2026年5月14日

犯罪者になる前の支援

昨日の話の続きです。

うちの娘は月曜日から水曜日はメルボルンにある司法心理学事務所で働いているんですが、風邪を引いたために在宅勤務にしてもらい、訪問カウンセリングはキャンセルしたそうです。

この司法心理学事務所で行っているカウンセリングのクライアントは、犯罪を犯した人達です。そのほとんどが知的障害がある人達だそうです。メンタルヘルスの問題も深刻だそうです。

守秘義務というのがありますので詳しい話は教えてくれませんけど、先日は娘のクライアントの一人が自殺を試みて救急車で運ばれるという出来事があったそうで、ショックを受けていました。

一昨日は、別のクライアントが警察に逮捕されたと言ってガッカリしていました。最初に犯したおぞましい犯罪に比べたら軽い犯罪でしたから、すぐに釈放されて、またカウンセリングをすることになるだろうと言っていましたけど。

いろいろとストレスが溜まる仕事をしているようです。

先日、私は日本のニュースサイトで「ケーキの切れない非行少年たち」という本に関する記事を読みました。宮口幸治さんという児童精神科医が書かれた本だそうで、漫画のシリーズにもなっているそうです。

少年院に収監される非行少年達の中には、知的能力が低くて「ケーキを等分に切る」ことすら出来ない少年が大勢いるということを紹介し、「境界知能」の人々に焦点を当てている内容だそうです。

「境界知能」というのは、「平均的な知能領域」と「知的障害とされる知能領域」との境界に位置する低い知能を表す言葉だそうです。

知的障害には該当しないため福祉の支援を受けにくく、周囲からは「普通」に見えるために、学習や対人関係で様々な困りごとを抱えているのに、それを努力不足とか性格の問題として片付けられがちです。

誤解や不適切な扱いを受けやすい彼等は、成功体験の不足により自信を失いやすく、無力感や孤独感を抱えやすくなり、善悪の判断力が乏しいために非行に走りやすいそうです。

私は娘にこの本のことを話しました。そうしたら、娘は「自分がやっているのはそういう人達の支援だ」と言いました。

彼等が集団の中で他者と関わりながら行きて行くためには、認知機能を改善する必要があるわけで、善悪の判断力や様々なスキルを学ばなくてはいけませんけど、彼等が自ら学んで変わろうとしないと上手く行きませんから、うちの娘のような人達がカウンセリングやトレーニングをしているそうなんですけど。


うちの娘は、大学院の時に司法精神医療施設で研修したことがあります。知的障害のある性犯罪者を収容している医療刑務所みたいなところでした。

そうした性犯罪者の社会復帰のための治療と支援には、大きな困難と限界があって、私は率直に言って「やる意味があるのか」と疑問を感じることが何度もありましたよ。

治療も支援も、税金の無駄遣いのように思える人達がいるんです。施設内で女性スタッフを襲った人もいました。

社会復帰しても再びおぞましい性犯罪を繰り返し、警察に逮捕されて医療施設に戻って来る。それを繰り返している人もいたんです。

知的障害や精神障害のある犯罪者の多くが、虐待などの被害者でもあると娘は言います。ほとんどの犯罪者がひどい家庭環境で育っています。知的障害のために善悪の判断が正しく出来ないし、他の犯罪者に搾取されたり被害を受けたりもしていると。

治療と支援がないと社会復帰は出来ないし、社会に戻って何とか普通に暮らしている人もいるそうですから、簡単ではないし時間も税金もかかるけど、可能性があると判断された人には支援をするしかない。それは分かるんですけどね。

批判を覚悟で言うと、私には莫大な税金を無駄使いしているようにも見えたんですよ。

その医療刑務所のような施設というのは、とても近代的な立派な建物なんです。広い敷地に建つ大きな建物です。そこに、ほんの僅かな数の性犯罪者が収容されていました。一人あたりに使われる税金は莫大なんです。

私はね、一番税金を使うべきなのは教育と福祉だろうと思うんですよ。犯罪を犯してしまった後での支援ではなくて、子供のうちに支援することです。

知的能力の問題を抱える子供達に早く気づいて必要な支援をすることに、もっと税金を使うべきじゃあないんでしょうか。

そうした子供達が家庭で虐待を受けている場合は保護して、受け入れて育てる施設を作るべきではないですか?子供を育てる施設は、娘が研修をした医療刑務所のような大きな建物である必要はないですし、運営費用が何億円もかからないと思いますよ。

そして、子供達が社会に出て生きて行くために必要な能力を教える教育や、成長して就職する際の支援とか、そういうことです。犯罪者になってしまった人達に莫大な税金を投じるよりも、遥かに大事な税金の使い道だと思うんですけど。

難しいことなんですかね。


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