今朝起きて最初にしたことは、ここ1週間毎日やっているようにウクライナ情勢のニュースをチェックすることでした。だって、もう心配で気になってしようがないんですもの。
ところが、
オーストラリアのニュースサイトは、
クリケットのニュース一色!
クリケットって、そうスポーツのクリケットですよ。
ニュースサイトがクリケット一色になっていたのは、シェイン・ウォーンという有名なクリケット選手が52歳という若さで亡くなったからでした。最近は解説者として活躍されていました。
この方はですね、日本だったらワイドショーの格好の餌食になっていただろうというような方です。若い頃には派手に遊んでいらっしゃったようですし、スキャンダルには事欠かない方で、近年は整形のためか外見が不自然になったりもしていて、私には生理的に受け付けないタイプでしたから余り目にしたくない方だったんですけど。
クリケットファンには「レジェンド」と呼ばれるくらいなんですから、名選手だったんですよ。その「レジェンド」が突然亡くなったということで、今日は国中がショックを受けているという感じなんです。
旅行先のタイで心臓発作で急死されたそうですが、うちの夫が言うには「また酒を飲み過ぎたかバイアグラでも飲んで心臓が止まっちゃったんじゃあないの?」ということでした。
まあ、そういうイメージのある方ではあったんです。
クリケットというスポーツのことは、私は今でも詳しく知りませんが、野球の原型になったスポーツだなどと誤解していらっしゃる方もあると思うのですけど、クリケットと野球はかなり違います。
クリケットの詳しいことは、Wikipedia でもお読みいただくとして。
このシェイン・ウォーンさんという方は、野球でいうところの投手として有名でした。野球ではピッチャーですが、クリケットではボウラーと呼ばれます。速球を得意とする投手と変化球を得意とする投手がいるのはクリケットも同じで、シェイン・ウォーンさんは変化球を得意とするボウラーでした。
ボールをスピンさせるので「スピンボウラー」とか「スピナー」と呼ばれるんですが、クリケットでは投げたボールをワンバウンドさせるため、回転の向きや強さによってボールは思わぬ方向にバウンドする可能性があります。
これを打つなり防ぐなり、優れた打者(バッツマン)は変化球に対応する技を持っているわけなんですけど。
シェイン・ウォーンさんを一躍有名にした一つの投球があります。「世紀の一球」(Ball of the Century)と呼ばれるもので、これを初めて見た時には、クリケットに興味の無い私でも「すごい!」と叫びましたよ。
「ジ・アッシズ」(The Ashes)と呼ばれる、イングランド代表とオーストラリア代表との間で行われる伝統のテストマッチシリーズの1993年の大会で、若きシェイン・ウォーンさんがイングランドのマイク・ガッティング選手に投球した第1球目です。
この時が、シェイン・ウォーンさんの「ジ・アッシズ」シリーズのデビュー戦。「ジ・アッシズ」で初めて投げる第1球目だったんです。
投げたボールは、ガッティング選手の左足よりもはるかに左側にバウンドします。そのままガッティング選手の後ろを通って捕手(ウィケットキーパー)がキャッチできずに、いわゆる「暴投」になってもおかしくない方向に投げられました。
このボールがですね、バウンドすると激しく方向を変えて、目にもとまらぬ速さでウィケットを倒すんですよ。ウィケットというのは、打者と捕手の間に立っている棒です。投球が直接ウィケットを倒したらアウトです。
ガッティング選手は、何が起きたのが分からない様子でしばらく呆然とピッチを見つめます。
見てみたいでしょ?
オーストラリアのクリケットファンが選ぶ、「ジ・アッシズ」シリーズの名場面の第1位がこれなんですよ。
物を投げると狙った方向とは違う方向に飛んでいったり、遠くに投げたつもりが足元に落下したりする私には、野球にしてもソフトボールにしても、あんなに離れたところから打者に向けて狙ったとおりにボールを投げるピッチャーの能力には驚嘆しますけど、クリケットのスピンボールの場合は、回転の向きや速度だけでなく、ピッチのコンディションとか湿度などいろいろ考慮しなくてはいけないそうです。
この時たまたま上手く投げたのではないことは、シェイン・ウォーンさんが現役中にウィケットを倒した数(投球がウィケットを倒して打者をアウトにした数)でも証明されています。
オーストラリア代表として出場したテストマッチ(伝統的な対抗戦)だけで、倒したウィケットの数は、708なんだそうですよ。それ以外のW杯みたいな試合も入れると、1000を超えているんです。
20世紀を代表する5人のクリケット選手の一人にも選ばれているそうなんですけど。
52歳という若さでの急死は、お気の毒でした。
0 件のコメント:
コメントを投稿