2023年12月10日

娘のこと

うちの娘は、もうすぐ大学院の1年目が終わります。

臨床心理学を勉強しているんですが、何年か前には心理学の研究者になると言っていたんです。自分自身の精神的な病歴のせいで、患者の治療をおこなう臨床の仕事は無理だろうと考えていたんです。大学の先生からもそういう助言があったし。

しかし、うちの娘は当時とは人が変わったように心も身体も強くなったんですよ。考え方も変わって、患者さんに対面してカウンセリングを行う臨床の仕事を目指すようになったのです。

大学院では、専門知識の勉強や必要な資格の取得はもちろん、実際に患者さんのカウンセリングを行っています。

もちろん患者さんは、学生だと知ってカウンセリングを受けに来るのですよ。普通は心理カウンセリングというのは1時間200ドル以上しますけど、学生だと格段に安いからです。

学生は、ベテラン臨床心理士でもある大学の先生達から指導を受けながらカウンセリングの計画を立てて治療に当たります。

大学院2年目となる来年は、病院などの医療現場でさらに幅広い経験を積むことになっているそうで、前期はある病院のリハビリテーション科で研修をすることが決まっています。

リハビリと臨床心理学がどう関係しているんだろうと思ったら、病気や怪我が原因で健康を損ないリハビリを受ける人達の中には、希望を失ったり不安や悩みで精神的に苦しむ人も多いのだそうです。

特にリハビリを受ける中高年の男性には、メンタルヘルスの問題を抱えている人が多いと娘は言っていました。

後期の研修先はまだ確定していないそうですが、おそらく犯罪者の矯正施設になるだろうと言いました。

お母さんびっくり!

犯罪の被害者やその家族のためのカウンセリングなら分かるんですけど、犯罪を犯した人達の矯正のためのカウンセリングを行うということなんですかねえ。

先日、非行少年少女の多くが家庭で身体的あるいは精神的な虐待を受けた経験があり、心に痛みを抱えているという記事をどこかで読みましたが、犯罪を犯した人達の心の問題に取り組み、一般社会に復帰していけるように助けるということなんでしょうか。

詳しいことが分かったらまた紹介したいと思います。


こういう勉強と仕事に追われながら、娘は生活費を稼ぐためにレストランでのアルバイトもしています。レストランとカフェの両方を備えているところですが、カフェではパイとかサンドイッチとか軽食も売っているんだそうです。

この仕事が大いに生活の助けになっていると言っています。

ここで売っている食べ物は、自分が食べるためにはどれでも無料でもらっていいのだそうですが、一日の終わりに廃棄するしかないような食べ物があると、それも無料でもらって帰れるわけですよ。

シェアハウスで一緒に暮らしている人達のほとんどが、食べ物関係の店で働いているそうです。一人はパン屋で働いているのでパンをもらって帰るのです。

こうして皆んながシェアハウスに持ち帰った食べ物をシェアするので、食費の節約になるんだそうです。ただし、いつも同じものばかり食べ続けると退屈しますから、食材を買って来て自分で料理もするそうですが、食べ物にかかるお金は本当に少なくて済んでいるそうです。

レストランでの仕事以外に、クラヴ・マガの学校の事務やトレーナーの仕事もしていますから、親からは経済的援助ゼロでやりくりしているんです。大したものだなあと思いますよ。

シェアハウスの庭で野菜作りもしていますから、自分が食べるくらいの野菜は庭で採れるそうです。シェアハウスの仲間が感心していると言いますが、私だって感心していますよ。

クラブ・マガのトレーナーの仕事は、時間的に余裕がなくなるという理由で今年で終わりだそうですし、来年はどれだけアルバイトができるか分からないと言っていますが、大学院に入る前に2年間フルタイムで働いてお金を貯めていますからね、来年も何とかやって行けるそうです。

すごいでしょう?

この娘は、ハイスクールを卒業した頃は、パニック障害で家から出られなくなっていたんですよ。大学まで電車で行けるようにするために、私が付き添って何ヶ月もかけて練習したんです。

最初の練習は、家から出てバス停まで行って来るという練習ですよ。そういうレベルだったのです。

大学には行けるようになっても、よく知っている近くのショッピングセンターですら、行くためには入念な準備と心構えが必要だった時期も長かったんです。よく知らない場所には行くことは出来ませんでした。

変わりましたよ、本当に。今では別人のようです。

小学校の高学年で始まった抜毛症、その後は拒食症にも苦しみました。不安障害の様々な症状で苦労しましたけど、病気からは回復してすっかり健康になりました。

苦しんでいた頃に離れて行った友達も多かったですが、支え続けてくれた友達が一人いました。そのCちゃんが今も親友です。

もうすぐ大学院はお休みになりますが、年末年始はレストランが忙しいし、年が明けたらすぐに病院での研修が始まるそうですから、のんびり休める時は無いでしょう。

せめて、家に帰って来た時にあれが食べたいこれが食べたいと言えば、お母さんは頑張って作ります。そのくらいしかしてやれることが無いですからね。


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