2020年4月8日

ペル枢機卿に無罪判決

昨日のトップニュースは、世界的には、欧米で感染拡大が続く新型コロナウイルスのことだったり、英国ボリス・ジョンソン首相の集中治療室入りのことだったり、日本の「やっと今頃なんだそれ!」感の強い非常事態宣言のことだったりするわけですが。

メルボルンのトップニュースは、やはりジョージ・ペル枢機卿がオーストラリア連邦最高裁判所で無罪とされたニュースです。

13歳の聖歌隊の少年二人に対する性的虐待を理由に、メルボルン地裁で6年間の禁固刑を受けたのが一昨年の12月。その時のことは、本ブログでも「ペル枢機卿に有罪判決」という記事に書いたので、詳しいことはその記事をお読みいただくとして。

上告したヴィクトリア州最高裁は、メルボルン地裁の判決を支持してペル枢機卿の控訴を棄却したため、ペル枢機卿は連邦最高裁判所に上告していたのです。

昨日、連邦最高裁判所は、実刑判決を全会一致で破棄しました。7人いる判事のうち、判決棄却に異議を唱えた人は一人もいなかったそうです。

メルボルン地裁とヴィクトリア州最高裁が、

大間違いをしたということなんですよ!

この裁判に関心を持ってきた私としては、「理由は何なの?」と思うわけですが、

詳しい情報を知ることができない一市民としては、メルボルン地裁の段階から「この性的虐待事件は本当に起きたのか?」「ペル枢機卿は本当に有罪なのか?」という疑問をずっと抱いていました。

と言いますのも、この「未成年者への性的虐待」という犯罪を証明したのが、元少年二人のうちの一人の証言だけだったからです。もう一人の元少年はすでに亡くなっているのです。

そのたった一人の元少年の証言が真実であると、警察はいかにして証明したのだろうかと思いました。もっと詳しく知りたいと思いました。

一人の証言だけで世界のカトリック教会ナンバー3(ローマ法王の側近中の側近)の地位に上りつめていたペル枢機卿を有罪としたのですから、その証言は確信のあるものだったはずです。

連邦最高裁判所は、この犯罪が行われなかったという「Reasonable Doubt(理にかなった疑い)」が残っているにもかかわらず、ヴィクトリア州の裁判所がその問題に向き合わなかったことを指摘し、そのために「無実の被告が有罪判決を下されていた可能性が大きい」との理由から実刑判決を破棄したそうです。

裁判の証拠資料は一般市民に公開されていませんから、私は何も言えません。

ただし、

この裁判が、ペル枢機卿を有罪にするために「作り上げられた陰謀だった」可能性があるのではないのかとの思いは常にありましたからね。

ここ十数年間ずっと問題になってきた豪カトリック教会の虐待問題に関して、いつも非常に尊大な態度で虐待を否定する発言を続けた豪カトリック教会の最有力者だったペル氏に対する憎しみが、虐待の被害者や支持者達の間に広がっていましたから。

とにかく憎まれ恨まれていましたから。

無罪放免となったペル枢機卿が、今後この事件で裁かれることはないそうです。

この件はこれで終わり!

何だったんだろう…

何でこんなことになったんだろう…

もしもですよ、ペル氏による聖歌隊の13歳の少年二人に対する性的虐待事件は実際に起きていて、そのために少年の一人は麻薬中毒者になって亡くなったというのも事実だったとしたら、長期間に渡る裁判で辛い体験をし続けたこの証言をした元少年の苦しみや絶望感は、想像するに余りあると思うのです。

亡くなったもう一人の元少年のお父さんが、非常にショックを受けていらっしゃるとも聞きました。

つらい幕切れです。


お帰りの前に1クリックを!



0 件のコメント:

コメントを投稿