は除く)
買い物は1世帯から一人だけ外出許可
買い物は5キロ圏内に限る(常識的に考えて例外あり)
運動も5キロ圏内で一日1時間まで
学校は休校(例外あり)

そして、

今日は、企業や小売店、飲食店などへの規制の詳細が発表されます。業種によっては営業禁止になったり勤務時間の制限などがおこなわれるそうです。基本的に、食べ物を販売する店や生活必需品を取り扱う店は通常通りに営業されますから、安心してくださいとのことです。

それにしても、ほとんどのヴィクトリア州民はこうした規制を「しかたがない」と黙って受け入れて従っていますよ。米国の呆れて物が言えない大混乱を見ていますからね、反面教師じゃないけど「自分達はああはなるまい」ということでして。

メルボルンにも Karen はいます。マスク反対派もいますし、規則を無視して遊びに出かけたりパーティーしたりするバカ者もいます。でも、ほとんどの市民は、問題の深刻さを理解していて、自分が何をするべきなのかが分かっていると思います。

アンドリューズ州首相と州保健省の主任医務官ブレット・サットン氏が、毎日毎日これだけ説明して市民へのお願いをしているんですからね。

余談ですが、イケメンの主任医務官サットン氏は、近頃「HOT(セクシー)」だということで人気が急上昇しているんですよ。常に静かで落ち着いていることから「Mr. Calm」とも呼ばれています。超忙しいらしく、最近無精髭が伸びてやつれてきていますが、同じことを言われてもね、この人が言うと素直に「そうか」と納得して従っちゃうところがあります。


若い頃のサットン氏。


サットン氏は、ヴィクトリア州の公共医療で経験を積んだ医者で、伝染病のスペシャリストでもあり、アフガニスタンや東ティモールなどの紛争地域で医療活動をおこなった、医療に使命感を持つ人です。9歳の時に父親が家で脳卒中で倒れて亡くなったことが、医者になるきっかけだったそうです。


ヴィクトリア州政府の対応は、多くの市民に指示されていますし、私もよくやっていると思いますが、連邦政府もよくやっていると思います。

現在の連邦政府は労働党ではなく保守政党である自由党と国民党の連立政権ですが、経済はもちろん大事だが人命はもっと大事という姿勢を示したことは評価したいです。

新型コロナのような重大な問題で対応を誤ると、選挙が国民の義務で投票率ほぼ100%のオーストラリアでは、次の選挙で負けるのは確実ですからね。


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