先日、黒カビに覆われて腐ったキッチン床の件でいらっしゃった保険会社の調査員ラッセルさんとカビ処理の専門業者ギドンさんと三人で、被害状況や今後の工事のことについて話し合いをした時のこと。
ラッセルさんとギドンさんは仕事上知り合いのようでしたけど、最初はずっとビジネスライクに話していたんです。
話し合いの途中で、ラッセルさんが私に聞きました。
「ところで私は、あなたの名前をお尋ねしましたでしょうか?」
「いいえ、(義妹の名前)でお呼びになったので、それは義妹の名前だと言いましたけど、私も名乗りませんでした。失礼しました、私の名前はヒロコです」
それを聞いたギドンさん、
「それって日本人の名前じゃないですか?」
「そうです、日本人です」
それを聞いたラッセルさんの顔がパッと明るくなりまして「日本人ですか!」
「ヒロコは私の世代ではよくある名前なんですよ。そう言えばラグビー監督のエディー・ジョーンズさんの奥様もヒロコさんだそうです」
ラッセルさん「エディー・ジョーンズは現在私の最大の敵ですからその名前は聞きたくない!えっ?なに?エディー・ジョーンズの奥さん、日本人なんですか?」
ここからですよ、
ビジネスライクだった我々三人の関係が激変することになるのです。
アフリカ人のようでもあるしインド人のようでもあるけど肌の色はそれほど黒くないラッセルさんは、南アフリカ出身だそうで、ラグビーの大ファンでした。スプリンボックスの大ファンだから、日本で開催されているラグビーW杯を有料放送に加入してきっちりフォローしており、日本代表チームの躍進ぶりと開催国日本の人々のサポートぶりに心を動かされていたそうです。
なるほど、私が日本人と分かった時の表情の変化は、そのせいだったか。
サッカーはフォローしているけどラグビーはよく知らないというギドンさんに、ラッセルさんが日本のこと、日本代表チームのことを褒めまくるのを聞きながら、嫌な気がしないどころか「サンキュー」を連発して褒められる喜びに浸る私でございました。
知り合いだったけれども個人的なことは知らなかったらしいラッセルさんとギドンさん。ギドンさんは、その日ラッセルさんが南アフリカからの移民だと初めて知ったのでした。
「ところで、ギドン、君はどこかの国出身なのかい」
「ああ、ボクはイスラエルから来ました」
「私、イスラエルがラグビーするのを見たことない」
「うわっはっはっは、イスラエル人はラグビーはしないよ」
「あはははは、そのとおり。イスラエル人はラグビーはしません。スポーツはしないんです」
…と、
すっかりファーストネームで呼び合うフレンドリーな関係に急変した我々三人は、腐った床のことなどすっかり忘れて、しばらくラグビーの話題で盛り上がったのでございました。
それにしてもね、
外国人に自分の出身国について敬意を持って語られたり感謝されたりするのは、なんとも嬉しいものでしたよ。
ありがとうニッポン!
明日はいよいよ南アフリカ対イギリスの決勝戦です。
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