2020年2月17日

心の準備と不安

ストレスを受けるとドーパミンなどの神経伝達物質が放出されて神経細胞間の活動が影響を受けます。心拍数が上がったり血圧が上がったりと様々な身体症状が現れます。副腎とかがホルモンを血液中に放出し、それが脳みそに届くとさらに様々な影響が生じて、精神的身体的なバランスが失われる場合があります。

こういうことは誰にでも起きるのですけどね、神経伝達物質やホルモンの生成に問題が生じて濃度が高くなりすぎたりすると、不安とか恐怖などの情動に関わる記憶を強めたりします。

私は専門家ではありませんから詳しいことは分かりませんが、脳みそは複雑です。

脳みその調子が悪くなって一番苦労させられるのは、合理的な理由もなく怖くなったり不安になったりして、

普通ならできることができなくなること!

私自身のことだと、電話に出られなくなっていた時期があるのですが、今から思えば不思議なことです。電話に出ないことを夫から責められたりもしましたが、パニック障害で家から出られなくなっていた時期がある夫には、電話に出られない私を理解できたはずなのにねえ。

パニック障害と言えば、うちの娘も家から出られなくなっていた時期があります。

薬物治療とカウンセリングを受けながら認知行動療法に取り組みました。私と一緒に「家から一番近いバス停に行って帰って来る」ということから始めて、その次は「バス停でバスが来るのを見てから帰ってくる」「バスに乗ってみる(もしもの時に備えてお父さんが車でバスの後ろを付いてくる)」というふうに、少しずつ難度を上げていきました。

ついに大学まで行けるようになってからも、しばらくの間は私が通学に付き添ったんですよ。

電車の中で不安発作に苦しむ娘を見ながら自分自身も具合が悪くなったりしましたが、それを娘に見せてはいけないんですから、お母さんも大変な苦労でした。

あれから3年が経ちました。

娘は一人で大学に通い、無事に学士課程を終了することができました。しかし、この3年間、バスはずっと問題だったんです。帰りのバスはそれほど問題ではなかったのですがね。

行きのバスが困難だったので、駅までは私が車で送りました。

最近は、必要な場合には行きのバスにも乗れるようになったのですが、それには前日からの心の準備が必要なのだそうです。

今朝はメルボルン大学でのリサーチに協力する用事と動物保護施設でのボランティアの仕事があったので、私が駅まで送っていくことになっていました。

ところが、

夫が通勤に使っているTGB(台湾金蜂 Taiwan Golden Bee)のスクーターが、先月も動かなくなって修理に出したばかりだと言うのにまたも動かず、夫は私のカローラで仕事に行ってしまったんです。

朝起きてそれを聞いた娘にとって、夫が私のカローラで仕事に行ったというのは「バスに乗らなくてはいけない」ということを意味しているわけです。

突然のストレス!

心の準備ができていなかったわけですよ。

娘は家を出てバス停に向かいましたが、すぐに帰ってきました。おトイレにもう一度行くためです。娘の不安発作はおトイレに行きたくなるという症状と強い関係があるのです。

再び出かけていきましたが、やはりバスに乗ることができず帰宅。しかし用事をキャンセルすることができないのでメルボルンには行かなくてはいけない。

でも家に車はない。

ウーバーしかない!

ウーバー(Uber)というのはタクシーのようなものです。普通の車ですから、娘はこれには乗れるのです。

こうしてバタバタしながらも何とか出かけて行きました。


分からない人には分かるまい。どうしてバスに乗れないのか。

電話に出られなかったことがある私には分かる。それはね、もうね、はっきりとした理由なんてないんです。不安な気持ちが強くなって、ただ乗れないのよ。電話に出られなかったのもそんな感じなんです。ただ恐いという気持ちが強くて出られなかったんです。

普通ならできることができなくなると苦労します。

貴方の身近にもそういう人がいるかもしれませんよ。周りの人に優しくしましょうね。


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