「Aropax」というのはパロキセチン薬ですが、私はこれを毎日40mgも飲んでいました。15年間も。
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断薬は、何週間どころか何ヶ月もかけて服用量を徐々に減らしました。というのも、以前に一度断薬した時に、医者の指導に従ってやったのですけど、離脱症状があまりに激烈で苦しかったからです。
最大の離脱症状は「めまい・立ちくらみ」というやつでした。
ただし、「めまい・立ちくらみ」と聞いて一般の人々が想像するのとはちょっと違うのです。もっとこう頭を鈍器で殴られたような、
電撃的めまい!
フラフラ感は常時感じるのですけど、頭の動かし方次第で「ズゴン!」と殴られたような衝撃が襲うのです。経験していない方には分からないかもしれない独特の電撃的めまいです。これを避けるために、数ヶ月計画で、ゆっくりと、時間をかけて少しずつ減らしました。
それでも「めまい・立ちくらみ」には苦労したのですが、薬はやめることが出来ました。あれ以来、一度も抗うつ薬が必要なほど気分が落ち込んだことはありません。具合が悪くなる原因(人間関係)を避けているのも助けになっていると思いますけど。
薬の服用をやめた後の私は、しばらくの間、毎日怒り狂っていました。
パロキセチン薬の離脱症状の中に「激越(げきえつ)」というのがあるのです。「激越」というのは、イライラして気持ちが落ち着かず、感情が高ぶって言葉や行動が非常に激しくなる状態のことです。
家族に対して怒り狂いながらも、「私ったらなんでこんなに怒っているんだろう」と不思議でした。自分を冷静に見ている自分もいたのです。
その後、怒り狂うというような状況は経験していません。
薬の服用をやめた後の最も大きな変化は、おそらく感動するようになったことです。
ちょっと感動的な映画とかYouTube動画などを見ると、簡単に号泣するようになったのです。
嗚咽が漏れるほどに!
涙もドクドクと湧き出てきます。
「Aropax」を服用していた頃は、感動的な映画を見ても感動しないと言うか、涙なんか出なかったんです。感情が動いてくるとブレーキが掛かって、一線を越えないというか。
感動もしないけど、怖い物やエゲツない物を見てもへっちゃらになっていました。大量に出血しまくる手術動画を非常に興味深く見たり、普通なら耳を覆いたくなるような殺人鬼の話を読んだりしていましたし。
私はもともと涙もろい人間ですから、感動して涙が出るようになったのは別に悪い気はしません。涙を流してオイオイ泣いた後は気分が良いですし。
実は昨晩、泣かせる映画を見たんです。
「Lion」という映画です。日本では「LION/ライオン 〜25年目のただいま〜」というちょっとアレな邦題になっています。ダサい邦題大賞にノミネートされたでしょうかね。
サルー・ブライアリー(Saroo Brierley)という、オーストラリアではかなり有名な方の話です。
この方はインド人で、5歳の時に迷子になって家族と生き別れになり、オーストラリア人夫婦に養子として引き取られたのですが、迷子になって25年後にGoogle Earthを駆使して家族を見つけ出したという実話を映画化したものです。
限られた記憶に一致する小さな駅を見つけるまでに、3年間、9,855時間を費やしたそうです。
成人してからのサルーさんを演じたインド系英国人俳優のデヴ・パテルが、違和感のないオーストラリア英語を話すのを映画の予告映像で見たことがありました。育ての母親をニコール・キッドマンが演じています。
大ヒットしましたし、多くの賞を受賞しています。
サルーさんの話は新聞で読んで知っていましたので、映画になったと聞いて、さぞ感動的な編集であろうと想像しました。再会の場面はさぞや泣かしにかかって来るんだろうなと思ったわけです。そういう映画はちょっと見る気がしない私だったのでございますが。
昨晩、SBS放送のオンデマンドで無料視聴できるようになっているのを見つけたので、見てみることにしたのです。
幼い頃のサルーさんを演じた子役の子が素晴らしいです。優しいお兄ちゃん役の子もいいです。貧しくても愛情溢れる母子家族です。迷子になるシーンの編集もいいです。そして、迷子になった後、養子として引き取られるまでの描写も説得力があります。
そして、ついに母親と再会する場面では、もうね、どうなるか知っていたんですけどね、
涙腺崩壊ですよ!
ティッシュの山が出来ました。
あんなにたくさん涙が出たのは久しぶりでした。
ところで、映画ではわずかに触れられているだけですが、サルーさんを引き取ったオーストラリア人夫婦は、もう一人のインド人少年を養子にしています。
このもう一人の少年は、インドで捨てられた後、非常につらい経験をしています。収容された孤児養護施設では精神的肉体的性的なひどい虐待を受けていたそうなんです。その心的外傷が原因で心の病気に苦しんできたそうです。発作的な自傷行為というのは、映画の中でも少し描写されています。
私はこの映画を見終わった後、一番気になったのはそのもう一人の息子さんのことでした。
彼はこの映画を見て大変動揺し、精神的に不安定になられたそうですが、この映画がきっかけで子供の頃のトラウマ経験に向き合うことができるようになり、精神科医の援助を得て症状は改善して来ているそうです。
それを知って安心しました。
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