2020年7月30日

新型コロナと認知症のこと

メルボルンの新型コロナ感染拡大は、高齢者介護施設で特に深刻です。

多数の感染者が出ている施設では、入所者だけではなくスタッフの感染者も多く、介護も施設の運営も行えない状況になっており、そうした施設には病院の医療スタッフやオーストラリア軍の医療スタッフが入りました。

そして、感染した入所者は病院に移しています。

当然病院は、新型コロナ患者に対応するため、他の患者への対応を減らす必要があります。命に関わらない手術は全面的に中止されました。うちの息子のいぼ痔の手術は、すでに半年以上待っているんですけど、さらに待つしか無くなりました。

さて、

高齢者介護施設ですが、オーストラリアではそうした施設の入居者の半数が認知症を患っているそうです。移民の国ですから、英語は第2言語という人が多いです。そして、認知症の高齢者の多くは、第2言語を忘れてしまうそうです。

どの様な病気の場合もそうですが、医者とのコミュニケーションが取れないと診断が困難です。

メルボルンには、ギリシャ人用とかイタリア人用とか中国人用とか、国別に特化した高齢者介護施設が多くありますけど、そうした施設では入居者達の第1言語でコミュニケーションができるスタッフが勤務しています。

提供される食べ物も、文化的な配慮がされるわけです。

日本人用の高齢者介護施設というのは聞いたことがありません。いつか英語を忘れて日本語しかできなくなっても安心して暮らせて、美味しいご飯や味噌汁や納豆が食べられる、そんな施設があるといいのでしょうけど。

新型コロナの感染拡大で環境が変化すると、例えばスタッフが防護服を身に着けたり、知らないスタッフがやって来たり、部屋から出られなくなったり、病院に運ばれて環境が一変したりすると、認知症の人はより大きな影響を受けるそうです。

極度の緊張や興奮でせん妄状態に陥りやすく、記憶や思考力がさらに悪化します。

ですからね、介護施設には入居者のことをよく理解しているスタッフがいることが必要なんですって。そして、家族や親しい人達とゆっくり時間を過ごせることが重要だそうですけど、現在多くの施設では家族は訪問できなくなっていますし、スタッフが次々に感染したり隔離されたりしているわけです。

私も、高齢者問題は他人事ではなくなってきていますから、新型コロナによる高齢者施設の悲劇的な状況を見ていると胸が痛みます。


今日の新規感染者数は、衝撃の723人でした。

現在5770人の患者がいます。入院している人は300人以上で、集中治療室に入っている重篤患者は42人です。新たに13人もお亡くなりになりました。死亡者が今後更に増えることは確実だそうです。

私にできることは、できるだけ家にいること。外に出る時はマスクを付けることと他人と1.5メートルの距離を確保すること。帰ったら手洗い。もしも症状が出たら検査を受ける。そして結果が出るまでどこへも行かないこと。難しいことではありません。


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