2023年9月20日

賃貸申込みアプリが信用できない

商業施設も入っている大きな複合ビル群のマンションが、私達夫婦のライフスタイルとはかけ離れているとは思うものの、夫が勤めるツールショップに近いので賃貸を申し込んだんですけどね。

低所得家庭には政府からの家賃支援があるそうなので申込者が多いらしく、競争率は宝くじ並みで、実際に宝くじの当選者を選ぶように賃貸人を選ぶと聞いていました。

申込みは不動産屋のウェブサイトからオンラインでしてくださいとリンクが送られて来ましたので、リンク先のページからオンラインでしました。

賃貸物件に住む予定の18歳以上の成人は全員別々に申込書に入力しないといけないというので、言われた通り夫と私と息子の3人が別々に入力しましたよ。

入力するだけではなくて、身分を証明する法的書類(パスポートとか運転免許証とかメディケアカード)、収入を証明する書類(給与明細とか課税査定)、オーストラリア国籍であることを証明する書類(出生証明書とか国籍取得証明書)など、様々な書類をスキャンしたり写真に撮ったりして画像をアップロードしなくてはいけませんでした。

この不動産屋に、ものすごい量の個人情報をデジタルで提供したことになります。

そうしたらですね、うちの夫に不動産屋から連絡があって、運転免許証がアップロードできていないので表裏を写真に撮ってアップロードしろと言われたそうなんですよ。

うちの夫はもう運転免許証を持っていませんから、運転免許証の代わりになるキーパスをアップロードしたんですが、不動産屋の担当者はキーパスのことを知らなかったんですって。

キーパスというのは、郵便局が発行する身分証明で、運転免許証を持っていない人は同等の身分証明証として使えるんです。

夫はその担当者と電話でいろいろ揉めたらしいのですが、その直後にメールが送られて来て、私達が申し込んだマンションは、不動産会社のウェブサイトからではなくてこのサイトから申し込みをしろとリンクが送られて来たのです。

なんで最初からそう言わないの?

私達はすでにものすごい量の個人情報を不動産屋のウェブサイトから提供して、書類もいろいろアップロードしたんですけど、あれをどうするつもりなんでしょうか。

とにかく、このサイトからオンラインで申し込みをしろと言われたリンクをクリックすると、スナグ(Snug.com)というサイトに行きました。

これがちょっと信用できなかった!

スナグ(Snug)は、オーストラリアで最も急速に成長している賃貸申し込みプラットフォームの1つだそうです。アカウントを作るか、フェイスブックかグーグルのアカウント情報でログインしろと出たので、個人情報の取り扱いに不安を感じました。

だって、賃貸申込者はパスポートとか運転免許証とか給与明細とか出生証明書とか銀行口座の明細とか、そういう非常に個人的なものをアップロードしなくちゃあいけないんですよ。

どこに住んでいてどういう仕事をしていてというところまで個人情報を提供するんですよ。電話番号やメールアドレスは、身元照会先の人の分も提供するんですよ。

フェイスブックの「メタ」という会社やグーグルと繋がっているのなら、利用者から集めた膨大な個人情報を本来の目的以外に転用したり、第三者に提供したり、悪用される可能性もあるわけじゃないですか?

そこで、スナグ(Snag)というのがどういうものなのかを調べてみたんです。そうしたら、さらに不信が深まりました。

スナグ(Snag)というのは、不動産屋の仕事を減らすサービスとも言えます。本来なら不動産屋の担当者が申込書に書かれた内容と提供された書類などから、賃貸申込者の身元確認をして経済状況などを判断して、どの人に住宅を貸すかを決めるわけですけど。

そういうことをやってくれるサービスなのです。要するに不動産屋にとってはアウトソーシング、業務の一部を外部企業に委託するというわけです。

スナグ(Snug)は賃貸申込者が提供した情報や書類を元に100点満点でスコア(点数)を付けるのだそうですよ。ランキングという言い方をしている人もいます。

不動産屋あるいは家主は、このスコアが高い人を選べば安全というわけなんですが、逆に言うと、競争率の高い物件を申し込む場合は、スコアが高いと契約を勝ち取ることができる確率が高くなるわけですよね。

スコアがどのように計算されるかは分かっていません。 その辺の透明性はありません。しかし、スコアを上げる最も確実な方法が「家賃の増額をオファーすること」であることが分かっているのです。

「ガーディアン・オーストラリア紙」が、実際にテストをしているんです。ブランズウィックという街にある寝室2つのタウンハウスに、広告家賃価格どおりの週490ドルで申し込んだところ、スコアは74だったそうです。

これを週当たり10ドル増額の500ドルで借りたいとオファーすると、スコアは77に上がったそうです。10ドル増額する度にスコアは2~3ポイントずつ上昇し、オファーした額が週540ドルに達した時には88になったそうです。

ヴィクトリア州では、家賃の入札は違法です。不動産屋や家主が、賃貸申込者により高い額の家賃をオファーするよう勧誘することは違法ですが、申込者が自主的にオファーすることは合法である可能性があります。

スナグ(Snug)は、スコアが高い方が賃貸契約を勝ち取れるという仕組みなのですから、実質的に家賃の入札を勧誘しているようなものでしょう。

ヴィクトリア州にお住まいの皆さんの中に、スナグ(Snug)で賃貸の申し込みをさせられた方いますか?

途中で入力をやめたい場合に、削除ができないという話も聞きましたので、こんな信用できないサイトに大事な個人情報や書類をアップロードすることは出来ないなあと私は思っているんですけど。

スナグ(Snug)でないと申し込めないのなら、あのマンションはもうあきらめますよ。


お帰りの前に1クリックを!



0 件のコメント:

コメントを投稿