2023年8月11日

森林火災に備えましょう

北半球では猛暑のニュースが続いて、通常はそれほど高温にならない国でも記録的な暑さになっていると聞きますが、オーストラリアの場合、猛暑になると心配なのは何と言ってもブッシュファイアと呼ばれる森林火災です。

日本では、湿度の関係か植生のせいか、猛暑の日に火災を心配することは無いように思いますが、ヨーロッパや北米など様々な地域で森林火災が発生していますね。

昨日の朝は、ハワイのマウイ島で発生した森林火災が住宅地や市街地にまで広がり、人気のある観光地のラハイナの街が燃えて廃墟のようになってしまったというニュースを読んで動揺しましたよ。「ブラックサタデー」を思い出したからです。

聞くところによると、マウイ島西部は雨が少ない状況が続いて大変乾燥していたそうです。これに加えて、アメリカ本土の極度に乾燥した高温の空気がハワイの方に流れ込み、これをハワイの近くを通過したハリケーンが吹き散らしたそうです。

火災が発生しても、強風のために消火活動も出来なかったとか。恐ろしいスピードで火が広がったそうですね。

「ブラックサタデー」の時も同じような条件が重なっていました。長引いたエルニーニョの影響で何年も干ばつが続き、森林や草地が乾燥し切っていたところへ百年に一度あるかないかという高温強風の天気になったんです。

内陸部の乾燥した高温の空気がヴィクトリア州に流れ込み、台風並みの強風が吹き荒れました。

あの日、我が家のキッチン外のウッドデッキにかけてあった温度計が、屋根の下の日陰なのに48度になったんですよ。人の体温が37度としたら10度以上高い温度です。

気温48度の強風というのはね、経験していないと想像も出来ないでしょうが、台風が近づいて来た時のような強風なんですけど、その風がヘアドライヤーの風みたいに乾燥していて熱いんですよ。

その乾燥した高温の強風で、畑の野菜が茶色い古紙のように枯れてしまったんですからね。死ぬまで忘れません、あの日の天気は。

夜になってもあまり気温が下がらず寝苦しい夜が明け、翌朝早くに義母(夫の母親)から電話があって「メアリーズビル」という町が無くなったと聞いたんです。「町が無くなったってどういうこと?」と思いました。

すぐにテレビをつけて目に飛び込んで来たのは、信じがたい光景でした。確かに一つの町が燃えて無くなっていたんです。

夜になって風向きが変わり、火がメアリーズビルの町に燃え広がったのですけど、町の人達は避難出来たのかどうか、山の中の町ですし、逃げる道路も一本しか無いんですから心配でした。

テレビのニュースが伝える内容に、私は震えましたよ。

「ブラックサタデー」では、173人もの方が亡くなりました。ほとんどの方が自宅で犠牲になっています。そして、何百人もの人が大火傷などで負傷し、2029軒の家屋が燃えました。2月7日に発生した森林火災は3月中旬まで燃え続けて、4500平方キロ以上が焼失したんです。


マウイ島のラハイナの街の被害を見て、メアリーズビルの悲劇を思い出しましたよ。

ラハイナの街は、ホノルルが首都になるまではハワイ王国の首都だったそうですね。捕鯨で栄えた歴史的な美しい街が、森林火災で廃墟のようになってしまうとは誰も思わなかったでしょう。

他人事ではないです。


エルニーニョが始まりましたから、オーストラリアはこれから少雨と高温の天気になるはずです。干ばつになって欲しくないですが、可能性は大きいです。

乾燥して高温になれば、必ず火災は発生します。落雷(雨は降らずに雷だけが落ちる)によって乾燥した草や落ち葉に簡単に火が点くんです。放火とか電線のトラブルとかタバコの火の不始末とか、火事の発生原因は他にもいろいろあります。

乾燥・高温に強風が重なった場合は、皆さんね、本当に注意しないといけませんよ。小さな火事が信じがたいスピードで広がりますから。

メルボルンのような都市にお住まいの方は心配は無いでしょうけど、火災が発生する可能性のある草地や森林(ブッシュ)、牧場や農場、自然保護エリアなどが近くにある方は、もしもの時の対応を家族で話し合って決めておかなくてはいけません。

休暇で滞在中のキャンプ場などで森林火災が発生することもありますよ。

まず、地域の避難場所を知っておかないといけません。逃げるルートも知っておかないと困ります。電話が使えなくなる可能性がありますから、家族と連絡が取れなくなるかもしれません。その場合、どこで落ち合うかも決めておいた方がいいです。

小さい子供さんがいらっしゃる方は、幼稚園や学校に子供さんを迎えに行くことができなくなったらどうするかということも考えておいた方がいいです。友人に助けてもらうとか、そういう事も決めておかないと、もしもの時にパニックになりますよ。

州政府が注意報や警報を出しますから注意してください。ヴィクトリア州にお住まいなら「VicEmergency」というアプリを携帯電話に入れておくことをオススメします。近くで火災が発生した場合に「注意してください」とか「今すぐ逃げなさい」とかメッセージが届きます。

「逃げるのは遅すぎです」というメッセージもあるんですよ。これが来たら、逃げるのをあきらめて何とか自分の身を守るしか無いですけど、どうやって身を守るのか方法を知っておかないと無理ですよねえ。

私達家族は、森林火災の危険エリアに住んでいるので、高温強風の日にはいつも緊張するのですけど、「VicEmergency」アプリを頻繁にチェックして、もしもの時には早めに逃げることにしています。

ずっとイーストランドというショッピングセンターに逃げることにしていましたが、現在のうちの夫が勤めているツールショップとは逆方向になるので、別の場所にした方が良いことに今気づきました。話し合って決めておかなくちゃあいけません。


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