「何かあったの?」
「うん、商品を盗まれた」
「今日?昼間に?どうやって?」
うちの夫が勤めるツール会社はこれまで度々泥棒に入られていて被害が大きかったために、どの店舗も大変頑丈な作りになっています。
うちの夫の店舗なんて、建物そのものはコンクリートの箱みたいですし、入り口には2重3重の扉が取り付けられています。駐車場は塀と有刺鉄線付きフェンスで囲まれていて、2つの入り口には鉄のゲートがあって、営業時間以外は頑丈な鎖で施錠してあって、その外にはボラード(鉄の棒)も立ててあるんです。
警備会社が夜中ずっと監視していますから、何か異常があるとうちの夫に真夜中でも電話がかかって来るわけですよ。
店舗は交通量の多い道路に面しているし、夜間にこっそり盗みに入るというのは非常に困難です。
だから、泥棒達は営業時間中にやって来るのですよ。
もちろん店内にも駐車場にもそこら中に防犯カメラが取り付けてあります。店内は、商品をこっそり持ち出せないような配置になっていて、対策は万全なはずなのにどうやって盗まれた?
どうやら、昨日はうっかりした隙を狙われたようです。
盗まれたのは入荷したばかりの商品だったんですって。商品は木製パレットに積まれてラップで包んだ状態でトラックで運ばれて来ます。
フォークリフトのフォークをパレットに突き刺してトラックから降ろしますよね。それを建物内の倉庫に持って入って商品の確認をして、処理が終わったら陳列の作業に回すわけですがね、そういう一連の作業は商品が届いてすぐに全部が出来るわけではありません。
詳しいことはここに書けませんけど、パレットに積まれてラップで包んである状態の商品を狙われたそうです。
パレットごと盗んだわけではありませんよ。ラップを切って1つだけ盗んで行ったらしいんですけど、偶然その商品が大変高額な商品だったんですって。
もちろん全てが防犯カメラに写っていました。泥棒の写真を見せてもらいましたけど、顔も着ている服も鮮明に写っていました。車のナンバープレートだってはっきり分かりましたが、ナンバープレートは偽物だったそうですから、この男はプロの泥棒なんです。
泥棒っぽさはありませんでした。パッと見て「あの男は怪しい!」と思ったりしない普通の外見でした。
しかし、プロの泥棒なんです。いかに上手いことやって盗むか、それが仕事なんです。毎日いろんな街のツールショップに行って常にチャンスを狙っているわけですよ。
そういうプロの泥棒が相手なんですから、お店の方は油断や隙があってはいけないんですけど、昨日はスタッフに油断も隙もあったということなんです。
警察に提出する証拠の画像や動画の準備で昨日は帰りが遅くなったうちの夫ですが、今朝はいつもよりも早く仕事に行きました。
ものを売る仕事というのは、ものを売る以外にも本当にいろいろありますね。悪質クレーマーの客とか泥棒とか、ストレスがたまりますよ。
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