昨日は、うちの娘の誕生日でした。24歳になりました。
昨年家を出て、現在はメルボルンのシェアハウスで暮らしていますから、昨日は友人達と楽しい誕生日を過ごしたようです。毎年家族の誕生日にはバースデーケーキを作ってきた私ですが、昨日は初めてケーキを作らない日になりました。
寂しいとも残念とも思いません。ついにそういう日が来たということです。娘は元気に自分の人生を楽しんでいるのですから、母親としてそれ以上に嬉しいことはありません。
来年修士課程を勉強する大学が早く決まればいいなあと思っています。
娘の誕生日をお祝いしないので、昨夜はご馳走も無しでした。晩ご飯には、具沢山のスープを作りました。体重がリバウンドしているうちの夫のためです。
その夫ですけど、昨日は仕事から帰って来てお葬式の動画をオンラインで見ていました。
新型コロナの感染拡大防止のための規制でお葬式に出席できる人数が制限されたために、葬儀社はオンラインお葬式を行うようになりましたが、規制が終わった現在もオンラインお葬式は人気があるのだそうです。
お葬式をオンラインでライブストリーミングすれば、お葬式に出席できない人も参加できるわけですが、ストリーミングされたお葬式の動画は一定期間オンラインで視聴できるようになっているのだそうです。
夫が見ていたのは、夫が高校生の時の校長先生のお葬式でした。
当時の夫は、この校長先生に大変お世話になったそうです。
オーストラリアのハイスクールは、日本の中学校と高校に相当します。何年生の時かは覚えていないそうですが、ある時、校内でふざけているのを校長先生に見られたそうです。
その校長先生はよく校内の様子を見て歩いていたそうなんですが、その後、3回も続けて他の生徒とふざけているところを校長先生に見られたのだそうです。
夫が自分で言うには、自分は基本的には真面目で良い生徒だったそうですけど。
リングウッドという街からヒールズビルという田舎に引っ越して、そこのハイスクールに転校した後、好ましくない生徒達の仲間になったりもしたそうなんです。
校長先生は何も言いませんでしたが、ある時、廊下ですれ違った時に夫を呼び止めて言いました。
「Are you doing your best at the moment?」
「今自分の最善を尽くして頑張っているかい?」というような意味です。それ以外は何も言いませんでした。たったこの一つのコメントが、夫を変えたのだそうです。
その後、うちの夫は地元のロータリークラブの交換留学生に選ばれて東京で1年を過ごしたのですが、夫を選んでくれたローターリークラブの交換留学生プログラムの責任者がこの校長先生だったそうです。
夫が東京にいる間に、訪ねて来てくださったそうです。
この校長先生は、趣味が写真撮影で自宅に現像室を持っているような方でしたから、年に一度のフォトデー(生徒やスタッフの写真を撮る日)は校長先生が写真を撮っていたそうなんですけど、東京では秋葉原のカメラ屋さんに連れて行ってあげたことを今でもよく覚えているそうです。
校長先生は、引退後ファイナンシャルプランナーの仕事をされました。ファイナンシャルプランナーというのは、顧客から収支・負債・資産状況などの情報提供を受けて、それを基に資金計画やアドバイスを行う仕事です。
結構儲かるお仕事です。
この方は、こうしてファイナンシャルプランナーとして儲けたお金を、地元に寄付してプールや体育館などの建設に関わりました。
ロータリークラブのメンバーとして多くのプロジェクトに関わり、個人的にも様々なチャリーティー団体の活動に関わり、連邦政府からオーストラリア勲章を授与されたそうです。
亡くなった場合には、香典や供花の代わりにこれこれのチャリティーへ寄付をしてくださいというリストが作ってあったそうですよ。
教育と社会奉仕に尽くした方で、お葬式には多くの方が集まりました。仕事の関係で出席できなかったうちの夫は、録画されたお葬式を昨晩見ていたというわけです。
自分を変えたという校長先生の一言。
「Are you doing your best at the moment?」
時々自分に言ってみないといけない、インパクトの大きな言葉です。
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