食器洗い機を動かすのは毎日ではありません。一日おきです。
最近、洗浄済みの食器を片付けようとすると、汚れたコーヒーマグが混じっていることが時々あるんですよ。うちの夫が朝コーヒーを飲んた後に入れたのです。
食器洗い機に入っている食器が、汚れているのか洗浄済みなのかは見れば分かるものですけど、夫には分からないのだそうです。
今朝も、コーヒーを飲んだ後のマグを入れようとして困っていました。
遺伝性の黄斑変性である「スターガルト病」で目が見えなくなって来ているうちの夫ですが、私にも夫の目が見えなくなっていると分かる出来事が増えて来ています。
つい先日もそんな出来事がありました。
早朝に夫を勤めているツールショップに車で送って行った時のことです。右折しようとした私が向こうからやって来た自転車が通り過ぎるのを待ってあげましたら、その人が手を上げて「ありがとう」のサインをしたんです。「ああいうのは気持ちがいいわよね、待ってあげてよかったと思うね」と私が言いましたら、夫には見えていなかったことが分かりました。
自転車の人が「ありがとう」のサインをしたことが見えていなかったのではありませんよ。自転車の人が見えていませんでした。自転車のライトが見えていただけだったのです。暗かったせいもあるのでしょうけど。
日頃スマートフォンの小さな画面でメッセージを読んだりコンピューターのモニターでメールを読んだりしているので、まだ右目が見えているのだと思っていましたけど、真っ直ぐ見た時にはもう見えなくなっているそうです。つまり、視野の中心は黒く欠損しているということです。
それなのに、まだ読めるというのが不思議なんですよ。
うちの夫は速読のテクニックを独学した際に、単語を一つずつ読むのではなく、ひと繋がりの単語のグループを画像的に記憶して文章を読む訓練をしたそうで、それが役に立っているのだそうです。
昨年、視能訓練士の診察を受けた時には、視能訓練士の方が「見えていないはずなのにどうやって読んでいるのか分からない」と驚くほど夫は文章が読めたのです。夫は焦点をずらすことで生き残っている視細胞を駆使して読むという訓練を無意識のうちにやっているらしいです。
意図的に単語の文字に焦点を合わせると、つまり見ようとするものを真っ直ぐに見ると、何も見えないそうですよ。そのくらい目の状態はひどいらしいのに読めるのでね、周囲の者にはどのくらい悪いのかが分からないんです。
人の顔はまだ認識できるそうですし、文字が読めている間はツールショップの仕事も続けられるんでしょうけど。
前回の検査は昨年5月の終わり頃でした。あれから1年近くが経っています。黄斑変性がどのくらい進行したかが気になるところです。
引越し先の家は、通勤がラクなことを第1に考えて、ツールショップの近くに見つけたいと思っていますけど、夫がいつまで仕事を続けられるのか分かりません。普通の大きさの文字を読むことが困難になったらもう無理です。
そうなればツールショップの近くに住む意味がありません。
私達はこの件について話をしないわけには行かないんですけど、夫は目の話になると不機嫌になったり黙ってしまうことがあります。根ほり葉ほり聞き出そうとしないで、何かの話題のついでにサラッと聞く程度にして、状況を把握しようとは思っています。
今朝は、食器洗い機の話題になったので、少し話を聞くことが出来ました。
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