2021年10月12日

世界メンタルヘルスデー

東京オリンピックの開会式が行われた10月10日は、その後「体育の日」という祝日になりました。その「体育の日」は、昨年から「スポーツの日」と名前が変わったそうですが、今日初めて知りました。

ところで、10月10日は「世界メンタルヘルスデー(World Mental Health Day)」でもあります。メンタルヘルス(心の健康)に関する意識や関心を高め、偏見や社会的不名誉を無くし、正しい知識を普及するために定められた記念日です。

メンタルヘルスの問題は様々ですが、近年では有名人が自身のメンタルの問題を公に話すことが増えて来たのもあって、一般の人達の理解も進んできたように思えます。

最近は、プロテニス選手の大坂なおみさんが長い間うつ状態に悩まされていたことを公にして話題になりました。「うつ病」と症状がよく似た「適応障害」という疾患がありますが、大坂なおみさんはそれなのかもしれないと私は思います。

「適応障害」の場合は、症状が出る引き金となるストレスがあります。そのストレスにさらされるとうつ状態になりますが、ストレスから離れると症状が改善したり、楽しいことは楽しめたりします。楽しいことが楽しめていると病気には見えませんから、周囲から心無い言葉を浴びせられたりもします。

何がその人にとってストレスになるかはまちまちです。日常的な出来事が強い症状が出る引き金になる場合もあります。

私は一時期電話が鳴ると具合が悪くなっていました。大きな声を出されたり誰かが怒るのを見たり聞いたりすると具合が悪くなっていました。電話が鳴る音とか怒鳴り声とかは、頭の中にある強い不安や恐怖と結びついているのです。

15年間も服用していた抗うつ薬を止めてからもうすぐ2年になりますが、ストレスになるものを避けることで症状は大きく改善し、現在は普通に暮らしています。もう電話が鳴っても心臓がバクバクしたりしません。大きな声を出されたり怒られたりすると、今でもたちまち具合が悪くなりますけど。

抗うつ薬の服用を止めた後ぐらいから始まった新型コロナのパンデミックで、家からほとんど出ない暮らしをしてきましたが、メンタルの安定にはむしろ良かったように感じています。

ところで、

私が「うつ病」で苦しんでいた頃、唯一の救いだったのはうちの夫が理解してくれていたことでした。夫自身もパニック障害や双極性障害2型などメンタルの問題をいろいろと経験していたので、私のメンタルの不調についても理解が深かったです。

ですからね、私が「晩ご飯が作れない」とか「何も出来ない」と言って寝ていても、それを非難するようなことは言いませんでした。まあ一時期は、夫自身も具合が悪くなっていたんですけど。

子供達が中学生ぐらいの頃ですけど生活が困窮していた時期がありまして、夫婦そろってメンタルが悪化し、学校が夏休みの間中、夫も私も毎日寝込んでいるような有り様だったことがあるのです。

両親がそんな状態の家庭で育ったうちの息子も娘もメンタルの問題をかかえています。特に娘は小学生の頃から大変つらい経験をして来ています。本ブログでも娘の病気のことは度々話題にして来ました。

私達はこういう家族ですから、メンタルの問題はいつでもオープンに話し合っています。私達の身近にもメンタルの問題をかかえている人は結構います。皆さんの身近にもいらっしゃるのではありませんか。

この記事を読んで下さっているあなた自身がそうかもしれません。

オーストラリアの元プロテニス選手で、エレナ・ドキッチ(Jelena Dokic)という人がいます。ご存知かもしれませんが、ドキッチさんはユーゴスラビア出身で、7歳でテニスを始めたそうです。

内戦を逃れて11歳の時に家族でオーストラリアに移民したそうですが、ドキッチさんのテニスのコーチでもあった父親が「毒親」だったのですよ。

テニスを始めてから、身体的な暴力と言葉による暴力を浴び続け、深刻な精神的虐待を受けて育ちました。父親は頻繁に彼女を叩き、髪や耳を引っ張り、蹴り、顔に唾を吐きかけるなどの暴力をふるったそうです。また、彼女を口汚く罵り、言葉の暴力をふるい続けたのです。

