2024年7月24日

見えなかったチーズと黄斑変性

お肉が無い時によく作る晩ご飯料理の一つが「ジャガイモと鮭のグラタン」です。缶詰の鮭を使いますし、ホワイトソースなんか作らずにマヨネーズを使うので超簡単なんです。

しかもうちの男達に大人気。毎日でもお肉が食べたいうちの夫も、晩ご飯がこれだと喜びます。

英語で書いたレシピをウェブサイトに載せていますが、レシピなんて必要ない調理なんですよ。

一口大に切って茹でたジャガイモを耐熱容器に並べ、好みで塩こしょうをふりかけてから、骨と皮を取り除いた鮭を粗くほぐして散らします。マヨネーズをタラタラっとかけてからチーズを乗せ、220度くらいのオーブンで焦げ目がつくまで焼くという料理です。


私がいつも使うチーズはオーブン料理用のチーズで、チェダーとモッツァレラとパルメザンの3つのチーズをブレンドしてあるものです。

日曜日の晩ご飯に、このグラタンを作ったんですよ。

うちの夫が最初にお皿に取りました。モッツァレラチーズが入っていますから、溶けた熱々のチーズはとろ〜りと伸びます。

まるで納豆の糸の太いやつみたいに長く伸びたチーズは、夫のお皿の端から垂れ下がりました。

盛大に垂れ下がったチーズに気が付かない様子の夫が、そのままお皿をテーブルに置こうとしました。

「あああ!垂れてる垂れてる!」と叫ぶ私。

夫はそのままお皿をテーブルに置きましたから、垂れ下がっていたチーズがどろ〜んとテーブルに付きました。

「ほらあ!テーブルに付いちゃったじゃない!」
「何が?」
「チーズがよ!お皿から垂れてるでしょ!」

困惑してお皿を見る夫。

そして、言いました。

「ボクには見えない…」

白いお皿の端に垂れたチーズは照明の具合で白っぽく見えていましたけど、そのチーズが見えないと言うので私はびっくりしましたよ。食事の時に夫の目が見えていないことに気づいたのは初めてでした。

またさらに網膜の視細胞が死んで、見えない部分が拡大したんだろうと思いました。


夫の目は、遺伝性の黄斑変性「スターガルト病」で、黄斑部周辺の視細胞が徐々に死んで来ているんです。

網膜の中央部には光を感じる視細胞が密集している部分があって、その部分を黄斑と言うんですけど、そこは焦点を合わせる視野の中心でもあります。
 
その部分の細胞が徐々に死んでしまって見えなくなっているわけです。

視能訓練士の方が夫がまだ文字が読めることに驚いたくらい細胞は死んでしまっているんですけど、それはもう2年近くも前のことですよ。今年の1月に撮った写真を見ると、じわじわと全滅に近づい来ているのが分かります。

視細胞が死んでしまったら光も感じることが出来ませんから、視野の中心部は黒っぽくなっているんだそうです。

しかしね、まだ視細胞が生き残っている部分があるのでして、夫はその部分を駆使して見ているそうです。読みたい文字に焦点を合わせると見えないけど、別の場所に焦点をずらすと見えるんだそうですよ。もちろん、強い眼鏡が必要ですけど。

iPhone の小さな画面でも文字を読めるのですが、どんなふうに見えているのか想像できません。

ただし、十分な照明がない場所ではほとんど何も見えないらしいということは知っていますから、薄暗い場所では私も注意します。夫は薄暗くなると懐中電灯を使って歩きます。

玄関前のアプローチには照明を並べてコンクリートの部分と芝生との境目が分かるようにしてあります。転倒の危険がありますからね。

家の中は十分に明るくなるように照明を全部つけますし、最近は見えていないんだなと気付かされるエピソードは無かったんですけど、あのチーズが見えなかったんですよ。

最近さらに見えなくなっているのかと聞いてみましたが、夫はこういうことを聞かれるのが嫌いです。目のことであれこれ質問すると機嫌が悪くなるので、私は聞くのを止めました。

薄暗いと物が見えないように、白い背景に白っぽい物という場合も見えないのだと分かりましたので、これからは食事を取り分ける時にも気をつけるようにします。

今書きながら気が付きましたけど、食器洗い機に入っている食器が汚れているのかキレイなのかが分からないとは言っていました。白いお皿に付いたチーズが見えなかったのも当然ですね。

最近冷蔵庫に物があり過ぎて、欲しい物を見つけるのに苦労している様子です。晩ご飯の残りを詰めたお弁当を、昨日は持って行っていませんでした。見つからなかったから持って行かなかったと言いました。

今日は冷蔵庫の中を片付けます。


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