2020年6月11日

TV番組「フィルシーリッチ&ホームレス」

賞を受賞したSBS放送のドキュメンタリー番組「フィルシーリッチ&ホームレス(Filthy Rich and Homeless)」のシーズン3が今週放送されています。

この番組は、非常に裕福で社会的にも成功しているオーストラリア人5人が、ホームレスを体験するという番組ですが、ただ単にホームレス状態を体験するのではなく、ホームレスという状況で生活している人々やそれを支援する組織の現状や問題を体験を通して知り、視聴者にも疑似体験させてくれるというものです。

シーズン1も2も見ましたが、今回のシーズン3もパワフルです。

ホームレス状態になっている人々のほぼ100%が、人生においてトラウマとなるような経験をしています。怪我をしたり病気になって仕事ができなくなり収入が途絶えると、たちまちホームレスとなってしまう社会の仕組みがあります。

オーストラリアは、賃貸住宅の家賃が著しく高いので、Centrelink(センターリンク)で給付金をもらえても、およそ2週間で500ドルの給付金(1週間当たり250ドル)では暮らしていけません。

私がメルボルンに暮らし始めてずっと思ってきたことの一つが、なぜ低所得者用の住宅がないのかということです。一部にはありますよ。メルボルンの中心部に近いエリアには、低所得者用高層アパートが幾つかあります。

しかし、あまりにもその戸数と地域が限られているんです。

私達家族は、一時期生活に困窮し、家賃や光熱水道電話料金などが払えなくなったどころか、食べ物を買うお金もなくなったことがあります。クレジットカードも限度額いっぱいまで使ってしまい、もうどうすることもできなくなりまして、ホームレスになる一歩手前でした。

義妹の経済的な援助のおかげでどん底を脱した後、暮らしは少しずつ楽になりましたが、あの時、援助してくれる家族がいなかったら私達がどうなっていただろうかと思うと涙が出そうになります。あの頃のストレスが娘の病気の原因になったことは間違いありません。

精神的な病気になって働くことができなくなる場合も多いそうです。ホームレスになってそれがさらに悪化します。

ドラッグやアルコールの中毒者になる場合もあります。

家庭内暴力から逃げるためにホームレスになる女性も多いそうです。

トランスジェンダーの人達は、家族に受け入れてもらえず家を出るしか無くなって、ホームレスになる確率が高いそうです。

危険な毒親や家庭環境から逃れて、ホームレスになる子供達も大勢います。

こうした人々を支援する組織もありますが、まったく数が足りていません。そして、ホームレス状態になる人々は増え続けています。

ホームレス問題解決に私ができることは無いかもしれないけど、ホームレスの人達に親切にしようとは思うようになりました。ホームレスになっている人々は、危険な人でも怠惰な人でもないと知ったからです。

お金をあげてもきっとそれをドラッグやアルコールに使ってしまうのだろうと決めつけるのは間違いだと知ったからです。

時々買い物をする ALDI というスーパーの前でホームレスの人を見かけることが良くあります。買い物を済ませて店から出て来た人達の中に、買って来た食べ物をショッピングバッグから取り出して、彼らに分けてあげている人がいます。

困っている人達がいても、視線すら合わせようとせず無視して通り過ぎていた私は、この番組がきっかけで考え方が変わりました。

せめて、無視するのはやめようと決めました。せめて彼らに同情し、何かしてあげられることがあればしてあげようという気持ちくらいは持とうと思うようになりました。

今晩は、シーズン3の最終回です。


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