2023年11月4日

毒キノコ殺人事件と探知犬

野生のキノコを採って来て料理して食べたらそれが毒キノコで、食べた方がお亡くなりになったというお気の毒なニュースを聞いて「野生のキノコは食べない方がよろしい」という記事を書いたのは8月8日です。

ヴィクトリア州南東部の小さな町で、教会の牧師さんをしていらっしゃる方とその奥さん、奥さんのお姉さん夫婦の4人がランチに食べた料理にデスキャップという毒キノコが含まれていたという話でした。

4人全員が激しい腹痛と嘔吐下痢の症状で病院に運ばれましたが、牧師さん以外の3人がお亡くなりになり、牧師さんは重体だというのが最初のニュースだったんですけど。

写真の左端の方が牧師のイアン・ウィルキンソンさんです。この方は、その後回復して元気になられています。肝臓移植が必要な状況ということでしたが、移植手術を受けられたんでしょうかね。7週間も入院されたそうです。

その隣りが亡くなられた奥さんのヘザーさんで、右のお二人がパターソンさん夫婦です。

ABCニュース

デスキャップ入りの「ビーフ・ウェリントン」という料理を作ったのは、亡くなった方達ではなくて、パターソンさん夫婦の息子の元嫁にあたる女性でした。

野生のキノコを食べた人が亡くなるのは珍しいニュースではなかったので、このニュースが最初に報道された時にはお気の毒な事故だと思っただけだったんですけど、これがおかしな話になって行きましてね。

事故じゃあなくて事件じゃあないのかとヴィクトリア州では大きな話題になったんですよ。詳しいことは「おかしな話になってきた毒キノコ事件」を読んでください。

メディアが報道していた内容から判断すると、どう考えてもただの事故とは思えませんでした。料理をした女性は野生のキノコ狩りのベテランだということも分かったんですが、女性は料理に使ったキノコはお店で買ったと主張したんです。

しかも、あるアジア食品店で「手書きの白いラベルが貼ってあった」乾燥キノコだったと言ったんですよ。

メディアは、女性の家があった地域のアジア食品店をしらみつぶしに全部取材して、デスキャップという毒キノコが混じった乾燥キノコを販売するなんてありえない話だと結論付けていました。

この女性は、野生のキノコ狩りのベテランでしたから、採って来たキノコはフードディハイドレーター(食品乾燥機)で乾燥させていたらしいのですけど、死者が出た「ビーフ・ウェリントン」のランチの後で、フードディハイドレーター(食品乾燥機)をごみ処理場に捨てに行っているんです。

その時点では誰も死んでいなかったんですけど。

「おかしな話になってきた毒キノコ事件」は、さらに怪しい話になって行きました。それは「毒キノコ事件の続報」に書きましたので、興味のある方はそちらの記事もお読みいただくとして。

さて、

このニュースね、やはり事故ではなくて事件だったんですよ。

今週の木曜日に、「ビーフ・ウェリントン」を料理して4人に食べさせた元嫁の女性が逮捕されたんです。そして、数時間後には起訴されたと報道されました。

女性は、エリン・パターソン(Erin Patterson)容疑者(49歳)です。

ABCニュース

この女性が逮捕されたと聞いて驚いた人などいないでしょう。逮捕されてあたりまえだと誰もが思ったはずですが、私は罪名に驚きました。

3件の殺人と5件の殺人未遂だったのです!

死亡したのは3人ですから、3件の殺人というのは分かるんです。

殺人未遂5件のうち、重体となったものの回復された牧師さんは、殺人未遂でしょう。この日のランチには、元夫さん(毒キノコで亡くなったパターソンさん夫婦の息子さん)も来ることになっていたのに急用で来れなかったために助かったんですが、これも殺人未遂に数えるのでしょう。

残りの3件の殺人未遂は何?

どうやら、エリン・パターソン容疑者は、これまでの3年間に3回も元夫さんに毒キノコか何かを食べさせて毒殺を試みていたらしいのですよ。

元夫さんは、昨年の5月(まだ離婚する前)に原因不明の内臓の病気で入院していたことが分かっていました。3週間も集中治療室にいて、一時は命が助からないと思われるほど重篤な状態に陥ったそうですが命は助かりました。

回復には何ヶ月も要したそうで、その間は両親の家に住んでいたそうなんですよ。元夫さんは、妻のエリン・パターソン容疑者が自分を毒殺しようとしたのではないかと疑っていたそうなんです。

警察は、この原因不明の内蔵の病気が毒キノコ中毒だった可能性を調べていると報道されていましたけどね。

合計4回も毒殺しようとしたってことですか!

逮捕して起訴したということは、それだけの証拠があるということでしょうけど、この事件の今後の展開に注目したいと思います。

動機は何だったんでしょうか。恨み?憎しみ?復縁を希望していたと報道されていましたけど、復縁したい人に毒キノコを食べさせたりしませんよ。

エリン・パターソン容疑者は、亡くなった母親の遺産のおかげで複数の不動産を所有する裕福な人らしいですから、夫の保険金とかが目当てではないでしょうしね。


ところで、木曜日に逮捕された時、警察は特別テクノロジー探知犬なる犬を連れて行って家の中を捜索したそうです。この犬は、コンピューターのハードドライブとかUSBメモリースティックとか、スマートフォンのSIMカードとか小さなSDカードとか、そういう電子機器を見つけられるんだそうですよ。

すごい犬がいるんですねえ。

電子機器に使用されている特有の化学物質を嗅ぎ出すのは、麻薬や爆発物を嗅ぎ出すよりもはるかに難しいそうです。

そうした電子機器には、書類や画像・動画といったファイルはもちろんのこと、通話履歴とか検索履歴といった犯罪の証拠となるものが残されていたり記録されていたりするので、それらを見つけ出すことは非常に重要なことなんです。その大きな助けとなっているのが、特別テクノロジー探知犬なんだそうです

優秀な探知犬の中でも特に優秀な犬だけがこの特別テクノロジー探知犬になれるんだそうですが、難しいトレーニングにおいて「食べ物」がモチベーションになるんだそうですよ。

ですからね、この探知犬になるのは食べることが大好きな食いしん坊であるラブラドールが多いそうです。確かにラブラドールは食欲旺盛で、食べ物欲しさでいろいろ頑張りますからね。


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