2023年8月30日

抑圧され続けるアフガニスタン女性達

毎日いろいろなニュースが報道されますが、女性が女性であるというだけの理由で抑圧されているニュースを読むと悔しいです。

昨日読んだニュースは、アフガニスタンの若い女性のニュースでした。アフガニスタン国内では教育を受けられなくなった若い女性達が、ドバイ大学へ留学する奨学金を得て、同伴の成人男性家族と一緒に出国しようとしたところ、教育を目的とした出国は認められなかったというのです。

タリバーン政権は、何としてでも女性達が教育を受けることを阻止したいようですね。

私が3年前にこのブログで書いた「ドキュメンタリー映画でほっこり」という記事があります。「Learning to Skateboard in a Warzone (If You're a Girl)」(戦場でスケートボードを習う女の子達)というドキュメンタリー映画を見た感想を書いた記事です。

2020年の米国アカデミー賞の短編ドキュメンタリー賞を受賞した作品でした。


この映画は、貧困や戦争などの苦境の中で生きる子供達に、読み書きなどの基本的な教育とともにスケートボードを教えるというプログラムを実施しているNGO「スケーティスタン(Skateistan)」のアフガニスタンにおける活動を取り上げていました。

その記事の一部をここに紹介します。

長年の紛争で国土が荒廃したアフガニスタンですが、映画を見ると人々の暮らしが想像していたよりも安定していて、明るさが感じられました。

学ぶことも働くことも禁じられ、外出すら許されず、服装も厳しく制限されて、自由も人権もなかった女性達が、タリバーンの支配から開放された今、生き生きと日々の暮らしや家族について語る様子がとても印象に残りました。

先生達や少女達が身に着けている服にもびっくりしました。とてもおしゃれで素敵なんですよ。

女の子も学校へ行って学ぶことができるようになったとは言え、まだ誰もが学校に行けるわけではありません。貧困家庭の子供ならなおさらです。そんな状況の中で、「スケーティスタン」に行く機会を得て、親にもそれを許された少女達が、本当に楽しそうに生き生きと学んでいます。

学校で教えているのは基本的な読み書きと算数ですが、先生達が最も重要視しているのは「自分には言いたいことがあるという意識を持つこと」「それを発言するために手を挙げたり教室の前に出たりする勇気を持つこと」「恐怖や不安に立ち向かおうとすること」です。

スケートボードは、そうした重要なことを教えるための役割も担っているのです。

この記事を書いた1年後、タリバーンが再び政権を握り、この国の女性達はあらゆる権利を制限されて自由と機会を失いました。

一昨日のニュースで、アフガニスタン中部のバーミヤン州にあるバンデ・アミール国立公園が、女性の立ち入り禁止になったというニュースがありました。ここを訪れる女性達が正しくヒジャブを着用していないことが理由だとタリバーン政権は言っているようですが。

バーミヤン州と聞いて、聞き覚えがあると思った方もいるでしょうね。2001年にタリバーンはこの地にあった1500年以上の歴史をもつバーミヤンの大仏2体を破壊したんです。

そのバーミヤン州の山々に囲まれた青い湖の一帯が、バンデ・アミール国立公園として整備され、アフガニスタンで初めて女性の公園職員を採用したことで知られたそうですが、女性がここに行って自然の美しさを楽しむことはもう出来ません。

つい先日は、美容院が禁止されたというニュースもありましたね。

美容院の経営は、ビジネスの機会が限られているアフガニスタンの女性にとっては、女性にも出来る数少ないビジネスの1つという面があったそうですが、国内の美容院は閉鎖を命じられたそうです。

タリバーン政権下のアフガニスタンでは、女性に求められるのは子供を産んで育てて家事をすること、そして男達の指示に従うことです。ほぼ全面的に就労や就学が禁止され外出も制限されている女性達は、社会活動から排除されて、家に閉じ込められているそうです。

女性が教育を受けられず就労も禁止となると、女性達はさらに多くの機会を失います。医療もその1つです。アフガニスタンの女性達は、女性の医者や看護師からでなければ治療を受けられないそうですから、女性の医者や看護師がいなくなれば治療は受けられなくなるということでしょう。

妊産婦のケアはどうするんでしょうか?多くの乳幼児や妊婦が命を落としているのではないでしょうか。

勇気のある女性達は、タリバーンが政権を握った後、度々抗議のデモを行って来ましたが、抑圧は強まる一方です。

教育と就労の機会を失い、服装は厳格化され、外出を制限され、美容院も禁止、スポーツもできなくなり、公園や遊園地に行くことも禁止され、今度は自然を楽しむことまで禁止。そして国外で教育を受けることも禁止というわけです。

理由は、女だからというだけですよ。


アフガニスタンという国のほとんどの部分を締める「田舎地域」では、古いイスラムのしきたりに則ったやり方を良しとする保守的な価値観を持つ人達が多くて、そうした人達がタリバーンの基盤になっていると聞きます。

つまり、タリバーンがやっていることは、そうした人々の価値観に基づいた政策だということらしいですね。

「田舎地域」では、伝統的な家父長制が今も存続していて、女性蔑視的な考えを持つ人が多く、家庭内暴力は激しいし、女性は抑圧されるものなんだそうです。

子供を産んで育てて家事をする、それが女性に求められる役割なんですから、大半のアフガニスタン男性は「女に教育など必要ない」「女は家にいるべき」という考えなわけです。

タリバーンがアフガニスタン国民の意志を無視してムチャクチャな政策をやっているわけではないんだそうですね。

そういう古い価値観を、優れた指導者が変えて行くことも出来るはずですが、アフガニスタンの場合は維持しようとしているわけですよ。

ああ…

生き生きとスケートボードと読み書きの勉強に取り組んでいたあの少女達は、今は十代になっているはずです。目をキラキラさせて将来の夢を語っていたあの子達は、どうなっているのでしょうか。

「恐怖や不安に立ち向かおうとすること」を教えられたあの子達は、学ぶことをあきらめてしまっているとは思えません。

頑張って欲しいです。


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