2020年6月2日

リーダーシップ

米国のミネアポリスで、黒人男性が白人警察官に頸部を膝で強く押さえつけられて死亡した事件をきっかけに、米国各地で暴動が発生しています。

新型コロナの影響もあって、米国における根深い人種人権問題を再び露呈する大問題になっていますが、オーストラリアにも同様の問題が存在します。

アボリジニと呼ばれる先住オーストラリア人に関する問題です。

オーストラリアには悪名高い白豪主義の歴史がありますが、入植初期の頃にはイギリス移民(多くは流刑囚)によって、まるでキツネやウサギを殺すようにアボリジニが虐殺されました。アボリジニを捕獲・殺害する権利が法律で認められていた時期もあるのです。

後には、保護政策に名を借りた強制移住がおこなわれました。現在多くのオーストラリア人が住む東海岸沿岸部の豊かな地域に居住していたアボリジニは、白人との衝突を避けるために白人入植地域から遠く離れた内陸部の不毛の乾燥地域に追いやられて行きます。

アボリジニの子供を「進んだ文化」の元で育て、イギリス式の教育を受けさせるとの建前で実施された恐るべき政策もありました。この政策では、10万人ものアボリジニの子供達が親から引き離されて、多くは強制収容所や孤児院など監獄のような環境の施設に送られました。そこで虐待を受けた子供も多かったのです。この政策による悲劇は、「Stolen Generation(盗まれた世代)」と呼ばれています。

この問題は、オーストラリア国内でも知られていませんでしたが、犯罪を犯して警察に捕まったアボリジニが勾留中に自殺するケースが相次いだことから、その調査のために彼らの生育歴や家庭環境が調べられた結果、多くが幼少期に親から引き離された経験があることが分かり、この問題がオーストラリア社会に広く知られるきっかけになりました。

現在では、法律上はアボリジニはオーストラリア国民としての権利を有していますし、政府からは経済・教育・就労など様々な優遇や特典を得ていますが、一般的オーストラリア人との経済格差は大きく、アボリジニに対する差別意識は根強いと言われています。

アボリジニの犯罪率はアボリジニ以外の平均よりも遥かに高いため、彼等が警察と関わる件数も多いわけですが、警察に不当な取り扱いを受けたことが原因で死亡したとか、不当な環境で勾留されたとか、そうした事件は度々起きています。世界的なニュースになることがないので、皆さん知らないだけです。

オーストラリア国内では、アボリジニに関する事件は政治問題になりやすいでの、メディアも敏感です。

このため、アボリジニの犯罪に対して警察官が弱腰になるケースも発生しています。強く対応して差別者などと批判されることを恐れるためです。

アボリジニの男性によるアボリジニ女性や子供に対する性的虐待や家庭内暴力が、近年問題になっています。特に増えたということではなく、近年になって犠牲者が犯罪を届け出るケースが増えたということだそうですけど。

この問題に関しては、警察がもっと強く介入するべきだと批判されています。

様々なアボリジニの社会問題の解決に向けて取り組むアボリジニのリーダー達が現れてきています。男性の暴力を許している自分達のコミュニティーの文化が問題なのだと、啓蒙に努めている女性達がいます。

問題に関して声を上げ、解決や改善の方法を模索し、人々を教育し、変化を起こす。

リーダーシップ、米国もそれを必要としていますよ。


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