2019年11月26日

石のように固まった子供

クリスマス商戦たけなわの今日この頃。

ショッピングセンターでは、サンタクロースとの写真撮影会場が大盛況でございます。どこのショッピングセンターに行っても、いらっしゃいますね、サンタさん。

オーストラリアでは、毎年このアルバイトを楽しみに、髭を伸ばしてお手入れを怠らず、サンタにふさわしい体型維持にも努める中高年男性が大勢いらっしゃるんですよ。

流石に髪の毛はカツラでも、立派な白いひげは自前というサンタさんも多くて、大人が見てもかなり説得力のある容貌です。

さらに、お金のために仕方なくやっているのではなく、毎年これを楽しみにしているような皆さんは、すっかりサンタになりきっていて、子供達との会話も上手です。

ところで、

私が幼かった頃、サンタさんが保育園にやって来たことがありました。

幼い頃の記憶はほとんど無いのに、あの時のことだけは鮮明に覚えているんです。

写真を見れば、そのサンタさんは女性であって、給食室にお勤めだった女性の一人が扮装しているとすぐに分かるのですがね、あの時の幼い私は、もう怖くて怖くて死にそうだったんです。

プレゼントを貰いにサンタさんに近寄らなくてはならず、勇気を振り絞ったというか、逃げようにも逃げられなかったという記憶があります。

集合写真で端っこの方に写っている私の厳しい表情を見れば、どれだけ怖かったかが分かるというもの。

それはさておき、

つい先日のこと。

近くのイーストランドというショッピングセンターに行った時、例のサンタさんとの写真撮影会場の横を通り過ぎた時に、石のように固まった子供を目撃したのです。

平日の朝ということもあって行列などなく、ほんの二〜三人の子供達がお母さんと並んで順番を待っていましたが、ちょうど私が通りかかった時に順番が来た女の子が、そのキラキラと輝くこの世のものとは思われないような場所の入口から母親とスタッフに急かされて一歩中に進んだものの、

そこで固まっちゃって動かないの!

「さあ行きなさい」と母親は背中を押して急かしているんだけど、上目遣いにサンタを凝視したまま突っ立って前に進もうとしない。

ああ…

どうぞ、母親やスタッフが上手に対応しますようにと、私は祈るような気持ちでした。

「頑張って行かないとプレゼントがもらえないよ」とか「写真を撮ってもらわないと払ったお金が無駄になるわよ」とか、子供にプレッシャーを掛けるようなことを絶対に言わないでもらいたいもんだと、心の底から思ったのでございます。

私のような子供にとって、

見も知らぬ現実離れした容貌の人物が、現実離れした場所に座っていて、自分はその人が居る所まで行って横に座るか、場合によってはその人のお膝に座らされて、おしゃべりなんかもさせられて、一緒に写真を撮るなんていうのはですね、

恐怖以外の何物でもないのでございます!


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