2021年5月29日

辛いもの好きとシェフの挑戦

先日から話題にしているうちの夫の友人Tさんですが、この方は米国人です。若い頃から仕事の関係でずっと海外に住んでいて、十何年か前にオーストラリアに移住しています。銃社会の米国に対して非常に批判的な目を持っている人です。

このTさん、細身なのにちょっと理解しがたいほどの量を食べる人です。

また、うちの夫の話によると、辛いものが大好きなんだそうです。

一緒にレストランで食事をすると、Tさんは良くスパイシーな辛い料理を注文しますが、辛さが足りないといつでも不満なのだそうです。

ある時、もう一人の仲間のBさんと三人でランチを食べにレストラン(というかビアホール)に行った時のこと。チキンウィングを注文しましたが、そのレストランではソースをいくつかの種類から選べるようになっていて、ソースの辛さも選べるようになっていました。

Tさんは一番辛いソースを注文しましたが、このレストランのチキンウィングの辛さが足りたことがないと不満を言うのを聞いたうちの夫は、席を立って店のスタッフに話をしに行きました。

「すみません!チキンウィングの一番辛いやつを頼んだんですけど、シェフの方にお願いしてもっと辛いのを作ってもらえないでしょうか。もしも辛過ぎて、注文したTさんが食べることができなかったら、料金を2倍払います!」

料理人の皆さん、食べられないほど辛いチキンにしてくれたら料金を2倍払うとお客が言ったらどうします?

このレストランのシェフは、挑戦することにしたんですよ。

しばらくしてチキンウィングが運ばれてきました。ウェイトレスもTさんが食べるかどうか興味津々ですけど、挑戦したシェフも興味津々です。キッチンから身を乗り出して、Tさんが食べるかどうかを見守ります。

後で分かったことですが、このシェフはその激辛ソースを作るにあたり最終的には辛すぎて味見ができず、どれほど辛いかが未知のチキンウィングをテーブルに運んだのでございました。

まあね、辛すぎて食べられなかったら料金を2倍払うと客が言っているので、辛さの心配をする必要もないわけですけど。

さあ、シェフやウェイトレスや友人達が見守る中、Tさんがチキンウィングを一つ口に運びました。

そしてもう一つ。

さらにもう一つ。

自分が味見できないほどの激辛ソースだったはずのチキンウィングを、美味しそうにパクパク食べるTさんを見て、シェフは自分の目を疑ったそうですよ。

「辛くないの?」
「今まで食べた中ではベストかな。もう少しパンチを効かせてもいいと思うけど」
「マジか…」

普通の唐辛子を少しふりかけた程度の味付けでも「辛過ぎる!」と文句を言ううちの夫には、理解の範疇を超えている味覚なのでした。

Tさんに言わせると、唐辛子の辛さを計る単位のスコヴィル値がハバネロ程度の唐辛子は、容易に食べることができる人は多いそうです。

ホントか!

Tさんは、かの有名な、口に入れるのも恐ろしいキャロライナ・リーパー(キャロライナの死神)と呼ばれる唐辛子をペースト状に細かく刻んだものを食べたことがあるそうです。小さじ1杯程度にしておけと言われて、小さじ1杯を食べたけど、口の中で感じた辛さはそれほどでもなくて「何だこんなものか」と思ってさらに食べかけましたが、キャロライナ・リーパーは胃の中に入った後から影響が出て、さすがのTさんも苦しくなり、牛乳を飲まずにはいられなかったとか。

ちなみに、料理によく使われるケイエンペッパーとか赤唐辛子のスコヴィル値は4〜5万、鷹の爪も同じくらいだそうです。

ハバネロのスコヴィル値は、平均値が30万くらい。

つい最近まで世界で最も辛いと言われていたキャロライナ・リーパーは、平均値が157万くらいで、最高記録は223万と言うんですから「食べたら死ぬかもしれません」レベルですよ。

このチキンウィングの話は、うちの夫の仲間うちでは伝説となっているそうでございます。


こういう話を聞くと、そのチキンウィングを食べてみたいと思うのが人の常と言いますか、私は食べてみたくなったのですが、ロックダウンで食べに行けませんから作ってみました。


米国風にケチャップベースのソースです。特別な材料がなくても作れます。辛さは、好きなだけ唐辛子を入れて好みに調整できます。

油で揚げたりせず、ただオーブンで焼くだけのレシピです。

夫が「辛過ぎる!」と文句を言うのが目に見えていましたので、1キロのチキンウィング用ソースに小さじ1/2のケイエンペッパーを入れましたが、唇がひりひりする程度のちょうどよい辛さでした。

よかったらお試しください。


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