2020年10月12日

耐えるメルボルンと現実問題

6週間のはずだったロックダウンは、もう3ヶ月以上になります。

1回目の時の感染者は、海外からの旅行者や帰国者とその関係者がほとんどでした。6週間のロックダウンでウイルスを抑え込むことができました。

その後、メルボルンでは感染者がほぼいなくなっていたのですよ。

ウイルスが無くなっていたメルボルンで再び感染が拡大したのは、外からウイルスが入ってきたからです。旅行者が入国することはできなくなっていましたから、ウイルスを持ち込んだのは海外からの帰国者です。

帰国者は指定されたホテルで2週間の隔離が義務付けられていましたが、この隔離を管理していたのが一般の警備会社でした。トレーニングも受けていなかった警備員たちの不注意や警備会社のずさんな運営のために、ウイルスが市内に拡散してしまいました。

複数の高齢者介護施設で集団感染が発生したのを皮切りに、その後はもうあっという間に何千人もの感染者が発生することになりました。

新型コロナによる死亡者は800人を超えていますが、自殺者はそれ以上だと言われています。甚大な経済被害が出ています。

隔離の管理をオーストラリア軍が行うこともできたのに、何故州政府は一般の警備会社を使ったのか、この責任は誰にあるのか、調査は続いています。

2回目のロックダウンも1回目と同じく6週間ということでしたが、ウイルスを抑え込むことができず、もう3ヶ月を過ぎたわけですけど、ヴィクトリア州政府が市民の命を守ることを最優先する方針を最初から明らかにして対応していて、メルボルン市民の多くがそれを支持しているから耐えているんだと思います。

規制に反対する人達もいましたし、そうした人達が集会やデモまでしたこともありましたが(今でもやっている人達はいますが)市民の多くはそうした活動に批判的です。

ルールに違反する人達もいましたし、今でも違反者はいますが、メルボルンのほとんどの市民は、

とにかく耐えているんです!

こういう状況で個人の自由がどうの権利がどうのと言ってられませんし、耐える以外に道がないですからね。

今、以前と同じ暮らしに戻ればどうなるか、それはもうはっきりしています。

再び感染者が増えて「人々が死ぬ」ということですよ。

若く健康な人なら命は助かるかもしれませんが、身体に障害が残る場合が多く報告されていますから、どうなるかは分かりません。新型コロナはそういう病気なんです。

自分は大丈夫かも知れませんが、両親や祖父母は死ぬかもしれません。

10月19日に予定されているステップ3の規制緩和は、おそらく無理です。あと1週間で「新規感染者数の14日間平均が5人以下」という条件をクリアする可能性は無いです。新たな集団感染も発生しましたし、今日の新規感染者数は15人です。

ただし、

州政府は「14日間平均が5人以下」という条件をクリアできなくても一部の規制は緩和すると言っています。

さらに、ステップ4以降の規制緩和のための「感染者ゼロ」という条件も、現実的に不可能かもしれないとの認識から、メルボルンはある程度の感染者が発生している状況の中で暮らしていくしかないかもしれないとのことですけど、

そんなのとっくに覚悟していますよ!

「感染者ゼロ」になるまで外出規制・経済活動制限を続けるのは、非現実的です。

ウイルスが社会から完全に無くならない限り、感染する人は出ます。不注意な人やルールに従わない人がいる限り、感染が広がる可能性はあります。キルモアの町で集団感染が発生したのもルールを破った人の行動が原因でした。

条件をクリアできなくても、10月19日には何らかの規制緩和があると思われます。


私は、今年になってからほとんど毎日家で過ごしています。友人に会った数日を除き、必需品の買い物以外は家から出ない暮らしです。10ヶ月もですよ。

仕事はないから無収入だし。

これがもし一人暮らしで孤立して、収入が途絶えて暮らしに困るようになっていたらと考えると、自殺者や精神的な病気に苦しむ人が増えていることには身につまされる思いです。先日発表された連邦政府の新年度予算でメンタルヘルス対策の大きな費用が盛り込まれたことからも、問題の深刻さが分かります。

何とか早く感染者が減って欲しいと祈るばかりです。


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