2023年6月7日

うちの娘は同性愛者です

このブログでは、これまでに同性愛、性的マイノリティ、LGBTQI+の人権問題などを度々話題にして来ています。「同性愛」のキーワードで検索すれば、以前に書いた記事を見つけて読んでいただけます。

私は、もともと社会問題、特に人権問題には強い関心があるんですが、同性愛者や性的マイノリティーの人達が平等な権利を認められていないことに関してとりわけ強い関心を持って来たのは、うちの娘が同性愛者だからです。

恥ずかしいことでも隠すようなことでもないので、何度もこのブログ上で「うちの娘は同性愛者です」と書いて来ましたけど、はっきり言わせてもらいますとね、娘はどこも異常じゃあないんですよ。好きになるのが自分と同性の女性だというだけのことです。

たったそれだけの理由で、娘が差別を受けたりオーストラリア国民として法律で認められている様々な権利を認められなかったりすると、親としても黙っているわけには行きません。不平等な法律や制度は変更してもらわないといけませんからね。

日本と比べると人権問題の点で進んでいると思われるオーストラリアでも、同性愛者に偏見を持つ人は大勢います。特にキリスト教やイスラム教など同性愛が「悪」だとか「罪」だとか教えている宗教の信者の間では、偏見は根強いです。

同性愛を「犯罪」とする法律があったことも影響しています。ヴィクトリア州で同性愛が犯罪ではなくなったのは1980年のことですよ。タスマニア州では1997年まで同性愛を犯罪とする法律が残っていたんです。

こんなオーストラリア社会も、差別が法律によって禁止され、不平等な法律や制度は変更されて、より平等な社会に変わって来ました。

同性婚が認められて法制化された時の話は、「まさに歴史的瞬間」という記事に書いていますのでぜひお読みいただきたいんですけど、今思い出しても感動します。5年前のことですが、まさに歴史的瞬間でした。

人権侵害行為であった「同性愛の矯正治療」(コンバージョン・セラピーとも呼ばれる)が禁止になったりもしました。これはキリスト教会から反対がありましたけど、同性愛というのは病気ではないんですよ。治療したりするものじゃあないんです。(まだ禁止されていない州もあります。)

とにかく、ここ10年ほどの間にオーストラリア社会は大きく変わりました。メルボルンは、うちの娘にとって「平等で幸せに暮らせる社会」に変わったと言えます。

日本の首相の「同性婚を認めると社会が変わってしまうから問題だ」という発言や、首相秘書官の「同性愛のカップルが隣りに住んでいるのは嫌だ、見るのも嫌だ」とか「同性婚を認めたら国を捨てる人が出てくる」という発言がニュースになった時、私は日本にはそう思っている人はまだ大勢いるんだろうなと思ったんですけど。

うちの娘はそのニュースを聞いて、「ああ日本で大きくならなくて良かった!ずっと日本にいたら、私はもう死んでるわ!」と叫びました。私は本当にそうかも知れないと思いました。


そんな娘ですが、実は日本にいる親戚のことが気になっているのです。

私達家族は一時期日本に住んでいたことがあるのですけど、娘には私の母(娘にとっては祖母)や4人の従姉妹達との幸せな思い出がたくさんあるのです。私の2人の妹にも親切にしてもらいまして、良い思い出ばかりなのです。


いつかまた日本に行って皆んなに会いたいという気持ちがある反面、不安が強くて行けないとも言います。何を心配しているかと言うと、同性愛者だという自分を親戚の人達が普通に受け入れてくれるのかどうかです。

子供の頃のようには愛されないのではないか、受け入れてくれないのではないか、嘲笑や冷やかしの言葉を受けるんじゃあないかと心配なのですよ。

自分ではこのことを伝える勇気が無いと言います。「だからお母さんが皆んなに伝えて!そしてどういう反応だったか私に教えて!」と何度も頼まれて来たんですけど、私も勇気が無いのです。自分の家族からのネガティブな反応が怖くて。

私の両親が同性愛者や性的マイノリティーの人々を笑ったりバカにしたりするのを見て育ったからです。父親がここに書くことがはばかられるような言葉を使っているのを耳にしていますし、自分の娘があのような嘲笑の対象になるかと思うと怖いのです。

直接伝える勇気が無いので、母や妹が読んでくれているこのブログに度々書いて来ました。だからもう娘が同性愛者だと知っているはずですが、そのことが話題になったことは一度もありません。

ただ単に話題にならなかっただけかもしれません。

もしかしたら、このことは彼女達にとって触れたくない話題なのかもしれません。

あるいは、同性愛者は気持ちが悪いと思っているのかもしれません。

何度も書きますけど、問題は娘が好きになるのが同性の女性であるということだけなんですよ。ホントにどうしてこんなことで悩んだり苦しんだりしなくてはいけない人がいるんでしょうかね。

大昔の時代から世界中のどこにでも「異性を好きになる人」と「同性を好きになる人」と「性別に関係なく好きになる人」がいます。「誰も好きにならない人」もいますし「恋愛感情に興味が無い人」もいます。みんな違ってあたりまえなんです。

今日はここに私の日本にいる家族に向けてメッセージを残そうと思います。

サチは好きになるのが同性の女性です。そんな自分を日本の皆んなは普通に受け入れてくれるのかどうかを知りたいだけです。いつかパートナーの女性と一緒に日本へ旅行して会いに行ったら、異性のカップルと同じように接してもらえるのかどうかを知りたいのです。

本当の気持ちを隠さないで正直な気持ちを教えてください。

このことを話題にしないようにして、腫れ物に触るような関係でいることは最も望んでいません。娘は自分の同性愛についてオープンに話したいはずです。

ラインのメッセージで教えてくれるとありがたいです。


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