2023年10月23日

引っ越し大変記(1)「眠る人」

先週の金曜日の朝、予定通り不動産屋の事務所で引っ越し先の家の鍵を受け取り、早速荷物の搬入を始めました。

この日までの数日間、毎日一人で荷造りと掃除に追われた私はすでにクタクタでしたが、足も身体も「棒のようだ」とか言っていられないんですから頑張ったんです。

カローラの後ろに荷物をパンパンに詰めて、うちの夫と二人で鍵を受け取りに行き、鍵を受け取ってからすぐに引っ越し先の家に行って荷物を搬入しました。

うちの夫は、目が見えなくなって来ておりますので車の運転は出来ませんし、腎臓を提供したばかりなので重い物を持てませんから、運転するのも荷物を運ぶのも私の仕事です。

1回目の搬入を終えて家に帰り、再びカローラに荷物をいっぱい積み込みました。夫は重い物が持てないけど、うちの息子もお尻の調子が悪くて重い物を持ったりしゃがんだりできません。

私が一人でやるしかないんですから、もう頑張るしかないんです。2回目の搬入には私一人で行きましたから、助手席にも荷物を積み込んで行きました。

ちなみに、引っ越し先の家までは片道20分かかりません。そんなに遠くはないんですけど、荷物を一人で運び込むのは時間がかかりますから、1回行って帰ると50〜60分かかります。

ということで、2回目の搬入を終えて家に帰ったらですね、うちの夫は居間のソファーで、布団をかけて寝ていたんですよ。前日もお昼頃から夜まで寝ていましたが、引っ越し当日にも寝ているのを見て私はショックを受けました。

寝ている場合じゃあないのよ!

明日は引っ越し業者が来るのよ!

私はね、寝ている夫を見て「これはもう完全にうつ期に入ったな」と思いましたから、何も言いませんでした。こういう時には、何か言っても何の助けにもなりません。

再び一人でカローラに荷物を積み込み、3回目の搬入に行きました。

身体はクタクタだし、夫がまたも寝ているのを見てメンタルも動揺していましたからね、だって皆さん、このタイミングで片付けも荷造りもせずに寝ているというのはどうかしているでしょう?だから、3回目の搬入から家に帰った時には、ちょっと表現できる言葉な見つからないくらいに疲れ果てていました。

「あなたに手伝ってもらわないと私一人では出来ない」と夫に言いましたら、起きてくれました。

そこにやって来たのが、親しい友人のエクリーさん夫婦でした。

もう体力の限界を超えたと思っていた私でしたが、エクリーさん夫婦が来てくれたので、もうひと頑張りするしかないと奮起して、再びカローラに荷物を積み込みました。

お尻が悪化することが心配で、医者からも厳重注意を受けていた息子は、自分の持ち物の荷作りだけは自分でやっていたんですが、私がヘトヘトになっているのを見て手伝い始めました。

「重いものを持つな!」「しゃがむな!」と私やエクリーさん夫婦に注意されながら、息子は荷物を運び始めました。

4回目の搬入は、エクリーさん夫婦の車にも荷物をたくさん積み込んで2台で行きました。夫はガレージで何かやっていました。

エクリーさんの奥さんは、私の様子が普通じゃあないことに気づいたらしくて、「この搬入が終わったら一度座って何か飲んでしっかり休みなさい」と言ってくれました。それを聞いて私は涙が出そうでした。

2人が手伝ってくれたおかげで、4回目の搬入はあっという間でした。

しかし、私は5回目の搬入を考えて気が遠くなりそうでした。頑張るしかないと思っていたけど、すでに限界を超えていましたから、5回目は無理かもしれないと思いました。

しかし、翌日には引っ越し業者が来るのにまだ箱に詰めていない物が山ほどあったので、たとえ5回目の搬入は出来なくても休んでいる場合ではなかったです。

箱に詰めていなかった物は、全て夫の持ち物でした。本やオーディオブックや服や靴や仕事部屋にあったものや、いろいろです。どれも大量でした。廃棄できるものや手放すべきものがたくさんありました。

処分する余裕は何ヶ月もあったのに、ついに引っ越し当日になっても手つかずのままでした。いくら何でも引っ越しの日には何とかするだろうと思っていたけど、夫は寝ていたわけです。

夫の持ち物が大量に残っていることに気づいたエクリーさん夫婦は、それらを何もかも全部大きな箱に詰め込み始めました。

「ヒロコがこれを引っ越し先に持って行きたくないのは分かるけど、今の時点でこの状態だともう全部持っていくしかないわよ!これから明日の朝トラックが来るまでの間に(うちの夫が)処分したり荷造りしたりしてくれると思うの?無理でしょ!」

そう言って、二人であっという間に全部箱に詰めました。もうムチャクチャでしたけど、箱詰めは終わりました。


ついにガレージの片付けを始めた夫には、助っ人が現れました。夫が勤めているツールショップの同僚で友人のCさんです。Cさんは仕事が終わってから来てくださったんです。

エクリーさん夫婦が帰った後、夫はCさんと一緒にトラックに積み込んでいた荷物を引っ越し先まで持って行きました。

帰って来てから、Cさんに家具や大きな箱をトラックに積み込んでもらっていました。1日の仕事を終えた後であんな力仕事をしてくださったCさんには、感謝してもしきれません。

しかし、ガレージはまだまだ物であふれていました。翌日には引っ越し業者が来るというのに、ガレージをどうやって空にする?

(つづく)


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