2020年2月22日

映画を見てLGBTの人権問題を考える

2年前、世界的にヒットして話題になった映画「Call Me by Your Name(君の名前で僕を呼んで)」が SBS放送のオンデマンドのコンテンツに入っていたので、昨晩見てみました。

原作の小説では87年の設定ですが、映画ではエイズが社会問題になる前を描くために、83年に設定してあります。続編では男性同性愛者のエイズ問題も取り上げるそうです。

83年といえば、私が大学を卒業した年。私は物語の主人公と同じ年代ということになります。

当時、同性愛とかトランスジェンダーなど、性的指向や性同一性に関することが話題になることはまれでした。私の身近ではそうした話題は皆無でしたから、もし同性愛者ということが公に知られた人がいたら、私達は声をひそめて話題にしていたでしょう。

今から思えば、あの人は同性愛者だったのかもしれないなと思える同級生がいます。

同性愛が社会から受け入れられないどころか、それが周囲に知られると「異常」というレッテルを貼られたり軽蔑されたり、差別やいじめや暴力などの迫害を受ける可能性が大きかった当時、彼らはどんな苦悩と葛藤の中で生きていたんだろうと思うと、胸を締め付けられます。

私が暮らすメルボルンでは、「性の多様性」や「性のアイデンティティ」に関する理解が進み、法律でも平等な人権が認められて、彼らに対する偏見や差別は減っています。

映画の主人公エリオの両親のように、私もうちの夫も同性愛者への偏見はありませんけど、それでもうちの娘が同性愛者であることを私達にカミングアウトするまでには、大きな葛藤があったことを知っています。

映画の年上の方の登場人物オリバーは、自分の性的指向が決して受け入れられない社会に属していることを自覚しています。自分自身を開放し、スティグマと恐れから自由になった短い夏が終わった後、自分を偽って生きる道しか選択肢のない社会に戻っていきます。

それは83年のことです。

世の中は変わりました。オリバーの生きる社会も変わったに違いない。

この映画でエリオの父親が息子に語る言葉が多くの人を勇気づけ感動させたように、続編ではオリバーが本当の幸せを得るための選択してそれが社会に受け入れられる展開を見せて欲しいと強く思います。

様々な多様性を受け入れる社会に変わっていかなくてはいけません。そしていつの日か、誰もカミングアウトなんてしなくても良い日が来ないといけないのです。

みんな違ってあたりまえなんですから。


お帰りの前に1クリックを!



0 件のコメント:

コメントを投稿