この記事は、先週末の女子サッカーW杯の決勝の前に書き始めていたんですが、日曜日のお昼過ぎに白玉団子を油で揚げていたら白玉団子が大破裂しまして、熱い油で顔に火傷を負った私は、以来大変な目に遭っているのでございます。
1週間になりますけど、期待したほど火傷は良くなっていません。やはり、若い人のようには細胞が再生しないんでしょうね。治るのには時間がかかりそうです。
せっかく書き始めた記事なので、今日はこの記事を載せようと思って続きを書いています。
記事のタイトルの「インクルーシブ(Inclusive)」という言葉ですが、英語をそのままカタカナにするのは好きじゃあないので、本当は日本語で書きたかったんですけど、この言葉をうまく表現できる日本語の単語が思いつかないんですよ。
辞書を引くと「全てを含んだ、包括的な」というような言葉が並んでいますが、「包括的な」ではこの言葉の意味を表現できません。
「排他的ではない」と言い換えることも出来ますが、もっと肯定的に「一部の人を排除しないで皆んなを受け入れる」ということを意味する日本語の形容詞はないですかねえ。
近年、頻繁に耳にするようになった英語の「インクルーシブ」という言葉は、社会あるいは集団が、一部の人を何らかの理由で排除したりせずに、あらゆる人々を受け入れるという意味で使われる言葉です。
異なる人種や民族、異なる宗教を信じる人達、性的マイノリティーの人達などを、差別せずに受け入れることについて使われることが多いです。
史上最も「インクルーシブ」な大会だったと報道されているのは、2023年の女子サッカーW杯のことです。
これまで、サッカー界に性的マイノリティーの選手がほとんどいなかったのは、いなかったのではなくて隠さざるを得なかったからでしょう。自身の性的指向や性自認をチームに隠さざるを得なかったのは、性的マイノリティーの人々に対する差別と偏見が強かったからですよ。
しかし、世界的に社会が大きく変化して来たことは明らかなのでして、今年の女子W杯では参加した100人以上の選手とコーチが同性愛者であること、あるいはクィア(Queer)であることを公にしていたそうです。
これは一部の国に偏った傾向ではなく、32のチームに見られたことだったそうですよ。
ちなみに、クィア(Queer)とは、既存の男女というカテゴリに当てはまらないすべての性的マイノリティを包括する表現です。
オーストラリア女子代表チームの「マチルダズ」では、選手の半数以上が同性愛者であることを公にしているそうですから、もう同性のパートナーがいることなんて大して話題にもなりません。
選手のパートナーが異性であろうが同性であろうが、性自認が女であろうが男であろうが両方であろうが不定であろうが、そういうことはスポーツをする上で関係のないことなんですよ。
トランスジェンダーのスポーツ選手については、参加資格という点で複雑な問題がありますから、ここで話題にすることはしませんけど。
今年の女子W杯では、イスラム教徒の選手が頭を覆う布ヒジャブを着用してプレイしたことがニュースになりましたけど、これからは、ヒジャブを着用してプレイすることがニュースになったりしない時代になるでしょう。
これもまた「インクルーシブ」であることの一面です。
オーストラリア代表チームの選手の半数以上が同性愛者であることを公にしているからと言って、オーストラリアという国が素晴らしく進歩的で「インクルーシブ」な国だと言っているわけではありません。
例えば、この国で人気のあるスポーツのオーストラリアン・フットボールやラグビーでは、自身の性的指向や性自認を公にしている男性の選手はほとんどいません。
それはやはり、そうしたスポーツにおいては、チームの選手やコーチ、そしてファンといった人々の中に強い偏見があるからでしょう。隠さざるを得ないのですよ。
ラグビーのことはよく知りませんけど、オーストラリアン・フットボールのファンには、実際に差別者が多いんですよ。人種差別もひどいですから、性的マイノリティーへの差別も深刻だろうと想像できます。
勇気を持ってカミングアウトする選手がいたりもしますけど、そういうことが大ニュースになったりするんですから残念なことです。
オーストラリアは、以前よりも「インクルーシブ」な社会に変化して来ていますが、まだまだ課題は多いのです。
教会や宗教系の学校で同性愛が「罪」だとか「悪」だとか「異常」だとと教えていますからね、それも問題なんですよ。子供の頃から偏見や嫌悪を教えられて育てば「インクルーシブ」な考えを持つ人間にはなりませんから。
ところで、優勝したスペインチームの監督やスペインサッカー連盟の会長の行動が批判されていますね。サッカー連盟の会長が優勝に大喜びして、表彰式の壇上でジェニファー・エルモソ選手の唇にキスをしたことや監督が女性スタッフの胸に触っていたことなどが問題視されています。
優勝して嬉しかったとしてもですね、選手の唇にキスしたりするもんじゃあないでしょう?両手でエルモソ選手の頭をつかんでキスしているんですよ。もしも男子チームだったら、この会長は絶対に選手の唇にキスなどしていないでしょう。
してもいいと判断したところに意識の問題があります。
女性スタッフの胸に触っていた監督も、セクハラと言われてもしょうがないですよ。
スペインでは、この会長と監督は大きな批判にさらされているそうですね。スペイン政府からも責任追及の声が上がっているそうですけど。
問題行為があればしっかり批判して問題をただし、女子選手が安心してスポーツに取り組めるように組織のあり方を変えて行かなければいけませんが、これはまた別の問題ですね。
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