2020年6月8日

観衆なしでプロスポーツ再開

テレビ番組やラジオ番組制作の際の音声編集で、収録した映像と音声に笑い声などの効果音を後から追加することにより、あたかも番組を見ている観客がリアルタイムで笑っているような臨場感を出して視聴者の笑いを誘起しようとする技法がありますが、オーストラリアでは「大歓声」の効果音が話題になっています。

新型コロナの規制でプロスポーツもほぼ全て中止されていたわけですけど、規制の緩和によりラグビーやフットボールなどの試合が再開されたです。

ただし、試合が行われているスタジアムに観客はいません。

一昨日メルボルンで実施された先住オーストラリア人(アボリジニ)に対する警察の対応や根深い差別への抗議デモでには1万人もの人が集まりましたけど、ヴィクトリア州では20人を超える人数の集会は禁止されているのですから(お葬式は50人まで)スタジアムに行ってラグビーやフットボールを生観戦ということはできません。

テレビ観戦が唯一の手段ということになります。

テレビカメラが追う選手たちのプレーをテレビで見ている分には、普段と変わりはなく、観客がいないことは全く気になりませんよ。実況アナと解説者はいつも通りなんですし、観客席が映れば「ああ観客がいないな」くらいに感じるだけです。

実況アナと解説者の声とともに、いないはずの観客の大歓声がずっと聞こえます。

違和感は全くありませんから言われないと気づかないかもしれません。

実際には、選手たちはシーンと静かな観客のいないスタジアムでプレーしているのです。選手を興奮させ、気持ちを鼓舞し、より高いパフォーマンスを引き出すであろう観客の声援はないのです。

ラグビーリーグでは、カードボードを切り抜いた等身大パネルを観客席に置いたりしています。熱心なファンは、22ドルを払って自分の代わりに自分の(あるいは好みのデザインの)等身大パネル客席に置いてもらえるのです。

シーンと静かなスタジアムで、客席に等身大パネルがずらりと並ぶ中で、あの激しいラグビーをプレーするのは、一体どんな感じなんでしょうか。

プロスポーツのテレビ中継における「大歓声」効果音については、概ね好意的に受け取られているようです。そりゃあ歓声が聞こえた方が、観る者には楽しいですからね。

等身大パネルも好評のようです。問題も起きていますけど。

例えば、アドルフ・ヒトラーの等身大パネルを置いていたことが批判されたりしました。22ドル出してそれを注文したファンがいたということなんですけど、何でも自由というわけにはいきません。

ラグビー再開後の初回テレビ中継は、近年まれに見る高視聴率だったそうです。


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