この父親はトラブルメーカーで、全豪オープン、ウインブルドン、全米オープンなどの大会から出入り禁止になったような人です。

ドキッチさんはプロテニス選手になった後、次第にメンタルが悪化してうつ病になりました。うつ病は悪化して自殺を考えていた時期もあったそうです。

そのドキッチさんが、「世界メンタルヘルスデー」の10日に、うつ病に苦しんでいた若い頃の写真とともにメッセージをインスタグラムに載せていらっしゃいました。

今日は、そのドキッチさんのメッセージを紹介したいと思います。


<ドキッチさんのメッセージ>
この写真は多くの悲しみと痛みを呼び起こします。この写真は、私がうつ病、不安症、PTSDに苦しんでいた頃に撮影されたものです。このわずか数年後、私は自分の命を断とうとしました。今日、私は全く別の場所にいます。多くの個人的な困難を乗り越えて、当時とは全く別の場所に出て来ることができた今、私は自分の周りの人達が大丈夫かどうかを確認してみることが重要だということを知っています。誰もが私のように困難を乗り越えることができるほど幸運だとは限らないと知っています。

だからこそ今日は重要な日です。メンタルヘルスの問題や精神疾患について世界的に認識を高めることが重要なのです。大したことではないように思えるかもしれませんが、メンタルヘルスの問題に直面している人にとって、誰かが自分のことを気にかけてくれていると知るだけでも、本当に大きな違いが生まれます。

家族や友達、苦しんでいる誰かのことを気にかける重要さを私は知っているのです。私自身がとても苦しみましたから。そして、もっと多くの人が気にかけてくれたら良かったのにと思うのです。誰がどんなことを経験しているのか、どのような闘いをしているのか、私達は知りません。だから、どうか、あなたがサポートすると示してください。その人に優しくしてあげてください。

時々人々はメッセージを送ることや電話をかけることの力を過小評価しています。時間も労力もそれほどかかりませんし、大したことではないように思われるかもしれませんが、大きな影響を与える可能性があります。私にとってはいつもそうでしたし今でもそうです。

あらゆるレベルで、精神疾患についてもっとオープンに話をする必要があります。

だから、この重要な「世界メンタルヘルスデー」の日に、あなた自身と周りの人達を大事にしてください。

あなたが自分や誰かのためにできることはたくさんあります。 
-友達や家族、苦しんでいる誰かに電話して、あなたが気にかけていることを伝えてください
-苦しんでいるかもしれない誰かに花束を送ってください
-感謝していることを書き留めてください
-あなたの身体を大事にして、活動的でいてください
-必要なら専門家の助けを求めてください

皆さんにたくさんの愛を送ります。特に苦しんでいる人達に。あなたは一人ではないということを知ってください。

もしも、あなた自身かあなたが知っている誰かが助けを必要としているなら、ライフライン(Lifeline)13 11 14 に電話をして相談してください。

ライフライン(Lifeline)は、オーストラリアで精神的に苦しくて困っている時に相談する電話相談サービスです。

「メンタルヘルスデー」でなくても「R U OK デー」でなくても、「最近どうしてる?」「大丈夫?」とたずねてみることはいつでも出来ますね。

私が具合が悪かった頃は、電話が怖かったのでメッセージやメールが嬉しかったです。

気晴らしに家から連れ出してくれる友人や、食べ物を持って来てくれる友人がいました。生活に困窮していた頃ですけど、庭で採れたオレンジを持って来てくれたり、お肉を一袋買って来てくれたり、スパゲッティと手作りミートソースを持って来てくれたり、晩ご飯を食べにおいでと呼んでくれたりする友人がいたのです。

食べ物がもらえたり食べさせてもらって助かったのは事実ですけど、自分達のことを気にかけてくれる友人がいると知ることが嬉しかったですよ。

ちなみに、ドキッチさんは父親との関係を断ち切ることで回復されました。

このブログで度々書いていますが、「毒親」と縁を絶ち切ることでメンタルの病気から回復する人は多いですよ。


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