2023年8月24日

「ラップ療法」には注意が必要

火傷の治療に「湿潤療法」というのが効果があって早く治るらしいという情報を複数の方からいただいて、これを家庭で簡単におこなえる食品ラップを使った方法を早速試してみたという話を昨日書きました。

「湿潤療法」というのは、従来の傷の治療法である「傷を消毒してからガーゼで覆って乾燥させる」とは大きく異なり、「傷を水道水等でキレイに洗った後は消毒をせず、乾燥させない被覆材で覆って湿潤な状態を保つ」という治療法です。

専門の知識がある医者が医療施設で行う「湿潤療法」と、シロウトが家庭でおこなう食品ラップとワセリンを使った「ラップ療法」というのは、別物として考えないといけないようです。

医療施設で行う「湿潤療法」では、もちろん家庭用の食品ラップなどではなく医療用の被覆材を使うわけですけど、これが高価だったり手に入りにくかったりすることからワセリンと食品ラップを使う「ラップ療法」というのが「湿潤療法」として広がったようですね。

インターネット上に多くの情報があふれている現在、フェイクニュースとかニセ情報が社会問題になっているわけですし、本当に信頼できる複数の情報元から正しい知識を得る必要があると思いましたので、私は火傷の専門医の集まりである「日本熱傷学会」のウェブサイトを見てみたんです。

そこに「いわゆる『ラップ療法』に対する日本熱傷学会の見解」という文書が掲載されていました。

これを読むと、どうも食品ラップとワセリンを火傷の治療に使う「ラップ療法」は、感染症や敗血症の危険があるために「使うべきではない」という見解で、医師がこうした非医療材料を使うことは厳しく制限されるべきだと書かれています。

細菌への抵抗力が弱く、一部の細菌が産生する毒素への抗体を持たない乳幼児に食品ラップを使用してはいけないとも書かれています。

NHKのサイトでも、火傷を食品ラップで保湿することは、ラップの下で細菌が増え感染のリスクが高まるので避けるようにと書いてありました。

感染症のリスクに言及することなく、食品ラップを貼ることを勧めている医者もいるようですけど、それは間違った情報を広めているという点で問題があると思いますよ。

火傷以外の傷や高齢者の褥瘡(とこずれ)などを家庭で処置する目的のために使用する場合は話は違って来るようですけど、いずれにしても感染症のリスクは理解しておく必要があります。


私が食品ラップを顔に貼るのを止めた理由は、痒くなったからです。

それから、とにかく口の周りは貼りにくいというのもありましたし、火傷から滲み出る水や汗がラップの下に溜まってすぐに剥がれて来るという問題もありました。

ラップが剥がれて来る度に、溜まっている水をティッシュで吸い取り、またワセリンを塗ってラップを貼るという作業をしょっちゅうやっていると、それこそ感染症のリスクが増えると思いました。

食品ラップは、皆さんご存知のように水も水蒸気も一切通しませんし、吸水力も全く無いわけです。このことが、火傷の場合は大きな感染症のリスクになるということを理解しておかなくてはいけません。

傷の治癒を促進する「湿潤療法」というのは、科学的根拠のある治療法として世界的に認められていて、火傷の治療にも有効と考えられています。それは火傷の種類や状態にもよるのでしょうけど。

危険があるのはシロウトが家庭でおこなう「ラップ療法」ですからね、皆さんもご注意ください。乳幼児の火傷に「ラップ療法」は厳禁だそうですよ。

ということで、私はラップを貼るのは止めましたが、ワセリンは塗り続けています。茶色になっていた部分から皮膚が剥がれ始めていて、剥がれた部分は赤いです。茶色と赤がまだらに広がる顔は、さらにお気の毒な見た目になっています。(泣)

シロウトがシロウト判断でワセリンを塗っています。

 
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