2020年7月20日

金儲けとレバノン人

ビジネス感覚に優れたと言えば聞こえがいいですけど、金儲けに貪欲でそれが上手い民族と言えば、

ユダヤ人と華僑ですよね!

ユダヤ人は、文学作品などでは金貸しで儲けている狡賢い民族というイメージですけど、世界的な有力金融機関は実際ほとんどがユダヤ系です。イスラエルや欧米諸国を中心に世界各地で強力なコミュニティを形成しているユダヤ人達は、世界中の莫大な富の多くを所有しているんですよね。米国の大富豪ランキングトップ50のうち30人以上がユダヤ人だそうですし。

一方の華僑は、中国から海外へと移り住んだ漢民族とその末裔のことで、中国や台湾はもちろん、東南アジア諸国にも、欧米にもアフリカにも、ものすごい数の華僑がいます。彼らは、金儲けができる商売全てにおいて貪欲です。

ところで、

オーストラリアに住むようになってから、金儲けに貪欲なのはレバノン人という話を良く聞きました。うちの夫は、ことあるごとにそう言います。金儲けと言えばレバノン人だと。

レバノンと言えば、カルロス・ゴーンが逃げ込んだ国ですね。現在深刻な経済危機が進行しています。貧困層はもちろんのこと中産階級でも生活に困窮するような危機的な状況だそうです。

レバノンとかイスラエルとかシリアとか、あの辺りは民族と宗教宗派の対立で紛争が続いた本当に複雑な歴史のある地域です。聞くところによると、レバノンという国は、土地の実力者や、信仰とはかけ離れて利害集団と化した宗派集団において地位のある人達ばかりが利益を得られるような仕組みになっている国だそうで、そうした人々が政治も経済も牛耳っているので、彼らの利益を損なうような政治改革や経済改革が行われるわけがないのだとか。

紛争や内戦で不安定な国を逃れ世界各地に移住したレバノン人は、移住先の国々で財を成し、そうした在外レバノン人からの送金(レバノンの銀行への預金)がレバノンの国家財政を支えているそうです。

国の財政を支えるほど稼いでいるということからも、夫の「金儲けと言えばレバノン人」という言葉の意味するところも分かる気がしますけど。

実は、うちの夫が勤めるツールショップ会社のオーナーは、若いレバノン人の兄弟です。

不動産バブルのオーストラリアで(いまだにバブルは崩壊もせずに膨らみ続けています)若くして始めた建築業で成功した兄弟は、建築関係の仕事に従事する労働者や建築会社を対象としたツールショップを開業しました。

どういう人達がどういうツールを必要としているのかをよく知っていましたからね。DIYのアマチュア向けのブランドは取り扱いません。プロが使う道具や機械に特化したツールショップです。

これが上手くいき、店舗をどんどん増やしました。大量購入で原価を抑えて販売価格も抑えるので、売上は伸びる一方です。

おまけに、若い兄弟は、SNS や YouTube などを活用し、新しい販促ツールをどんどん取り入れて、多くの顧客とつながっていきました。オンライン販売もいち早く取り入れました。どういうニーズが有るのかを良く知っていたのです。

今年の初め、新型コロナが始まった頃、兄弟は手指消毒薬の需要を見込んで、エチルアルコールのメーカーを買収しました。その後、オーストラリアの大手スーパーに手指消毒薬を独占的に提供する契約を結びました。

マスクの需要が伸びることも見込んで、大量の在庫も確保していました。

外出規制の中で、すでに確立していたオンライン販売も強みとなっています。

このようにして、この若いレバノン人兄弟は、今年に入ってから過去最大の利益を上げているのだそうです。

スタッフへの要求も多いし期待も高いので、勤めているうちの夫なんかヘトヘトになるわけですが、努力と成果には報酬で報いるので、ハングリー精神のある皆さんにはやりがいがあるでしょうね。

店舗のスタッフが新型コロナに感染した場合の影響の大きさをよく分かっていますから、随分前からスタッフのマスク着用や手指の消毒、来店者には連絡先を記入してもらうなど、細かな対策を指示していたそうです。

次々と思いつき、実行する!

成功する人達というのは、やはり成功する理由がありますね。この兄弟は、金儲けの上手なレバノン人の典型です。

さて、明日の深夜からメルボルンではマスクの着用が義務ですよ。


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