80歳が近づいて来ていますが、全くそんな歳には見えません。大変元気で若々しくて活動的な人です。生涯独身でしたが、友達も多いし経済的にも成功しているし、孤独なんかとは無縁です。
4人姉妹の長女なのと料理好きであることから、代々伝わる家族のレシピを受け継いでいて、父親セオの姉妹達のレシピもいろいろもらっていたので、そういう家族のレシピを私にくれたんですよ。
もらったのはいいけど、手書きのレシピの読解に苦労した話は「読めないレシピと家族の歴史」に書いた通りです。
ジョーンは特にスイーツ作りを得意としていますが、お料理が好きでも食べることにはそれほど興味が無い人です。私がレシピサイトをやっているせいで、会うと必ず料理の話になるんですけど。
先日会った時に、私を見るなり話し始めたのが巻き寿司の話。
お友達を呼んでの食事会で巻き寿司を作ったら悲惨過ぎる結果になったと言うんですよ。彼女は「ディザスタラス」(Disastrous)という言葉を使いましたけどね、「悲惨な、大失敗の、ひどい」というような意味です。
雑誌か何かで見つけたレシピを使ったようです。
「私のレシピを使ってくれたら良かったのに」
「ヒロコのレシピは持っていないから…」
「ジョーン!私のレシピは私のウェブサイトに全部載ってるのよ!」
サイトで検索すれば簡単に見つかるんですけど、ジョーンには紙に書かれたレシピでないといけないようです。
それはともかく…
なぜ巻き寿司が悲惨なことになったのかですよ。
彼女の話によると、一番の問題は海苔がドロドロになったこと。そして美味しくなかったと言うんです。
中に入れる具は良いものをいろいろ用意したそうですから、原因は寿司飯でしょう。
「ジョーン!美味しい寿司を作るのに大事なのは、寿司に適した良質のお米を使うことと美味しい寿司酢です」
「寿司ライスと書いてあったお米を使ったわよ」
「それならお米については問題なかったはず」
「寿司酢は自分で作ったの?」
「ちゃんと作ったわよ、ホワイトビネガーで」
「ホワイトビネガー?」
悲惨な巻き寿司になった原因を突き止めるためにいろいろ話を聞きましたところ、私が思う原因は次の通りです。
1.寿司飯に適した米酢あるいは穀物酢を使わずにホワイトビネガーを使ったこと(味が全く違ってきます)
2.甘いのが好きではないからと砂糖の量を大幅に減らしたこと(寿司飯が酸っぱ過ぎて美味しくないです)
3.米の炊き方が悪くてベチャベチャしていたこと(多くのオーストラリア人は、お米はパスタのようにお湯で茹でるんです)
4.出来上がったベチャベチャした寿司飯がまだ温かいうちに寿司を巻いたこと(だから海苔がとけるほどベトベトになったのです)
悲惨過ぎる巻き寿司になった原因は、ベチャベチャの酸っぱすぎる寿司飯がまだ温かいうちに巻いたことでしょう。
「それからねえ、海苔にのせる寿司ライスはどのくらいの厚みにしたらいいの?これくらい?」(ジョーンが指で示したのは1センチ以上の分厚さ)
「それはねえ、海苔の大きさと具の量によります」
お客さん達は美味しいと言って食べてくれたそうですが、作ったジョーン本人はひどい出来だと思ったそうで。そりゃあね、とけるほど海苔がドロドロになった巻き寿司というのは、ちょっと考えられない大失敗でしょう。
いろいろ教えてあげたんですけど言葉で言ったのでは伝わらないので、今度うちに来てもらって教えることにしました。
私は、うちの母が使っていたのと同じミツカン酢を使って「1-2-1-2」の割合で寿司酢を作ります。5合の米あたり120mlの酢、100グラムの砂糖、小さじ2の塩という割合です。
少し甘めの寿司飯で、家族にも友人達にも好評なんですよ。
それから、お米はお湯で茹でたりしてはいけません。少し固めに炊かないと。ジョーンは炊飯器を持っていないけど、お鍋でもちゃんと炊けますからね。
そして、炊けたご飯が熱いうちに寿司酢と混ぜた後、しっかり冷やさなきゃあいけません。しかし、この「冷やす」というのを強調したら、ある友人から冷蔵庫に入れた方が良いのかと聞かれたことがあります。室温まで冷やすと言った方がいいでしょう。
味については、私は不味い寿司ロールをお店で買って食べたことがありますから想像がつきますよ。寿司ロールのお店が増え始めた頃のことですけど、あるタイ料理のテイクアウェイのお店で生春巻きと寿司ロールを買ったんです。
そうしたら、その寿司ロールが長粒米(タイ米)で作ってあって、味は酸っぱいし使っている酢の味がヘンだったし、寿司飯がベチャベチャしていたんです。
ジョーンの巻き寿司は、きっとあんな感じで、それをもっとベチャベチャにした感じだったんでしょうね。
美味しい巻き寿司をご馳走しなくちゃあいけません。
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