BBCのウェブサイトでストリートキャットのボブが亡くなったとのニュースを読んで、私は初めてボブのことを知りました。
ネコの死がなぜニュースになっているのかと興味を持って記事を読んだら、なんとも心温まるいい話だったのです。
ストリートキャット(つまり野良ネコ)のボブと、ボブとの出会いで人生が変わったジェームズ・ボウエンさんのストーリーは、「ボブという名の猫(A Street Cat Named Bob)」という本にもなっているそうです。この本は40カ国語以上に翻訳されて800万部の大ベストセラーになり、映画化もされたそうなのに、私は全く知りませんでした。
ジェームズ・ボウエンさんは英国人ですが、両親の離婚後、母親とオーストラリアに移住しています。引っ越し続きで友達ができず、学校ではいじめにも合い、義理父との関係も上手くいかず、ハイスクールを中退して17歳の時に英国に戻ったそうです。
片親の違う姉夫婦の元に身を寄せましたが上手くいかず、ホームレスになり、苦しみを紛らすためにヘロインを常用するようになります。
このジェームスさんが、ロンドンの人気スポット「コヴェント・ガーデン」でギターを弾きながら歌を歌うバスキングで日銭を稼ぐ暮らしをしていた頃、怪我をして弱っていた茶トラ猫に出会うのです。
飼い主を探しても見つからず、放っておくこともできず、ジェームスさんは茶トラ猫を動物病院に連れて行き化膿止めの抗生物質を処方してもらいますが、代金は彼が一日に稼ぐ日銭以上の金額でした。
ボブと名付けられた茶トラ猫は、ジェームスさんの下ですっかり回復し、ジェームスさんから離れません。
ある日、ボブがバスキングに出かけるジェームスさんの後を追いかけてバス停までやって来た時、ジェームスさんはこの猫と一緒に生きていくことを決意したそうです。
ボブの面倒をみるということが自分の生きる目的となり、人生に意味を見出した彼はヘロイン中毒も克服します。
そして、茶トラのボブとのバスキングが話題になって稼ぎも増え、ホームレス支援のチャリティー雑誌「ビッグイシュー」をもっとたくさん売れるようになってホームレス仲間の助けもできるようになり、さらに彼らのストーリーが本になり、映画にもなって、ジェームスさんの人生は大きく変わって行ったのです。
そのボブが、15日に息を引き取りました。
早速、ジェームスさんの最初の本「A Street Cat Named Bob」を注文しました。読むのが楽しみです。
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