うちの娘が同性愛者だということは、このブログで度々話題にしています。娘が書いても良いと言ってくれているので書いているんですけどね、私の記事がどこかで悩んでいる誰かの力になることを願っています。
正直言うと、私は同性愛者やトランスジェンダーの皆さんに対して偏見を持っていた時期があります。まだ日本に住んでいた頃です。
日本という国は、LGBTQI など性的マイノリティーの人達を「普通ではない人」とまるで異常者扱いする社会でしたよ。差別的な蔑称がいろいろありました。
そして、自分の親を含めて身近な人達がそうした蔑称を平気で使ったり差別的な発言をしたりするのを聞いて育ったわけですから、私が偏見を持っていたとしても無理もないんですけど。
オーストラリアに移住して、人種も民族も宗教も異なる様々な人達がいる社会に住むようになってからは、性的指向とか性自認の多様性を知る機会も増え、同性愛者の友人もできて、いろんな人がいるんだ、人は皆んな違って当たり前なのだということを、意識して暮らすようになりました。
重要なのは、違いを理解して受け入れられるかどうかということはまた別にして、皆んな違うんだという事実を認識することです。そして、皆んな違うけど、実は皆んな同じ人間だということにも日々気付かされるわけです。
一方、社会には違いを理由に同じ権利を認められていない人達がいるという問題にも気づくのですよ。そうした違いを理由に人を差別することを宗教が教えていたりもするのです。
うちの子供達が通っていた小学校では、キリスト教会の人が来て宗教について教える宗教学習の授業があったんですけど、神様の教えに従わない子供は地獄に行くと教えられた日に、うちの娘が怯えて帰宅したことがありました。
私達はすぐに学校に連絡を取り、うちの子供達を宗教学習の授業に参加させないようにと頼みましたから、二度と神様の教えがどうのこうの地獄がどんな場所かなどという話を聞かなくて済みましたけどね。
私達家族は、子供達が小学生の頃から家庭でよく社会問題を話題にしたんです。差別や紛争の原因にもなる宗教の問題点とか、性的マイノリティーの人権問題などもよく話題にしました。
ですからね、うちの娘は自分の両親が同性愛への偏見など持っていないと知っていたはずなのに、自分の性的指向に気づいた頃から悩み続け、それを確信してからは不安に苛まれていたそうなんです。
もしかしたら、私達両親に受け入れてもらえないかもしれないという恐怖を感じていたのでしょう。
うちの娘が「私は女の子が好き」とカミングアウトした時、私は少し驚きましたけどショックなんて感じませんでしたし、そういう性的指向があるということを事実として受け入れただけでした。
その時、娘は大変感情的になっていたんですが、「あなたが好きになる人が女でも男でもその間でも、お父さんやお母さんには問題ではないことは知っているでしょ?」と言うと「うん」と言って落ち着きました。
「あなたが幸せならそれでいいのよ」と話すとやっと安心できた様子でした。
もしも、私達夫婦が同性愛者に対して偏見を持っていると知っていたら、どれほど苦しんだでしょうかね。
オーストラリアでは、2017年の12月に同性婚が合法化されたんですが、その時ある議員が「オーストラリアという国をさらに公正で平等で偏見のない国にしていきたい!」と話していましたが、実際に次々と不平等な法律は廃止されたり改正されたりして、この国はさらに前に進んでいます。
言っておきますが、議員がそういうことをやってくれるのを待っているわけではないですよ。この国では選挙が国民の義務になっていますから、政治に関する意識は高いです。
社会に問題があれば、それを解決するための法律を作り、新しい社会のあり方を作る、そういう仕事をしてくれる人を選んで議会に送り込んでいるわけですから、国を変え前に進めているのは国民なんです。
どうして今日こんなことを書いているかと言いますと、うちの娘が知り合いになった日本人の方の話を聞いたからなんです。
その方は22歳の聡明な若い女性です。同性愛者であることをご両親にカミングアウトしたんだそうです。そうしたら、ご両親はヒステリックに激昂して、この方を受け入れようとはしなかったそうです。
つらいことがたくさんあったのでしょう。この方は日本を出てオーストラリアにやって来ました。ワーキングホリデービザで来ているそうですが、もう日本に帰りたくないとおっしゃっているそうです。
多くの面で世界から遅れているように見える日本社会も、性的指向や性自認の多様性に関しては変化して来たのだろうと思っていたんですけど、まだまだ根強い偏見が残っているのですね。
この方のようにつらい経験をされている方は、きっと多いでしょう。カミングアウトをすることも出来ないまま、偽りの暮らしをしている人も大勢いらっしゃるんだろうと思います。
親を悲しませたくないからと嘘をつき続けたり隠し続けたりするのも、つらいことですよ。
日本に帰りたくないのなら、日本以外の国で生きて行けばいいと私は思いますよ。グローバルな今の世の中、様々な理由で日本社会に見切りをつけて別の国で暮らしている人は大勢いますからね。
この方の場合は、ご両親が偏見を捨てて態度を改めない限り、将来的に幸せな親子関係は望めませんから、ご自分の幸せのためにはご両親と距離を取るしか選択肢がないと思います。
苦痛や不安をもたらす親や家族とは距離を取り、安心や幸福を感じられる人間関係を別の場所で作るべきです。そのためには、自立して行きていく覚悟とそれを支える経済力が必要ですし、日本以外の国で生きて行くなら語学力も不可欠ですよ。
日本よりも生きやすい国はたくさんあります。
同性カップルが異性カップルと全く同じ権利を認められて社会生活を営めて、家族を持つことも出来て普通に子育てが出来る。特別なことではないと思いますけど、そんな当たり前のことが出来ない国に見切りをつけるのは、当然の選択です。
世界的に見ると、平均して10人に1人は自分を LGBTQI など性的マイノリティー だと自覚しているそうです。「一般的に分類されている生物学的男女で異性愛者」という枠に入らない人達が人口の1割もいるのですよ。その1割の国民を差別している国に所属し続ける必要はないでしょう。
ご両親に受け入れてもらえなかったことはお気の毒ですが、それを悲観しても仕方がないです。残念ながらあなたの親は偏見がある人達だったという事実を受け入れて、彼らとは距離を取りなさい。
あなたがしっかりと生きて、同性のパートナーとともに幸せになって行く様子を見れば、ご両親もいつか自分達の誤りに気づくかもしれません。
頑張って自分の人生をフルに生きてくださいとエールを送りたいです。
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