遺伝性の黄斑変性という目の疾患のために運転をあきらめたうちの夫を、勤め先のツールショップに送っていた昨日の朝のこと。
家を出たのは5時50分と早めだったので道路がまだ混雑しておらず、信号にもあまり引っかからずにスイスイ走って、40分で到着しました。
途中ガソリンが底をつきかけていることに気づきまして、帰りにガソリンを入れなくちゃあいけないという話をしていましたら、こういうことが気になるうちの夫は、勤めているツールショップから1ブロックほど行った所にあるガソリンスタンドに行けと私に言いました。
しかし、心配なのかガソリンスタンドまで一緒に行ってくれて、ガソリンを入れてくれました。寒いから車の中に座っていろと言いましたが、私も外に出て夫の横に突っ立っていました。
お金も払ってくれて、そこから主要道路に出やすい道を教えてくれて、その道まで一緒に行ってくれて、その真っ暗な道でスーツケースを持って車から外に出ました。そこから店舗までは歩いて行くと言いました。
スーツケースを持っていたのは、今週は伯母さんの家に滞在し、伯母さんの家から仕事に行くことにしたからです。そうすれば私が毎日朝晩4時間の送り迎えをしなくて済むのです。
「じゃあね」
「じゃあ土曜日にね」
そう言って別れましたけど、その時、真っ暗な道にスーツケースを持って立ち、私が運転する車がちゃんと道路に出て行くのを見届けている夫をバックミラー越しに見ながら、夫がとても可哀想になりました。
車の運転ができなくなって自力ではどこへも行けなくなるというのは、夫にとっては重大な出来事です。
どんな気持ちなんだろう…
運転ができなくなる日が来ることは覚悟ができていたはずですけど、
何事も論理的に現実的に考える傾向のある夫ですから「ああついにこの日が来たか」くらいに考えているのかもしれませんけど、
それにしたって悲しいはずじゃあないですか。
これから目はさらに見えなくなって行くんです。そのうち仕事を続けられなくなる日が来ます。
それまでの間、私は送り迎えを頑張ろうと思いました。絶対に「送り迎えで疲れる」などと文句を言ったりしないようにしようと思いました。
運転をやめると決めた日の夜、夫は夢を見たそうです。
ゴミ屋敷状態の散らかったガレージを片付けようと決めたんだそうです。そして、ゴミを分類して、リサイクルできる段ボール箱などはトレーラーに、その他のゴミはトラックの荷台に乗せながら、ふと気づいたんだそうですよ。
そうか、もう運転できないんだった…
ゴミ処理場に自分でゴミを持って行くことは、もう出来ないんだ…
運転をやめると決めた日の夜に、そういう夢を見たそうです。
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