2021年5月15日

インドからの帰国者と隔離

新型コロナの新規感染者数を表すグラフが、4月に入ってから直角に近い急上昇を見せたインド。一日あたりの新規感染者が40万人だとか(それって3日で120万人!)毎日4000人も死亡しているとか、多数の死体がガンジス川の河岸に打ち上げられたとか、聞く耳を疑うようなニュースが続いておりますが。

オーストラリアでは、インドからの入国者から危機的な数の感染者が見つかりまして、連邦政府がインドからの入国を禁止したのが5月1日です。

旅行者や留学生などの入国は原則的にできなくなっているので、入国者というのは帰国者と言った方が良いでしょう。オーストラリアの国籍あるいは永住権を持つ市民です。つまり、オーストラリア市民の帰国を禁止したということなのです。

当然のことながら直行便は運航禁止なりましたが、別ルートで帰国することは可能でしたので、2週間以内にインド滞在歴がある人が入国したら高額の罰金や禁固刑を科すとまで言ったのでございます。

ところが、これが憲法に違反するのではないかとか、大批判されましてね、モリソン首相は「これは一時的措置の予定だった」と説明して帰国禁止を撤廃し、15日からはインド国内に足止めされているオーストラリア市民の帰国を受け入れると、チャーター機も3便飛ばすことになりました。

日本でも、インド在住日本人の帰国が計画されているようですが、オーストラリアの場合はちょっと状況が異なるんですよ。

インド在住日本人は、民族的にはほとんど日本人でしょう?

おそらく、インド人コミュニティーとは住環境も異なり、新型コロナ感染者の割合もそれほど高くはないのではないかと想像しますけど。

インド在住オーストラリア人というのは、民族的にはほとんどインド人です。感染者の割合はかなり高いと思わざるを得ません。

「本当に大丈夫なの?」「インドからは人を入れない方が良いんじゃあないの?」そういう意見が多いのは自然なことですよ。しかし、帰国を希望するオーストラリア市民なんですからね、新型コロナ禍のインドを脱出したい気持ちも理解できます。

海外からオーストラリアに入国する場合、一部の特権を有する人を除いて、入国者全員が隔離施設のホテルで2週間を過ごさなければなりません。2週間後にPCR検査で陰性が確認されると帰宅できます。

ところが先週、インドからの帰国が禁止になる前にインドから帰国していた人が、南オーストラリアのアデレードのホテルで2週間の隔離をして、検査結果が陰性となってからヴィクトリア州に移動し、メルボルン北部の自宅に帰った後で具合が悪くなり、検査の結果新型コロナに感染していたと分かったのです。

感染したのは南オーストラリアの隔離施設のホテルだったことが分かっています。

インドからの帰国者からは高確率で感染者が見つかりますから、そのホテルでも複数の感染者が隔離されていました。

自宅に帰ってから感染が分かったという人は、ヴィクトリア州に帰って来てから症状が出るまでの間に、メルボルン市内のカレーレストランに行ったり、スーパーに行ったり、インド食品店に行ったり、知り合いに会ったり、仕事に出たり、電車に乗ったりしていましたから、大勢の人にウイルスを感染させていた可能性が出てきてニュースになりました。

空港でも隔離施設でも十分注意しているはずなのに、こんな事がまだ起きる。

帰国再開して大丈夫なのか?

そんな心配をよそに、チャーター機の第1便が到着する15日がやって来ました。

チャーター機は、人工呼吸器や医療用酸素を積んでインドに向かったそうです。そして、第1便で150人が帰国する予定だったそうです。

飛行機に搭乗するためには、搭乗前48時間以内のPCR検査で陰性が証明されなければなりません。そして、搭乗直前には短時間で調べられる抗原検査を受けなければなりません。

この抗原検査でですね、陰性だったはずの150人のうち40人が陽性と分かり、その家族や濃厚接触者30人は搭乗が認められず、約70人が飛行機は乗れなかったんだそうですよ。

第1便は、半分空っぽのままオーストラリアに向かったそうです。

確率がすごいでしょ?

搭乗できなかった人がインタビューに答えて、感染予防対策は全てやって気を付けていたとおっしゃっていましたけどね、毎日40万人もの新規感染者が見つかるような状況では、どれほど感染リスクが高いかっていうことです。もしかしたら、PCR検査を受けに行った場所で感染したかもしれませんよ。

人が集まる場所は全て危険ですから。

それにしても、PCR検査で陰性と証明されても、搭乗直前の抗原検査で陽性となる人がいる。搭乗直前の抗原検査で陰性で飛行機に乗れた人でも、入国後のPCR検査で陽性となる人がいる。

入国後のPCR検査で陰性でも、隔離期間中に感染する人がいる。

油断できません!

実は、ドバイ在住の義妹が今月末に一時帰国を予定しているんですけどね、もちろんドバイからの帰国でも、48時間以内のPCR検査で陰性と証明されていないと飛行機に乗れませんし、入国後2週間の隔離は避けられません。

心配なのは、空港とか隔離施設ですよ。

本人は陰性でも、ドバイの空港や飛行機内は安全だったとしても、到着したメルボルン空港や隔離施設内に感染者がいることは確実ですからね、帰って来てから感染する可能性があるんです。

マスクを過信しないことです。マスクは、感染している人がウイルスを撒き散らすのを減らすことはできるけど、ウイルスを吸い込むのを防ぐことはできません。

大事なのは手洗いと消毒です。

義妹には、周りの人は皆んな感染者だというつもりで行動してもらいたいです。


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