まず最初に行ったのは、夫が勤めるツールショップの同僚Cさんの家です。
Cさんは、離婚されてから独身なんですけど、お父さんが認知症で介護施設に入られて、お母さんは脳のがんだと分かってからは、ご両親の家でお母さんと二人暮らしをされています。
ツールショップの仕事は、いつも4時に終えて帰宅し、お母さんに晩ご飯を作り、週末はお父さんも一緒に3人で過ごすために土曜日も日曜日も休みという特別な条件で勤めているそうです。
先日、お母さんが使っておられるバスルームの鍵が壊れて、それをCさんが自分で直そうとしたら自分では手に負えない状況になったんだそうです。それで、こういうことが得意なうちの夫が手伝いに行くことになったのですけど。
私は夫をCさんの家まで連れて行く運転手でした。直すのに20分もかからないと夫は言いましたし、Cさんの手伝いが終わったらうちの娘が住むシェアハウスのトラブル解決に行くことになっていたので、私はCさんの家で待つことにしました。
家に入るとCさんのお母さんがピアノを弾いていらっしゃいました。以前はピアノ教師の仕事をしていらっしゃったそうで、居間にはグランドピアノが置いてありました。
家の中は、アート作品と刺繍作品と写真でいっぱいでした。そして大きな本棚がいくつもあって、山のようにたくさんの本をお持ちでした。
Cさんのお母さんはカナダ人で英語が聞き取りやすかったです。とても感じの良い方で、少し話すと非常に教養のある方だということが分かりました。
Cさんと夫がバスルームの鍵の修理に行った後、私がお母さんに家の中のことで何かお手伝いできることはありませんかと言いましたら、「話し相手が欲しい」とおっしゃったので、私達はおしゃべりを始めたんです。
初めて会った方ですし、高齢の女性ですし、私はこういう状況で会話を続けるのが得意なわけではないのですけど、それから1時間半近く、私達はノンストップでしゃべり続けたんですよ。
鍵の修理は20分で終わらなかったのです。でも、そんなことには全く気が付きませんでした。話題が途切れることがなかったんです。
ピアノの話、カナダの話、日本語の話、刺繍が趣味だったとおっしゃったことから始まった手芸の話、北米におけるキルト作り文化についてなど。
そして、コンピューターの話になりました。ご主人が使っていたコンピューターがあるのに、Cさんのお母さんは使っていないとおっしゃいました。
ご高齢ですが視力は良いそうで、小さな携帯電話を使っていろいろやっておられるんです。カナダにいる姉妹さん達とのビデオ通話とかメールとかも。
同じことをするのもコンピューターの大きな画面の方が見やすいですよという話になってからインターネットの話になって、YouTube 動画の話になりました。
私が最近 YouTube で見て感動した若き韓国人ピアニスト「イム・ユンチャン」のラフマニノフ・ピアノ協奏曲第3番の演奏のこととか、盲目の少女ルーシーのことを知るきっかけになった英国のTV番組「The Piano」のこととか、ルーシーがどうやってピアノを学んでいるかという話をしました。
Cさんのお母さんはピアノ教師でしたから、特にルーシーの話には興味を持たれました。
せっかくコンピューターがあるんだから、それを使ってもっと楽しみを増やすことが出来ますよという話になりました。YouTube 動画を見たりするくらいなら何も難しいことはありませんし、分からないことがあればいつでもCさんがいるんですから。
まあとにかく、初めて会った方と1時間半も途切れることなくおしゃべりし続けたことは、自分でも信じられないほどでしたよ。
Cさんの話によると、脳のがんの進行に伴ってお母さんは認知症の症状が出ていて、出来ないことが増えているそうです。どうやら治療はしていらっしゃらないようです。
ピアノが上手に弾けなくなったとご本人はおっしゃっていましたが、ピアノを弾くことは喜びなので毎日練習をしていらっしゃるそうです。
昨日は大変お元気そうでしたし、おしゃべりをし続けているお母さんの様子を見てCさんも驚かれたそうですよ。
私が「また来ます」と言うと「楽しみに待っています」とおっしゃったので、次回はケーキでも焼いて持って行こうと思っています。うちの夫が前庭にある木を切る仕事を途中止めにしているので、それを終わらせないといけませんしね。近いうちに行くつもりです。
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