2020年4月10日

ダークな心理学と新型コロナ

うちの娘は、昨年学士課程を終了して、今年は優秀学士課程を履修しています。始まったばかりだというのに新型コロナウイルスのせいで大学が閉鎖されてしまい、現在オンラインで勉強を続けていることは「ビデオ会議アプリなるもの」という記事に少し書いたのですけど、何だかとっても大変そうです。

何が大変かと言うと、勉強している内容が…

娘が勉強しているのは「心理学(Psychology)」です。大学に入った頃には臨床心理学を学ぶつもりでしたが、うちの娘には精神的な病気に苦しんできた病歴があるわけでして、パニック障害もまだ治っていなかったですし、患者の話を聞くような仕事には向かないのではないかとのアドバイスもあって、次第に検査・研究の仕事に興味を持つようになったそうです。

心理学にも様々な分野がありますが、娘が優秀学士課程で学ぶことにしたのは「法心理学(Forensic Psychology)」でした。

娘が取り組んでいるのは、「違法行為に関する心理学」で「犯罪心理学」と呼ばれたりもします。犯罪を行なった人の心理的検査を通じて犯罪者の素質や犯罪の深度などを理解しようとするものですから、犯罪者の処遇のあり方を決定する上で重要になります。

しかしですね、犯罪と一口に言っても色々あるわけでして。

例えば、殺人。

連続殺人鬼の中には、ただ人を殺すというのではなくて、文字にして書くのもはばかられるような、身の毛もよだつおぞましい残虐行為を行う人間がいますよねえ。

有名なところで、ジェフリー・ダーマーとか、アンドレイ・チカチーロとか、「恐怖の館」のウエスト夫婦とか、ジョン・ゲイシーとか、… もうとにかくいっぱいいるんですけど。

私は一時期、当時服用していた抗うつ薬のせいで鈍感になっていたのもあると思うのですが、凶悪殺人事件に大変関心を持っていた時期がありまして、いろいろ読みましたし、見ない方が良い写真なども見ました。

そういうのは読まない方が良いですよ。知らない方が良いです。知ってしまったらおしまいです。写真もね、見てしまったらもう脳裏に焼き付きます。見ないほうが良いです。

しかし、

そういう犯罪を犯す人間というのは、そこに至る「原因」というものがあるのでして、まずほとんどの場合子供時代に虐待を受けていますし、育った家庭や社会の環境が大きな影響を及ぼしているのでして、心理学的にとても興味深いと私は思っていたのです。

うちの娘は、どうやらこういう残虐犯罪の心理分析というのをやっているらしいのです。

詳しいことは聞きたくないので聞きませんけど。

ところで、

おぞましい内容の文献を読み続けていると、二次的外傷性ストレスで学習者がトラウマを抱える可能性があります。

現在、新型コロナのせいで家から出られない状態で、精神的な安らぎの場であるべき自宅でそういうものを読み続けていると逃げ場が無くなるのです。うちの娘は、家の中でも文献を読む場所を決めて、それ以外の場所とを切り離す努力をしているそうです。

「家から出られない状況でのトラウマへの二次的暴露」が学生に深刻な問題を引き起こす可能性があることを、先日担当教員に指摘したところ、まだそれに気づいていなかった教員は、直ちに他の教員達と話し合いを持ち、数時間後にはこの問題に関する注意喚起と対策の手引きが、大学から全学生にメールで送られたそうです。

やったわ私!

うちの娘、ガッツポーズしてました。


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