2023年11月13日

お料理実演ショーで涙

素晴らしい天気に恵まれた昨日の日曜日、クロイドン(Croydon)という街のタウンパークで「マルンダ・フェスティバル」というイベントが開催されました。

「マルンダ」というのは地方自治体の名前です。毎年この時期にマルンダ市が主催して開かれるお祭りですが、私達家族は長くマルンダ市に住んでいたのに行ったことがありませんでした。

こうしたイベントでお料理の実演ショーをしていらっしゃる知人のLさんが、昨日の「マルンダ・フェスティバル」でも実演ショーをされました。ハイスクールの頃からLさんのアシスタントを務めているうちの娘も出演するので、うちの夫と一緒に初めてこのフェスティバルに行きました。

ものすごい人出でした。あんなに大きなフェスティバルだとは知りませんでしたよ。私達は、まず最初にお料理の実演ショーが行われているテントに行きました。

ミャンマー(ビルマ)料理の実演が行われていました。キャベツやニンジンなどの野菜を千切りしたものと麺を甘辛いタレで和えた料理で大変美味しかったのですが、驚いたのはLさんの声。

風邪をひいたのか喉を痛めたのか、声がかすれて聞き取れないほどだったんです。お料理の実演ショーですからね、お客さんといろいろおしゃべりをしながら料理の作り方を説明していくわけですが。

中華系のマレーシア人であるLさんは英語が堪能ですが、一緒に作っていたおそらくミャンマー人のシェフの方はあまりしゃべりませんでしたし、その人は英語が流暢ではなかったですから、Lさんが声が出ないとなると実演ショーとしては問題です。

アシスタントのうちの娘は、出来上がった料理を紙皿に取り分けたりしていました。

ミャンマー料理が終わった後、しばらく広い会場を見て回りました。とにかく来ている子供達の数がすごかったです。幼児からハイスクールの年齢まで、子供達が楽しめるようなアクティビティーやアトラクションが豊富に用意されていました。

移動遊園地もありましたしね、野外コンサートもしていました。人がとにかく多過ぎて、食べ物を売る店の前にはどこも行列が出来ていました。

再び実演ショーのテントに戻りましたら、今度は中国人の皆さんがダンプリング(餃子)を作っていました。

びっくりしたのは、ミャンマー料理の時にはただのお手伝いだったうちの娘が、マイクをつけてステージ上で話をしていたことです。

お料理をしていたのはLさんと中国人のゲストの皆さんで、うちの娘はその後ろに立って説明をしたりお客さんを楽しませるおしゃべりを展開していたんですが、話す内容がいちいち的確かつ絶妙で、しかも娘の英語はネイティブのオーストラリア英語ですから分かりやすいわけですよ。


Lさんは、完全に声が出なくなったようでした。

中国人の皆さんは全くしゃべりません。女性達はひたすら餃子を包んでいて、スーツ姿で参加していた男性が目にも止まらぬ早業で餃子の皮を麺棒で伸ばしていました。

中国人の女性達の一人がマイクを持って時々しゃべっていましたけど、この方の英語はカタコトで何を言っているのかがよく分からないし、何を言おうとしているのかもよく分からないんです。

ですからね、その方が言おうとしていることを分かりやすく説明し、その10倍くらいの情報をユーモアを混じえて話すうちの娘のおしゃべりがとにかく秀逸でした。

話が上手なだけではなくて、内容がね、娘が大好きで得意な食べ物と料理に関することなわけですからまさに水を得た魚と言いますか、本当に素晴らしかったんですよ。


いつの間に、こんなステージ上でお客さんを前に話ができるようになったのでしょうか。それもあれほど上手に。

私は本当にびっくりしました。

パニック障害で家から出られなくなっていたこともある娘です。様々な不安障害の症状で、小学生の頃から長年苦労したんです。人が大勢集まる場所になんか、行くことも出来なくなっていた時期が長かったのですよ。

そんな娘が、お料理の実演ショーのステージで大勢のお客さんを前にして話をするなんて、数年前までは全く考えられなかったことなのです。

私は感激して涙が出ました。

ダンプリング(餃子)のことについて、材料の食材や作り方について、文化や伝統について、お客さん達を楽しませるおしゃべりを展開しながら、急に客席にいる私のことを話し始めました。

多くのことを私から学んだとか、ダンプリングに包む具が余ったら丸めてハンバーグのように焼けば良い、うちのお母さんはいつもそうするとかね、本当に楽しくおしゃべりを続けてお客さんを楽しませましたよ。

そして実演が終了し、片付けを始める前に私のところにやって来ると、私をハグして言いました。

「お母さん、私すごいでしょ!人前でなんて喋れなかったのに!」
「ホントよねえ!すごいわよ!誇りに思うよ!」

Lさんが声が出なくなったおかげで、娘の成長と変化を目にすることが出来た実演ショーでした。この後、実演ショーはフェスティバルが終了する4時まで続いたそうで、司会やおしゃべりは娘がしたんだそうです。

これをお読みの皆さんの中に心の病気で苦しんでいる方がいらっしゃったら、あるいは皆さんの家族や知り合いに苦しんでいる方がいらっしゃったら、私はお伝えしたいです。

心の病気は、適切な治療で良くなります。うちの娘は、そのいい例です。苦しんでいた頃には、こんな日が来るとは考えられませんでしたけどね。家から出られなくなって部屋にこもっていた状態から、これほど変われるんですよ。

苦しんでいる方は誰かに相談してください。そして治療を受けてください。必ず良くなりますから。


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