皆さんは1998年の映画「パッチ・アダムス」をご存知でしょうか。実在の医師パッチ・アダムスをロビン・ウィリアムズが演じました。実話に基づいた映画です。
パッチ・アダムス医師は、患者の心身のケアに笑いやユーモアを取り入れる「ホスピタルクラウン」の先駆者として知られます。愛と笑いこそが最高の治療法であると信じ、患者を笑顔にする活動を今も続けておられるそうなんですけど。
ここからネタバレです。
この映画にはトラウマになるようなエピソードがあるんですよ。パッチの同級生で恋人でもあった女性が、ある男性患者の訪問診療の依頼に応じてその男性の家を訪れ、そこで男性に殺害されるのです。
私はね、近頃このことが気になって仕方がないんですよ。と言うのも、うちの娘がメンタルヘルスの問題を抱えるクライアントの訪問診療というのをやっているからです。
何度か話題にしていますが、臨床心理士であるうちの娘は、通常のクリニックとは別にメルボルンにある司法心理学事務所でも働いているんです。クリニックの方は心配していません。心配なのは、司法心理事務所の方です。
司法心理事務所では、犯罪を犯した人達の責任能力の有無を判断する精神鑑定とか、知的障害や精神障害があると思われる犯罪者達のアセスメントを行っているそうなんですけど、クライアントへの心理カウンセリングも行っているのです。
そのクライアントというのは、司法に関係した人達で、受刑者だったりします。娘は、受刑者へのカウンセリングのためには刑務所にも行っていたんですが、それについては心配していませんでした。刑務所のセキュリティーは厳重ですし、安全対策は十分ですからね。クライアントに襲われるということは無いだろうと思っていました。
心配なのは、刑務所ではない場所に住んでいるクライアントへの訪問診療なんです。司法に関係した人達ですから、おそらく犯罪を犯したけど責任能力が無かったとされて有罪にならなかったとか、何らかの理由で社会復帰への支援が必要と判断された人達なんでしょう。
事前にアセスメントを行って、安全と判断されない限り訪問診療なんてしないし、安全対策は講じてあると娘は言うんですけど、私は娘が訪問診療に出かけて行く度に心配になるのですよ。
昨日は出かけようとする娘に聞きました。
「今日訪問する人は犯罪者なの?」
「いや、犯罪者ではないよ」
「じゃあ安全なのね?」
「統合失調症で危険な人ではあるけどね」
「統合失調症で危険な人」は自宅で一人暮らしなどは出来ないので、ケアをする人が常駐する家に住んでいるんだそうです。だから、その家で二人っきりになるわけではないそうなんですけど、カウンセリング中はもちろん二人っきりになるんですよ。
犯罪を犯す人達に知的障害や精神障害がある割合は高いそうですし、メンタルヘルス問題も深刻だと聞きます。そうした人達の社会復帰を支援するのは大事な仕事だとは思いますが、娘が訪問診療に行く度に私は映画「パッチ・アダムス」のエピソードを思い出さずにはいられないんです。
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