昨日は、オーストラリア中が大きな期待で待ちに待っていた女子W杯の準決勝オーストラリア対イングランド戦が行われました。
サッカーのW杯でオーストラリアが準決勝まで勝ち進んだことは史上初めてのことで、新聞各紙もテレビも女子代表チーム「マチルダズ」のニュースでいっぱいで、「もしかしたら決勝に行くかも」「優勝したらどうする?」みたいな希望があったのですがね。
イングランドの方が上でした。
「マチルダズ」は負けたけど、永遠に記憶されるであろうサム・カー選手のゴールがこれ。
.@samkerr1’s out-of-this-world strike 🚀🌏#Matildas #FIFAWWC #TilitsDone pic.twitter.com/CRvBO1PonE
— CommBank Matildas (@TheMatildas) August 16, 2023
それにしても、オーストラリア国民の熱狂ぶりを見て、時代が変わったことをつくづく実感した人は多かったのではないでしょうか。
私はオーストラリアのサッカー事情に詳しいわけではありませんけど、男子代表チームの「サッカールーズ」と変わらない注目と応援が「マチルダズ」にも向けられていることは分かります。
そもそも、現在の男子代表チームには、サム・カー選手以上のスター選手はいませんからね。
W杯での「マチルダズ」の活躍そのものに加えて、こうした社会の反応を見ている女の子達に、どれほどの影響があるだろうかと思います。
かつて、この国にも女がサッカーなんて出来るわけがないという時代がありました。サッカーに限らず、女であるというだけで様々なスポーツに取り組む機会が無かった時代です。
地域によって、現在でもそういう事情はあるでしょう。
「マチルダズ」のキャプテンであるサム・カー選手は、子供の頃は祖父や父親や兄と同じようにオーストラリアンルールのフットボールをやっていたんだそうです。女子のチームがなかったために、最初のうちは女の子であることを隠して男子チームに入っていたんだそうです。
12歳の時に男子チームでフットボールを続けることができなくなり、やむを得ずサッカーに転向したのだそうですが、たちまち稀に見る才能を発揮することになるんですけどね、女であるという理由でやりたいスポーツが出来ないことはよくあることでした。
女子用のトイレや更衣室が無いスポーツ施設も多かったのですよ。
こうした事情は大きく変わりました。
また、今回のW杯は、人種や民族そして宗教にかかわる文化や価値観の面でも、女の子達を勇気づける大きな意味がある大会になっていると言われています。
世界には、女性の人権が尊重されない国が多くありますよね。いまだに、女にはスポーツをする権利がないどころかスポーツの観戦すら出来ないような国もあるわけでしょ?
そうした国からの移民あるいは難民としてこの国にやって来た女の子達には、女でもスポーツが出来るし活躍するチャンスがあると知るだけでも大きな励ましになるわけです。
「マチルダズ」のキャプテン、サム・カー選手のおばあさんはインド人です。フォワードのメアリー・ファウラー選手のお母さんは、パプアニューギニアの小さな村の出身です。
モロッコ代表チームのデフェンダー、ヌハイラ・ベンジナ選手は、シニアの国際大会で初めてヒジャブ(イスラム教徒の女性が頭を覆う布)を着用してプレーした選手ということでニュースになりました。
こうした選手達が世界的な舞台で活躍している姿を見ることが、同じようなバックグラウンドを持つ女の子達の大きな励みになることは容易に想像できるでしょう。「自分にもやれるんだ」と思えるはずなんです。
オーストラリアの先住民アボリジニの血を引くキャシー・フリーマンという方がいらっしゃいます。この方は陸上400メートルを専門にする陸上選手でしたが、2000年のシドニーオリンピックで金メダルを獲得したんですけど、この時のフリーマン選手が非常に多くの子供達、特に女の子達に大きな影響を与えたことが知られています。
現在様々なスポーツで活躍している選手達の多くが、あの時のフリーマン選手を見て刺激を受けたと言っています。
女であるということ、人種や宗教による障壁は、まだまだ様々な分野において存在しますけど、フリーマン選手や「マチルダズ」の活躍といった出来事を契機に、社会はさらにより多様性を認める公平な社会に変わって行くのですよ。
オーストラリアの女の子達は、人種や民族や宗教の違いに関係なく、皆んな平等に機会を与えられて、差別なくスポーツに取り組めるようになっていくはずです。
多民族社会のオーストラリアは、そうならなくてはいけません。
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