2021年7月30日

ロックダウンで改善の兆しなし

ニューサウスウェールズ州のシドニーを中心とする地域では、新型コロナの感染者が増え続けています。

今回の感染急拡大は、シドニー空港で国際線乗組員を運ぶ車両の運転手から始まったのですが、それは6月のことですよ。

ニューサウスウェールズ州政府は、「心配することはありませんけど、感染の拡大を抑えるために2週間のロックダウンをします」と言って、ゆるいロックダウンを始めました。感染者が減らなかったのでロックダウンは延長されましたが、その後も減るどころか増え続けて再延長され、もう7月も終わりだと言うのに感染拡大が止まりません。

まず規制がゆるすぎました。ロックダウンが始まっても、シドニー市民の多くはマスクもしていなかったし、多くの店は営業を続けていたし、人々は集まって会食したりパーティーを開いたりしていましたし。

期待したように感染者が減らないもんだから、ニューサウスウェールズ州政府は規制を少しずつ厳しくして来て、ロックダウンもさらに延長です。ルールがしょっちゅう変更になるので徹底していないという恐れもあります。

もう後手後手に回っている感は否めません。

感染者がゼロになっていたヴィクトリア州では、シドニーからやって来た引っ越し屋の3人から感染が拡大しました。引っ越し屋の3人は、自分達が感染していることを知っていたのにヴィクトリア州や南オーストラリア州にまで移動してウイルスを撒き散らしたんですよ。

この引っ越し屋は兄弟だったと聞きましたが、彼等のお母さんが自宅で新型コロナのために死亡しているのが発見されたというニュースがあっても、ヴィクトリア州民は同情しませんでした。

それはともかく…

メルボルンで感染者がたったの18人出た段階で、都市圏だけでなくヴィクトリア州全域で厳しいロックダウンとなりました。5回目のロックダウンでした。

5日間の予定が1週間延長されましたが、感染拡大は防ぐことが出来たようです。

今週火曜日の夜にロックダウンは終わり、メルボルンは普通の暮らしに戻っています。まだまだたくさんの規制はありますけどね。経済被害は最小限に抑えることができたようです。

ヴィクトリア州のロックダウンを「やり過ぎ」「厳し過ぎ」と批判する人は多いのですけど、ヴィクトリア州政府は労働党政権で、州民の大半がワクチン接種を完了するまでは感染者をゼロあるいはそれに近い数字に維持する方針なんですから、市中でクラスターが発生すると「即時に厳しい規制で対応する」ということにしているんです。

市民はつらいですけど、大半の市民が州政府を支持しているのは事実です。

それとは対象的に、自由党政権のニューサウスウェールズ州政府は、ロックダウンや規制はできるだけ避けたいはずなんですから、あんなゆるゆるのロックダウンをしたんでしょう。

ところが、ロックダウンを行っても効果が出なかったわけで、規制を少しずつ厳しくしながらダラダラともう1ヶ月以上もロックダウンが続いているわけですよ。

先週は、シドニーでロックダウン反対デモがおこなわれて、マスクをしていない何千人もの人が集まって警察と衝突して大騒動でしたから、あれでさらに感染者が増えるのは確実です。死亡者も増えています。先日は30歳代の女性が亡くなりましたよ。

メルボルンでも同様のデモが行われて大批判を受けましたけど、感染者がほぼいない状況ですから、デモのせいで感染がさらに拡大するという心配はありません。

ロックダウンは嫌いでも、厳しい規制にうんざりしていても、大半のメルボルン市民は自分達にとって必要なことをしようと思っているのです。

現在、ニューサウスウェールズ州の患者数は2500人を超えているそうで、入院している患者数は昨日の時点で187人ですから、公共医療サービスは逼迫しているはずです。昨日の新規感染者数は239人でした。


ところで、東京の一日当りの新規感染者が話題になっています。昨日は3865人でした。

現在の入院患者数が 3,039人、入院療養等調整中の患者数が 5,575人(東京都のウェブサイトより)というのは、報道されているんでしょうかね。

つい先週、入院患者が2000人を超えていると本ブログに書いたんですけど、すでに3000人を超えたんですね。入院を待っている患者が何千人もいるということですから、医療関係者が今後の状況を心配するのが分かります。

メルボルンでは「外出自粛要請」ではなくて「罰則付きの規制」でした。「外出は家から5キロ圏内」という規制もありましたし「夜間外出禁止令」も出ました。ルール違反者を警察とオーストラリア軍が見張りましたし、自宅で自主隔離していなければならないはずの人達の違反防止に家庭訪問までしましたよ。

そこまでやっても違反する人は違反するので、高額の罰金を食らったり逮捕されたりする人も出ましたけど。

日本政府の「自粛要請」対策で、オリンピックもやりながら、いかに感染者を減らしていくのでしょうか。夏休みだし、お盆も来るから人々が移動するでしょうし、家族親戚が集って食事をする機会も増えるでしょう。

都知事のお話では「オリンピックのおかげでステイホーム率が上がって人の動きが減っている」そうですけど、つまり人の動きが減っているのに感染者が増えているということなんですか。

それってむしろ心配な気がしますけどねえ。


お帰りの前に1クリックを!




0 件のコメント:

コメントを投稿