2021年5月21日

必ずレシートをもらう私ともらわない夫

先日、買い忘れたものがあってスーパーにどうしても行きたかった日のこと。

その日は娘が私のカローラを使っていたので、仕事を休んで家にいた夫にトラックで近くのスーパーまで連れて行ってもらいました。

ランチのためにローストチキンとかアボカドとかを買いたいと言う夫も一緒にスーパーに入りまして、何ヶ月ぶりかで一緒に買い物をしたのです。

レジで支払いをする時、そのスーパーではいつも「レシートが要りますか?」とたずねられます。要らないと言うお客も多いですから、レシート用の紙の節約、しいてはゴミの削減になるというわけなんでしょうが、夫は「ノーサンキュー」と言い、私は「イエスプリーズ」と言いました。

「レシートなんて要らないでしょ?」
「私は必ずもらうことにしてるの」
「どうしてレシートが要るんですか?」
「見せろと言われた時に見せるためよ!」
「見せろと言われたことがあるんですか?」
「何度もあるわよ!アナタないの?」
「一度もありません」

さて、この会話から見えてくるオーストラリア社会の問題というのは何でしょうか?

私が、たとえスーパーに行く時でも、必ず身なりを整えてから行く理由とも関係していますよ。

それはズバリ、

人種差別問題です!

以前記事にも書きましたけど、私がこれまでに度々レシートを見せろと言われたことがあるのは、絶対に私がアジア人だということが影響していると確信します。

うちの夫が一度もレシートを見せろと言われたことがないのも、夫が白人男性だというのが影響していると思うんです。

レシート検査にとどまらず、英語が不自由な貧乏そうな身なりのアジア人に対して横柄な態度の店員を見かけたことがありますし、自分がそういう扱いをされたこともあるのです。

今でこそ中国人人口が激増してどこに行ってもアジア人がいるメルボルンですけど、私が移民した90年代はまだそれほど多くはなかったんです。

70年代から80年代にかけて、オーストラリアはベトナムを始めとするアジアからの難民を大量に受け入れたので、アジア人の人口が増えました。80年代には、バブル景気の日本人がオーストラリアの不動産を買い漁って嫌われたりしましたし、オーストラリア社会にアジア人への嫌悪感があったのは事実なんですよ。

白豪主義というアパルトヘイトに匹敵する白人優先主義とそれに基づく非白人への排除政策があったオーストラリアですからね。

1975年に人種差別禁止法が制定されて人種差別政策はなくなったとは言え、有色人種への偏見や嫌悪は根強く残っていたのです。

アジア人は、基本的に嫌われていると言うよりも、見下されていました。バカにされていましたから、デパートや食品店などでもそういう扱いを受けたのです。

そういうイヤな経験は結構最近まで続きました。

もっとも不愉快だった出来事の一つが、確か私達家族が短期間暮らした日本からオーストラリアに戻った頃でしたから2006年ですね。

リングウッド(Ringwood)にあるイーストランドというショッピングセンターがまだイマイチのショッピングセンターだった頃のことです。

私は当時「うつ」でしたが抗うつ薬のおかげでなんとか日常生活を送っていました。夫は一年中ほとんど家にいないという暮らしでした。

マイヤー(Myer)というデパートの化粧品売り場に、ウォータープルーフのマスカラを買いに行ったのです。化粧品売り場の厚化粧の女性が二人おしゃべりをしていて、私が近づいて化粧品を見ているのに気付いても知らん顔でした。

私の方から「エクスキューズミー?」と声をかけましたらね、おしゃべりをしていた二人のうちの一人がチラッと私を見て、バカにするように「What do you want?」と言ったんですよ。

「What do you want?」ってアナタ、

普通言わないですよ、デパートのお客に!

私がウォータープルーフのマスカラを探していると言うと、「ウォータープルーフはこれ」と迷惑そうな感じで言われて、「他にお探しのものは?」などと聞いてくれるはずもなく、お金を払ってそのマスカラだけを買ったのでした。その間もずっとおしゃべりしていましたよ。

「うつ」だった当時の私は、その出来事がトラウマになってしまい、買い物に行って店の人と会話するのが怖くなってしまったのでした。

スーパーだろうがデパートだろうが手芸屋だろうがね、身なりをちゃんとして化粧もちゃんとしていると、店員の対応が明らかに違ってバカにされたりしなかったのですけど、それは気のせいではなくて、確かにそうだったのです。それでも、失礼な扱いを受けることはありました。

最近は、店員がアジア人だったりインド人だったりアラブ人だったりアフリカ人だったりと多様化していますし、若い人達は多民族社会で教育を受けていますからね、不愉快な目に遭うことはまずありません。

しかし、無くなったわけでもありません。

「うつ」も良くなり、おばちゃんになって店員達が皆んな歳下という状況になって強くなった私は、失礼な扱いを受けたりレシートを見せろと言われたりしても言い返せます。

ただし、その際の武器として、

レシートが絶対に必要なのでございます!

こういうイヤな経験を一度もしたことが無いと言ううちの夫は、ただ偶然にラッキーだったというわけではないと思うのです。


日本人はねえ、自己主張したり、理不尽な扱いや不公平に対して立ち向かったり、声を上げることが苦手な人が多いでしょ?

他人といさかいを起こすよりも、自分が黙って耐えることを選択する人が多いと思うんですけど、それじゃあダメなんですよね、多民族社会では。

権利を主張し、発言し、意思を伝えて、問題があればアピールしなくちゃあいけません。黙っている人のままでいては見下されますしバカにされます。

勇気がいるし簡単じゃあないんですけど、頑張りましょう。


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