先日「頭に来て当然ですよね」という記事で書いたイベントに、昨日行って来ました。
うちの夫が、昨年「Australian and New Zealand Paired Kidney Exchange (ANZKX) Program」という生体腎臓移植プログラムに参加して腎臓を一つ提供したという話は、このブログでも繰り返し書いてきましたからご存知の皆さんも多いと思いますけど。
このプログラムの中心になっているオースティン病院というのがあるんですが、その病院が「ResearchFest」というイベントを毎年主催しているそうです。そのオープニングとなるイベントで、臓器移植に関するプレゼンテーションがあるというのでうちの夫が招待されたんですよ。
ゲストを1人連れて来て良いということだったので、夫は自分の弟を誘ったんです。だから「なんで私を誘わないの!」と頭に来たわけですけど、ゲストを2人連れて来ても良いと言われたそうなので、私も行ったんです。
イベントはオースティン病院内にあるホールで行われました。参加者はほとんどが医療関係者でしたよ。
プレゼンテーションをされたのは、肝臓移植の専門医でした。摘出した肝臓の機械による保存という最新の技術とその研究結果などを話されました。
腎臓にしても肝臓にしても、臓器の移植には健康な人から提供を受けて行う生体移植と、脳死の人や心臓が止まった人から提供を受けて行う移植があります。
十分な術前検査や準備が行える生体移植に比べ、脳死や心臓が止まった人からの移植には「時間」という問題があるわけです。提供された臓器を機能的な状態に保存できる時間に限度があるからです。
肝臓の場合は、保存時間は12時間が限界だそうです。提供された肝臓は氷で冷やしながらクーラーボックスに入れられて慌ただしく運ばれるのがこれまでは一般的でした。
氷で冷やせば肝臓の組織が損傷しないとわけではなく、損傷を遅らせたり抑えたり出来るというだけです。また、摘出した肝臓を冷やしたり移植の前に再び温めたりと温度を変化させると組織の損傷を促進することになるそうです。
12時間というリミットのために、肝臓の提供者と距離的に離れ過ぎている患者には移植は行えません。また、提供者には50歳以下という年齢の条件もあるそうです。
そこで、最近行われるようになっているのが、機械を使って肝臓を通常の体温や圧力に保ちながら酸素を含んだ血液や薬剤等を継続的にかん流させて、組織の損傷を防ぐという方法なんだそうです。
この方法だともっと長く保存出来るので他州にいる患者への移植も可能になったり術前検査を行う時間が出来たりして移植の成功率が上がるし、提供できる人の年齢も70歳まで可能になるんだそうです。
つまり、より多くの患者さんに移植を受けるチャンスが生まれるということです。
研究結果の内容とかは専門的過ぎて私には理解出来ませんでしたが、プレゼンテーションの後、肝臓の移植を受けたお二人を含むパネルのディスカッションがありました。お二人とも元患者さんとはとても思えないほどお元気そうでしたが、移植手術前は死を覚悟しておられたほど重い症状だったそうです。
もしも、あなたが不幸にも交通事故や脳卒中などで亡くなった時、あなたの臓器や組織が他の誰かの命を救います。組織とは皮膚、骨、血管、角膜、心臓弁などの様々な身体や臓器の一部です。
皆さん、ぜひこの機会に、
臓器や組織の提供について家族と話し合ってみてください。
意思表示の方法はいろいろあります。日本にいらっしゃる皆さんは、厚生労働省のサイトをお読みになると意思表示の方法やドナーとして登録する方法などが書かれています。
オーストラリアでも様々な方法で登録しておくことができます。オンラインで簡単に出来ますし、気持ちが変わったら変更も簡単です。
自分の意思を家族に知らせておくことも大事ですよ。
うちの家族は全員、もしもの時には提供するという考えです。私の場合、提供者の年齢基準というのがありますから、臓器の提供は難しくなって来ていますけど、「誰かの役に立つ部分があるなら何でもあげてちょうだい」と家族に伝えてあります。
すぐに結論は出せなくても、家族や親しい人達と臓器や組織の提供について話し合ってみるだけでも意味があることだと思います。
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