2024年4月20日

泥棒を捕まえた話

昨日の記事で話題にした泥棒の話の続きです。

店の防犯カメラには、その男の顔も着ていた服も乗って来た車も車のナンバープレートも全部鮮明に写っていたわけなんですけど、盗まれた商品が何であるかもすぐに分かりました。

事件後すぐに、盗まれたのと同じ商品がフェイスブックのマーケットプレースに売りに出されていることも分かりました。店のスタッフのBさんが見つけたそうです。

ツールショップから盗んだものを売りさばく闇の販売網があったりするんですけど、この泥棒は自分で売りに出したんです。闇マーケットじゃあなくて、フェイスブックのマーケットプレースで。

盗まれたのは特殊な商品でした。米国からの輸入品なのでオーストラリアでは簡単には手に入らないものです。

Bさんが購入希望者を装い、マーケットプレースで商品を売りに出した人物に連絡を取りました。すぐに返事が来ました。

マーケットプレースに載っていた写真は盗まれた商品の一部だったので、Bさんは掲載されている商品以外に別の色の商品も探しているんだと問い合わせると、その人物は大喜びでそれらの商品も持っていると連絡して来たそうです。

自分が探している商品かどうかを確認したいから写真を送ってくれと頼むと、男はすぐに全部の写真を撮って送って来ました。

それらはまさに夫が勤めるツールショップから盗まれた商品だったのですよ。うちの夫とスタッフは、この人物が犯人だと確信しました。

商品を購入する約束をして受け取り場所を決め、念のため連絡用の携帯電話番号を教えてくれと言うとあっさりと教えてくれたそうです。

こうして、すでに揃っていた証拠の写真と動画と盗まれた商品リストに加え、フェイスブックに掲載された商品の情報、掲載した人物のアカウント情報、商品受け渡し場所の情報、男の携帯電話番号などを揃えて、うちの夫が警察に証拠を提出しました。

夫はね、こういうことをこれまで何度もやっているので、どういう証拠や情報をどのように提出しなくてはいけないかを良く知っているんです。

こうして証拠が揃ったわけですから、警察官が商品の受け取り場所に行って、やって来た人物を現行犯逮捕してオシマイということになれば良かったのですけど、警察も忙しいですからね、小さな窃盗事件にはそんなに迅速に対応してはくれないわけです。

だからどうしたかと言いますと、購入希望者を装ったスタッフのBさんを含めた数人のスタッフとうちの夫が、決めた通りに商品受け取り場所に行って泥棒から盗まれた商品を取り戻し、出来れば泥棒を捕まえるという計画を立てたのでございますよ。

うちの夫は目が見えなくなって来ておりますので車の運転が出来ませんから、うちの息子が運転して夫を約束の受け取り場所まで連れて行きました。息子がいなかったら私が行かなくちゃあいけないところでした。

私は家のパソコンで夫と息子の動きを追っていました。受け取り場所に着いてから息子が夫とは別の場所にいることが分かったので、おそらく見張りに立っているんだろうと思っていました。

泥棒は、仲間が運転する別の車でやって来ました。盗みを働いた日と同じ服を着ていました。後で分かったことですが、乗って来た車は盗難車だったそうです。盗みの日に乗っていた車も別の盗難車だったそうです。

助手席に座っていた男が泥棒本人だと確認してから、スタッフの3人がそれぞれの車で泥棒達の車の動きを前後で封じました。運転していた男は走って逃げました。Bさんが追いかけましたが逃げられたそうです。

助手席にいた泥棒が車から出てきたところにうちの夫が後ろから飛びかかり、羽交い締めにして地面に押し倒したそうです。

スタッフの一人がすぐに警察を呼びました。警察が到着するまでの約15分間、うちの夫は泥棒を押さえ続けたそうですよ。泥棒が逃げようとして暴れるので、何度か頭を殴ったそうです。

泥棒はやって来た警察に逮捕されました。盗まれた商品のいくつかはすでにマーケットプレースで売ってしまっていたそうですが、ほとんどは取り戻しました。


商品受け取り場所に向かう途中で夫が私に電話をして来たので、私は泥棒がナイフなどの武器を持っている可能性があることを伝えました。

くれぐれも刺されて殺されないようにしてくれと注意したんですよ。

結局、泥棒の仲間は逃げたし、泥棒本人は突然後ろからうちの夫に襲われて反撃するチャンスもなかったんですが、実はナイフを持っていたんです。

それを出すひまもなくうちの夫に羽交い締めにされて倒されたわけですけど、ナイフを出されていたらどうなっていたでしょうかね。危なかったですよ。

泥棒は、ナイフ以外に違法薬物や大量の現金を持っていて、盗難車にはツールショップから盗んだ商品が積んであったわけです。商品が入った箱にはツールショップ名が書かれたステッカーがまだ貼ってあったそうです。

おそらく家には他の盗品も持っているでしょうし、複数の罪で起訴されることは確実ですから実刑は免れませんね。

残念ながら、うちの息子は別の場所で見張りに立っていたのでうちの夫が泥棒と格闘する動画は撮れていないんですけど、スタッフが撮った写真は見せてもらいました。

息子は、警察が泥棒を逮捕する場面は動画に撮っていましたよ。警察に「動画を撮るな!」と怒られたところで終わっています。動画を撮られていると分かった泥棒がFワードを叫んでいるのも聞こえます。

犯罪ドラマで見たことがあるようなシーンでした。

泥棒に後ろから飛びかかって地面に押し倒し、頭を殴るという暴行を加えたのはうちの夫ですから、それを正当化するだけの理由があったのかどうかという点が問題になるわけでしてね、警察からは長い事情聴取を受けたそうです。

しかしまあ、その男が泥棒だということを証明する証拠は揃っているわけで、盗難車に乗っていたことやナイフや違法薬物を所持していたことなど、泥棒はいろいろ犯罪を犯しているわけですからね、うちの夫が暴行の罪に問われることはないと思いますけど。

まあ、昨日はこのように興奮する一日となったのでございます。

そこまでして商品の奪還と泥棒の捕獲を目指したのには理由があったんですけど、うちの夫達が計画した通りに上手く行って良かったです。


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